八百六十五頁目
モーリツさんの協力が得られたことで取りあえず誰かが緑のオベリスクに干渉すればすぐにわかるようにはなった。
だけどルゥちゃんの居場所が分からないことには変わりがなく、改めてどこを探せばいいのかを話し合う俺達。
その中で自然と残る二つのオベリスクのどちらかで作業している可能性にも思い至る。
もしそうであればここからは一番近いとはいえ拠点からの距離が長い赤いオベリスクでは野生動物への対処が難しく作業に集中し辛いであろう事を考えると、すぐ傍に拠点が作られている上に護衛として心強いティラノを待機させてある青いオベリスクの方に居る可能性が高い気がした。
だから本当にルゥちゃんがオベリスクを起動して何か仕事をしていたのだとすれば今は青いオベリスクの方で……とそこまで考えたところで、原料やエネルギー源をどうしているのか疑問が湧いてくる。
何せ基本的にオベリスクで何か作業をする際はエレメントが必要不可欠なはずなのだ。
もちろんハンスさんが前に変なモンボもどきを作った時のように例外はあるのだろうし、拠点内にある素材の在庫を調べて回っていたということはそれらを利用しようとしていたのかもしれない。
しかし何故か俺は妙な胸のざわつきと共にエレメントとルゥちゃんが関連しているような予感を覚えてしまう。
しかも自分でも不思議な事に妙な実感と言うか確信めいた想いすら抱いていて……それも最後にルゥちゃんと会った時のことを思い返すほどに強くなっていく。
同時にあの時ルゥちゃんが在庫数の確認をしていたことも思い出した俺は反射的にエレメントが今どこにどれだけ貯まっているのか尋ねてしまう。
するとハンスさんははっと何かを思い出したような様子を見せると、物凄く気まずそうに……先ほどここに戻る前にエレメントダストを加工した分を仕舞おうとしたところ金庫内の一か所にまとめてあったエレメントが妙に散乱していたと答えた。
尤も少しでも早く俺達にオベリスクを調べて分かった情報を伝えようと焦っていたこともあり、何かの拍子で積んであったのが崩れただけだろうと判断して飛び立ったため実際に数が減ったりしているか間では分からないようだ。
だけど俺はエレメントの管理に異常が発生しているというだけでも一気に血の気が引くような感覚に陥ってしまう。
……ま、万が一にもあの危険なエレメントが何かの拍子に流出しているとしたら最悪な事態を招きかねないじゃないか。
前の島での悲劇の記憶が否が応にも脳裏に蘇り始め…………エレメントに誘惑していた際に感じた感触がルゥちゃんに頭を撫でられたときに感じたソレにそっくりであったことに今更になってようやく気が付いたのだった。