ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第874話

八百六十一頁目

 

 慌て始めた俺を見てソフィアもただ事ではないと判断したのか心配そうに声をかけてくる。

 そんなソフィアを気遣う余裕もなく孵化部屋を飛び出した俺はルゥちゃんを探して回る。

 しかし拠点内の全ての居住区から牧場、果ては移動拠点の中まで調べ尽くしたがどこにも姿は見当たらなかった。

 

 しかもアルケンの数も一体足りない……当然のようにルゥちゃんが自分用に使っている子だ。

 ただ牧場からアルケンが飛び立つなら隣にある孵化部屋の中に居た俺達が気づかないはずが……と思ったのも束の間で、すぐにルゥちゃん用のアルケンを最後に見たのは拠点外に待機させている超巨大な草食の背中の上であったことを思い出す。

 あそこから飛び立ったのならば気づけなくても無理はないが、だけど一体どこへ何しに行ったというんだ?

 

 ……今回だけじゃない、昨夜だってルゥちゃんは一人で何処へ出かけていたというんだ?

 基本的に野外活動をする際は誰かと一緒に行動するよう皆に周知してあるし、まして夜中と言う時間帯にはよほどのことが無い限りは外出するべきではないと言い含めてある。

 それなのにそれらの約束事を、あの素直で純粋なルゥちゃんが勝手に破って出かけるなど考えにくい……はずなのに俺はもう自分の勘違いだなんて欠片も思えなかった。

 

 少し前に会話をしてルゥちゃんに抱いていた違和感が払しょくされたような気になっていたがソフィアの証言で状況証拠が揃ってしまったことで、再び不安と共に猛烈な勢いで湧き上がってくる。

 ……昨夜にルゥちゃんが出かけているのならば今日昼過ぎまで寝過ごしていた理由も納得できるし、もしも出かけた先が昨夜に異常な発光現象を起こしていた緑のオベリスクであるとすれば……ああくそ、何であんな頭を撫でられた程度で安心して追及を怠ってしまったんだ俺はっ!?

 

八百六十二頁目

 

 もう今すぐにでもアルケンに乗ってルゥちゃんを探しに行きたいところだが、どこへ行ったのか分からない以上フラフラと出歩いてもすれ違いになりかねない。

 だからまずは拠点に残る皆に事情を説明しておき、俺が居ない時にルゥちゃんが戻ってきたら代わりに対応して貰えるようにする。

 果たして都合が良いことにルゥちゃんを探し回った際に女性の就寝部屋も慌ただしく尋ねていたため、そこで休んでいたキャシーも心配そうに俺の様子を伺いに外へと顔を出していた。

 

 もちろんソフィアもどことなく不安な様子で、だけどワイバーンの子供達から目を離せないため孵化部屋の入り口からチラチラとこちらを見つめてきている。

 そんな二人にまとめて事情を説明すべく、取りあえず孵化部屋へ……ところで少し離れたところから俺達を呼ぶ声が聞こえてきた。

 反射的に振り返れば緑のオベリスクに残って調査していたハンスさんとその護衛として残っていたシャルル少年がアルケンに乗って戻ってきているではないか。

 

 ルゥちゃんへの疑惑が否定しきれなくなった以上はキャシー達だけでなくあの二人にも周知しておくべきだと思っていたから、これ以上ないぐらいちょうどいいタイミングだ。

 またハンスさんの方も物凄く渋い顔をしており何か報告したいことがあるようであり、話したいことがあるから皆で孵化部屋に集まろうと言うと好都合とばかりに頷いてくれるのだった。

 ……その際に誰からともなくルゥちゃんを呼ばなければという意見が出たが俺が無言で首を横に振ると、その様子が余程異様に見えたのか皆困惑したり息を飲んだりしたが文句を言う者はいなかった。




今回名前が出た動物

アルゲンダヴィス(アルケン)
ファイアワイバーン
ライトニングワイバーン
ポイズンワイバーン
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