八百五十二頁目
前の島での前例やモーリツさんから粗暴な輩がここにもいる事を聞いていることを伝えて、ソフィアに余り無防備に行動しないよう釘を刺しておく。
尤も直接会ったりしようとはしていない辺り最低限の意識はあるようで、またモーリツさんにも似たようなことを言われていたようで、気を付けるようにはしていますと小さく呟いた。
ただそれでもソフィアはやり方こそ考える必要があるかもしれないけれど、これからもどんどん増えていく人達ともそろそろきちんとした交流を持つようにして、いずれちゃんとした社会を築くための足がかりを固め始めた方が良いのではと訴えてくる。
協力する人の数が増えるほどより大々的に動けるようになるわけだが、このARKを人が簡単に死なずに済む程度の環境に改善するためには人手は幾らあっても足りない。
もっと言えばソフィアはせっかくオベリスクに干渉できるハンスさんと言う知識人が居てくれて、またオベリスクを動かすエネルギー源となるエレメントも調達できるようになっているのだから、いずれはオベリスクを介して他のARKに居る人とも協力し合えるような状況を整えたいと言うのだ。
……前にハンスさんは別のARKにも物資や動物、更には人も送れないことはないと言っていた気がするし確かに上手くやれば相互で便利な動物を送り合うなどしてARKの攻略を協力し合うことも出来なくはないのかもしれない。
まさかそこまで壮大な事を考えているとは思わず面食らってしまう俺であるが、ソフィアはそうなれば別のARKへ行った俺に後からでも支援ができるからと……それこそ無線機の様に直接会えなくても最低限近況を知らせ合える程度に連絡が取れれば寂しくないからと静かに呟いた。
……やっぱりハンスさんやキャシーのようにソフィアも一人で行く俺の事を心配してくれていたようだ。
ただ観察眼も強い彼女は絶対に俺の意思を変えることはできないと理解していたのか、直接付き添うのではなくこういうやり方で力を貸そうと考えたのではないだろうか?
そんな彼女の思いやりは物凄くありがたく嬉しいもので、また壮大で時間はかかりそうだが決して夢物語ではなさそうな計画には正直感心すらしてしまった。
だけど俺のために大掛かりな計画を成そうとして軽々に動くような真似はしてほしくない。
そんなことをしてソフィアが傷つくようなことになれば俺も居たたまれないし、多分トライブの他の皆やソフィアに裏で結構期待しているらしいモーリツさんも含めて誰もが凄く辛い思いをするだろうから。