ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第869話

八百五十六頁目

 

 話の途中だというのにソフィアはまるで逃げるように立ち上がると、構ってほしそうにしているワイバーンの幼体に寄り添い始めた。

 動物の幼体が時々こうして我儘を言うのも、その我儘を叶えてあげることで心なしか逞しく成長することも経験則で何となくわかっている。

 だから俺も会話の続きは後回しにして残る幼体のお世話を手伝うことにする。

 

 繁殖小屋の中を行ったり来たりして散歩させたり、文字通り寄り添ってあげたり、また先ほど飲んだばかりなのにミルクを要求してくる子には追加で与えて回る。

 面倒な作業ではあるが他の動物達の用にいつもとは違う食べ物を求めたりしてこなかった点だけは有難い。

 ……俺とフローラが初めて育てたアルケンの子供の時は何も分からないでいたから、急に愚図り始めて物凄く慌てて戸惑って大変だったよなぁ。

 

 あれから色々と経験も多く重ねて来た今ではこんな効率的に動物を育てられる孵化部屋を作るまでになって、改めて目に見えない部分でも自分がこのARKと言う環境に順応しつつあることを実感する。

 尤も半自動で孵化するところまではいっても育児は人の手で行っている辺り、まだまだ発展の余地があるのかもしれない。

 それこそハンスさんの未来技術で育てるところまで自動でやってくれるような環境を整える機械が作れるかもしれないし、まだ見ぬ動物の中にはそういう育児に特化した能力を持った子もいるかもしれない。

 

 ……もしもそういう育児に特化した動物が居るとしたら或いは人間の子供の世話も任せられたり……ってそう言えば実際にルゥちゃんの面倒を見てくれたカンガちゃんと言う存在が居たじゃないか。

 まだここまで環境が整っていなかった頃は良くカンガちゃんの袋の中にルゥちゃんを収めて活動していたが、あくまでも勝手にどこか行かないようにする目的でしかなかったのにカンガちゃんは想定外なまでによくルゥちゃんの面倒を見てくれていた気がした。

 ひょっとして動物の幼体でもあの袋の中に納めたらある程度面倒を見てくれたのでは、と今更ながらにそんな考えに思い至る。

 

 だからちょうど作業を終えて一息ついていた……けれど会話の続きをするのを躊躇しているかのように黙り込んでいたソフィアへの話のとっかかりにちょうどいいと思い告げてみると感心したように頷き返してくれた。

 ただ残念な事にソフィアの見立てではワイバーンは幼体でも身体が大きいためカンガちゃんの袋には収めるのが難しそうとのことで、この子達で試すことは出来なそうであった。

 それでも他の小さい動物を育てる際に使えるだけでも十分役立つので近いうちに……少なくともオベリスクの守護者に挑む前には検証しておきたいところだ。

 

 ……だけどそういえば最近カンガちゃんの姿を見てない気がする。

 ずぅっとルゥちゃんの傍に突きっきりだったし最後に見た時も確かルゥちゃんと一緒だったからルゥちゃんに聞けばわかるんだろうけど、一体どの拠点に居るんだろうか?




今回名前が出た動物

ファイアワイバーン
ライトニングワイバーン
ポイズンワイバーン
アルゲンダヴィス
プロコプトドン(カンガちゃん)
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