八百六十三頁目
不審なルゥちゃんの行動について説明していくが最初は誰もが信じられない様子であった。
しかし昨夜に俺とハンスさんが就寝部屋から出ていない事と他の三人が確かに牧場からアルケンが飛び立つ音を聞いていた事実は変わらない。
更に今現在も拠点内にルゥちゃんとアルケンの姿が見当たらないこともあって、各々困惑した様子を見せながらも最終的には俺と同じ考えにたどり着いたようだ。
またその際にハンスさんを含めた皆に目録作りをルゥちゃんに頼んだか聞いてみたが、やはり誰もが首を横に振って見せた。
つまりルゥちゃんは俺に対して嘘をついた……と言うよりあの時の態度からして他の誰かの指示で動いているのではないかと言う疑惑が浮上してくる。
純粋なルゥちゃんなだけに騙されてしまう可能性は十分あり得るし、同時に誰か黒幕が居るとすれば一連のルゥちゃんの行動も納得できる気がした。
そしてもしもそいつがオベリスクを操作できるとしたら昨夜の発光現象もまた説明がつくかもしれない。
それを聞いたところでオベリスクの調査をしていたハンスさんがはっと顔を上げると口を挟んできた。
何でも俺と別れた後も入念に調査してみたところ、やはりどうも操作履歴のようなものが改ざんされたような跡があったというのだ。
ハンスさん自身がエレメントダストを加工していた時間のデータも残っていなかったことで発覚したようだが、とにかくその事実はハンスさん以外にもオベリスクに干渉できる知識持ちが存在することを示していた。
尤も履歴の消し方でハンスさんが気づけてしまった辺り、操作できる知識はあっても扱いに慣れている感じには思えなかったという。
更にハンスさんはあくまでも自分の感想だと前置きした上で、履歴の改ざん程度であればそれこそオベリスクどころかコンピューターなどの端末を操作した経験があればもっと上手くやれるはずであるとのことだ。
だからその黒幕が居るとすればそいつはハンスさんと同じ未来人どころか恐らくパソコンなどが普及している俺の時代の人間でもなく、もっと古いコンピューターと言う概念のない時代の人間のような気がすると言うのだ。
……確かに俺もパソコンで履歴の改ざんと言うか消去とかはやった覚えがあるしオベリスクも似たようなものであるのならば、操作法さえわかれば疑われないように弄れなくはないと思うし、コンピューターと聞いて小首を傾げているソフィア達なら操作法が分かっていても頭の中がこんがらがって余計な作業をしてしまっても不思議ではない。
しかしもしハンスさんの言う通りだとすると、今度はどうやって俺より過去の人間がオベリスクの操作法などと言う未来知識を身に着けたというのだろうか?
前の島を攻略する中で守護者と戦うためやエレメントを加工する形でオベリスクを利用していた俺ですら、こうして二つ目のARK攻略に取り掛かっていてもなお未来技術の知識はろくに入手できていないのだ。
それこそ未来人であるハンスさんに出会えなければ未だにこのARKと言う場所が何なのかすら理解できずにいたかもしれないというのにだ。
……いやもしかしてその黒幕はハンスさん以外の未来人と出会って、そいつから知識を入手した可能性は……零ではないだろうが、この肉食だらけの砂漠で悠長にそんなことを勉強する余裕が持てるほど発展しているトライブは見当たらなかったではないか。
やはり考えれば考えるほど謎は深まるばかりで、だけどその黒幕とやらが存在するのであれば昨夜のオベリスクの発光現象からルゥちゃんの異常な行動に至るまで多くの疑惑に説明がついてしまう。
あの純朴なルゥちゃんを利用している輩が居るだなんて許しがたい話だが、野外活動をする際にルゥちゃんは俺達の誰かと必ずと言っていいほど行動を共にしていた。
だとすると黒幕とやらがいるにしても一体いつどのタイミングでどうやってルゥちゃんとコンタクトを取ったのだろうか?
今回名前が出た動物
アルゲンダヴィス(アルケン)