八百五十八頁目
余りに急な展開に慌てすぎて、停止命令の口笛をワイバーンだけでなくソフィアに向けても吹いてしまった。
もちろんそれで制止できるはずもなかったが、そんな俺の態度を見て今度は揶揄っているのかとか動物扱いしないでくださいとか言いながら食ってかかってくる。
まあこっちに来てくれたお陰でワイバーン達は落ち着いてくれたし卵が割られる心配も無くなった。
そしてソフィアにしても最初のうちこそプンプンと怒ってますと言わんばかりの表情で色々と捲し立てていたけれど、喋っているうちに段々と頭が冷えてきたのかその声はドンドン弱くなっていった。
最終的には再び俯いて黙り込んでしまったかと思うと、ほんの僅かな沈黙ののちに申し訳なさそうに取り乱したことをボソボソと謝罪してきた。
その上で改めて気持ちを落ち着かせようとばかりに深呼吸を繰り返してから、蚊の鳴くような小さな声で、他の人にはまだバレていませんよねと尋ねてくる。
……いやバレてるもなにも、俺としては何で突然君が取り乱したのかすらサッパリで何を言いたいのかまるでわからないのだが?
ついつい小首を傾げてしまうがそんな俺にソフィアは、今更隠さなくていいですからいっそのことはっきり言ってくださいとせがんでくる。
しかしそんなことを言われてもやっぱり心当たりのない俺は、仕方なく先ほどの騒動を思い返してみた。
確か恋愛関係の話題を変えようとキャシーの名前を出した途端にソフィアが著しい反応を示して、そしてバレてるとか何とか口にし始めて…………ん?
これってもしかして……い、嫌幾らなんでも思考が飛躍しすぎ……にしてはソフィアは顔を真っ赤に火照らせてどこか恥ずかしそうに暴れてたわけで、やっぱりひょっとすると……ひょっとするのだろうか?
何だかこっちまで混乱してきそうになるが、恐る恐る思いついた突拍子もない答え……ソフィアはキャシーに想いを寄せていて、それを指摘されたと思ったのではと口にしてみたところソフィアは思いっきり動揺したように目を見開いて固まってしまった。
絶妙に合ってたのか間違っていたのか判断し辛い反応であったが一瞬遅れて今度は物凄い勢いで持ち上げた両手で顔を覆ってしまった。
尤も隠し切れない耳まで赤く火照っていたので大体どんな表情をしているのかは想像がついてしまう
更にそのまま力なくヘナヘナとその場に座り込んだソフィアであるが、その際にほんの僅かにだがコクンと首を縦に振って見せたのを俺は見逃さなかった。
……やっぱり俺がキャシーの名前を出したタイミングがタイミングだったから自分の想いを見抜かれたと勘違いして恥ずかしさの余り暴走してたんだなぁ。
今回名前が出た動物
ファイアワイバーン
ライトニングワイバーン
ポイズンワイバーン