八百五十七頁目
カンガちゃんの話から自然と動物の話題になり、このワイバーンが成長したらどうなるのか色々と考察を交えて会話をし始める俺達。
いつものソフィアならば話しているうちに段々と熱が入ってきて、最終的には身を乗り出しながら楽しそうに捲し立て始めたことだろう。
しかし今はどうにも歯切れが悪い上に、どこか俺の様子を伺うようにチラチラと視線を投げかけてくる。
それはまるで先ほどしていた恋愛に関する話に戻したくないから警戒しているようにも、逆にもう少し相談したいけれど言うべきか迷っているようにも見えた。
もちろん皆の悩みを可能な限り解決しておきたい俺にしてみればそんな露骨な態度を前に黙っているわけにも行かず、会話が途切れたタイミングで率直にさっきの話の続きをしてもいいか尋ねてみた。
果たしてソフィアはあっと小さく声を漏らしたかと思うと、何とも言えない困ったような様子で再び顔を背けてしまう。
……やっぱり何か胸の内に秘めている想いがありそうなのだが、こうも黙られてしまうとお手上げだ。
恐らくこれは個人的な問題なわけで、幾ら外野である俺が心配しているとはいえ究極的にはソフィア自身の決定こそが何よりも優先されるべきなのだ。
だから俺が相談してほしいと言ってもソフィア自身がそれを望まないのであれば、これ以上はただのお節介というか嫌がらせになりかねない。
どうせ居なくなる身なのだから別に嫌われる分には……辛いけど我慢もできるが、大事な仲間の心を傷つけるような真似だけは絶対にしたくないのだから。
心残りではあるけれどこうなった以上は諦めるしかないと思った俺は、ソフィアにいつも通りに戻って貰おうとこれ以上話をしない意味も兼ねて露骨に別の話題を振ってこの場の空気を改善しようと試みるのであった。
ちょ、ちょっと待ってっ!! お、落ち着いてくれソフィアっ!!
ソフィアがバタバタ騒ぐせいでワイバーンの子供たちが怯えて……や、ヤバい近くにある孵化する前の卵が騒動に巻き込まれて割れてしまわないよう守らないとっ!!
ああもう、どうしてこんなことになってしまったんだっ!?
ただ話題を変えたい一心でちょうど目についたワイバーンの孵化を一番楽しみにしていたキャシーの名前を口にしただけなのにソフィアが急に勢いよく顔を上げてこっちを見たかと思うと、やっぱりバレて……とか呟いたかと思うと顔を真っ赤にしながら奇声を上げてバタつき始めて……だ、だから卵が危ないからみんな落ち着いてくれよぉぉぉっ!!
今回名前が出た動物
プロコプトドン(カンガちゃん)
ファイアワイバーン
ライトニングワイバーン
ポイズンワイバーン