ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第861話

八百四十八頁目

 

 ワイバーンの孵化部屋に入ると思った通りソフィアが居て、五匹ものワイバーンの幼体が動き回っているのを嬉しそうに見守っていた。

 どうやら最初に持ち帰った卵は全て無事に孵ったようで何よりだ。

 ただ予想外というか意外なことに俺と別れた後でここに向かったはずのキャシーの姿はどこにも無かった。

 

 ソフィアと同じくあれほどワイバーンに興味を示していたはずなのにどこへ行っているのか……たまたまトイレなどの小用を済ませに言っているだけかもしれないが微妙に気になるところだ。

 そこでちょうどこちらに気づいて近づいてきたソフィアに事情を聞こうとしたが、その前に向こうからワイバーンの幼体について目を輝かせながら話しかけてきた。

 野生で見た造形そのままにサイズだけ小さい形で生まれて来て感動したこと、卵の色合いと生まれてきた子の肌が似ていること、その体色の違いでワイバーンの種類を見分けられそうなこと、野生の個体は獰猛だったが卵から孵化した個体は普通に懐いてくれたこと、だけどやっぱりワイバーンミルクしか口にしてくれなかったこと……それらをスケッチした絵を代わる代わる見せながら怒涛の勢いで語られてタジタジになる。

 

 ただ同時に今日は朝から色々と気分が滅入りそうな事に多く直面していたこともあって、いつも通りな反応を見せる元気いっぱいなソフィアの様子にむしろ安堵してしまう。

 尤もこのままだといつ果てることも無く語り続けそうであり、実際に話の内容はついには物語に出てくる似た生き物にまで言及し始めようとしていた。

 だから何とかソフィアの言葉を強引に割り込む形で止める意味も兼ねてキャシーがここへ来なかったか尋ねてみた。

 

 するとソフィアは確かに来たけれど、どうも顔が赤く火照っているし会話しても上の空と言うか集中できていない様子であったため、徹夜疲れから体調を崩し始めているのではと思い大丈夫だと言う本人の意思を押し切る形で強引に休ませたとのことだ。

 ……多分その症状は俺との話し合いで余計な事を意識してしまうせいであり体調不良とかではないと思うのだが……まあそんなこと言えるわけがないので黙っておこう。

 結構本気で心配しているっぽいソフィアは希少なサンドワームの角を使ってでも病気対策の薬になる解毒薬を作った方が良いのではと悩まし気に呟いている。

 

 そんなソフィアに本当のことを教えないのは少し心苦しいが、ソフィアとも一対一で語り合おうとしていた身としてはこの状況を利用しない手はないな。




今回名前が出た動物

ファイアワイバーン
ライトニングワイバーン
ポイズンワイバーン
デスワーム(サンドワーム)
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