八百三十頁目
どうやら悩んでいる間も俺の身体は反射的に動いていたようだ。
現状から顧みるにアルケンへ飛び乗りそのまま緑のオベリスクを目指して移動中にキャシーが合流してきた感じだ。
しかしどうして自分用のアルケンに乗ったキャシーがちょうどここに居合わせたのか、と疑問に思う間もなく不安そうな面持ちのキャシーの方から話しかけてきた。
それによるとキャシー達はモーリツさんからの連絡で俺の状況を含めて何が起きているのかを聞いたらしく、無謀にも一人で飛び出した俺をカバーすべく慌てて駆けつけて来てくれたとのことだ。
……まさか冷静に行動しろと忠告を受けた直後にいきなりモーリツさんとキャシーの両方にフォローをさせるような真似をしてしまうとは何というか申し訳ない限りだ。
ただキャシーも思わず飛び出すほど不安に駆られていた俺の気持ちはわかるようであり、むしろ急いで緑のオベリスクの状況を確認しに行こうと訴えかけてくる。
彼女もまたソフィアから先達者様が残した日記の内容を聞いているため、ライア氏やダケイヤ氏のトライブが破滅した異常事態が引き起こされるのではと危惧しているようだ。
しかも続けてキャシーが言うには俺が拠点を飛び立ったすぐ後ぐらいにハンスさんがシャルル少年を伴って緑のオベリスクへエレメントダストを加工しに向かったとのことだ。
つまりもしも今オベリスクに異常が起きているというのなら真っ先に二人は巻き込まれかねない状況にあるわけで、慌ててソフィアが事情を説明して警戒するよう無線で忠告しようとしたが何故か連絡がつかなかったという。
……まさか本当に二人は何かトラブルに巻き込まれているんじゃ……くそっ!! 俺が昨日の時点でもっと警戒してちゃんとオベリスクを調べておけば……っ!!
八百三十一頁目
悔やんだところで状況は変わらない。
再び取り乱さないためにもそう自分に言い聞かせて必死に気持ちを落ち着けながらキャシーと共に緑のオベリスクがある拠点へと急ぐ。
そうして段々と緑のオベリスクへと近づいていくと、強すぎる太陽の眩しい光に紛れるようにオベリスクが発光していることに気が付いた。
昨日もまた太陽の光が反射した結果かと思ったものだが、今回は何度も発光しているから見間違いではないと断言できる。
……昨日も同じぐらい頻繁に発光していたりもう少しだけ遅い時間で太陽が完全に沈んだ後だったら目立つからモーリツさんの様に気が付けただろうに、何でこう上手く行かないんだ。
しかしこれだけ反応が著しくなっているということは本格的に厄介な状況になりつつあるのではないか。
一層不安が強まる中、キャシーと共に何が起きても対処できるよう警戒しながら緑のオベリスクへと直行すると、まず地上にある操作盤の近くでTEKティラノに乗り周囲を警戒しているシャルル少年を見つけることができた。
次いで彼の足元で操作盤の前に立ち何かの作業をしているハンさんも見つけて、二人とも五体満足であることを確認して取りあえず一安心する俺達。
しかしそのタイミングでまたしても緑のオベリスクが不可思議な発光を始めて驚く俺達であるが、そこでこちらに気づいた地上の二人は……何事もないかのようにどうしてここに居るのかと尋ねてくるではないか。
会話しやすいように地上スレスレまで高度を落としてから返事をしようとするが、そこで手だけは動かしていたハンスさんの操作に合わせるようにしてまたオベリスクが発光したではないか。
そして光が収まったところでハンスさんが取り出したのは出来立てホヤホヤでちょっと色合いの違うエレメント…………ってまさかこの発光現象はハンスさんがエレメントダストを加工してたってだけのことなのかよっ!?
今回名前が出た動物
アルゲンダヴィス(アルケン)
TEKティラノサウルス