ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第862話

八百四十九頁目

 

 取りあえずキャシーに関してはこのまま休ませておき、万が一本当に病気とかで容体が悪化するようならばその時に改めて薬を用意しようと提案しておいた。

 ソフィアとしては今の時点で作っておきたいようだが、鉱石が教えてくれる解毒薬は消費期限があることを説明すると納得してくれた。

 何せこの砂漠の環境では通常より早く物が腐るのだから……それで実際にワイバーンミルクがドンドン腐っていくのもソフィアは目の当たりにしているので余計に説得力を感じたようだ。

 

 ……尤も俺としてはキャシーは病気とかじゃないと思っているので薬の製作を後回しにさせたのは単純にキャシーを休ませておくという口実がほしかっただけだ。

 そうでないと下手したらソフィアは薬を作るためこの場を俺に任せて立ち去っていたかもしれない。

 果たして俺の話を受け入れてくれたソフィアはここに残ってキャシーからも託されていたらしいワイバーンの御世話を続ける気になったようだ。

 

 ちょうどハンスさん達はオベリスクの調査で忙しいし、ルゥちゃんは目録作りのために素材のある所をうろついているのでここに来る可能性は低い。

 残るキャシーはまあここから立ち去った理由が理由なのでしばらくの間は近づこうとしないだろう。

 つまりソフィアと立ち入った話をしても問題のない状況ができたわけで、俺は早速ソフィアに声をかける……前に再びソフィアの方から話しかけてきた。

 

 ワイバーンの成長速度次第ではワイバーンミルクを頻繁に回収しに行く必要がありそうですねと言ってきたかと思えば、外に居る超巨大な草食……ベヘモットちゃんの移動要塞プランを考えてみたと四方八方に大砲やガトリング砲を載せている厳つい完成予想図を見せてきたり、更には今まで手に入れた日記の感想を述べつつ残りのページに書かれた内容を推測してみたり……ソフィアの言葉は留まるところを知らないようであった。

 活き活きと語り続けるソフィアの姿はこのARKと言う場所を……正確にはこの砂漠の大地を堪能し尽くそうとしているかのように見えた。

 ……ある意味ではARKに来てからずっと生き残ることや目的を攻略することだけを考えて生き抜いてきた俺とソフィアのスタンスは真逆なのかもしれない。

 

 実際に俺は前の島でもここでもARKの攻略そのものに大きく関わらない先達者様の日記を全て集めようだなんて考えたことも無いし、動物にしても見たことのない生き物なら能力が気になって捕獲しようと躍起になるが別に全種類揃えたいだなんて思ったこともないのだから。

 そんなソフィアの生き方はARKを管理するモノからするともしかしたら停滞として捉えられるかもしれない。

 ……だけど俺は自分の楽しい事や幸せな事を粗末にせずちゃんと向き合って行動しているソフィアの方が正しいのだと思いたかった。

 

 何せ俺だってフローラがこんなことにならなければあの島でずっとのんびりと過ごしていたかもしれないのだ。

 少なくともオベリスクの守護者と言う危険生物に好き好んで挑もうとはしなかっただろうし、そう考えるとソフィアはこのままでいいのだと……俺の危険な旅路なんかに付き合わせるわけにはいかないと強く思うのだった。




今回名前が出た動物

ファイアワイバーン
ライトニングワイバーン
ポイズンワイバーン
ティタノサウルス(超巨大な草食・ベヘモット)
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