八百六十六頁目
ルゥちゃんとエレメントの関連が気に掛かっていた理由を今更ながらに理解した俺は、どうしてもっと早く気づけなかったのかと猛烈な後悔に襲われる。
あの時のことはトラウマになりかけるほどの嫌な記憶だったから無意識のうちに当時の事を思い出すまいとしてしまったのだろうが、俺が間抜けな事に変わりはない。
尤も悔やんだところでどうしようもないわけで、それよりもこの危機的状況を……恐らくはエレメントに浸食されているであろうルゥちゃんをどうにかして助ける方法を考えるべきだ。
ただ未来知識のない俺にはエレメントへの対処法などわかるはずもない。
だから俺は皆に漏れ出たエレメントがルゥちゃんに影響を与えている可能性が高いことを話しながらも、自然とハンスさんにすがるような目を向けてしまう。
しかしハンスさんは……いやシャルル少年以外の皆がその事実を聞くなり青ざめると何かを悔いるように頭を抑えたり目を覆ったり、息を飲んだりしているではないか。
多分さっきエレメントとルゥちゃんの関係に遅れて気が付いた時の俺も似たような表情をしていただろうが、俺と違って皆はあの体験をしていないわけだし気づけなかったことを悔いる必要はないはずなのにだ。
一体どうしたのかと困惑する俺の前で、ハンスさんもキャシーもソフィアも、更にはオウ・ホウさんまでもが口々に懺悔するように自分のせいだと言い始める。
何でもキャシー達は少し前にGPSなどを作ってくれていたが、その際にエレメントの加工も同時に行っていたこともあり一々金庫を開け閉めするたびに暗証番号をセットするのが非効率的だと一時的にロックを外しっぱなしにしてあったことがちょくちょくあったらしい。
また同じく少し前に超巨大な草食を仲間にする際にはルゥちゃんを一人にしてあの拠点に残してしまったことを、これはもう一々見ていなくても大丈夫だと判断してシャルル少年などと行動を共にするようになったオウ・ホウさんがソフィア達と一緒に自分の責任であるかのように謝罪してくる。
更には俺がエレメントを収める金庫は厳重に管理すべきだと生活拠点の傍に置くべきではないと主張したにも関わらず作業効率化のためにルゥちゃんにも手の届く近しい場所に設置させたことにハンスさんは特に後悔しているようだ。
……そうか、そういう一つ一つのミスが積み重なった結果ルゥちゃんがエレメントに触れる機会が生まれてしまったわけか。
あのルゥちゃんがエレメントに汚染されるきっかけを作ったと思い込んでいるのならば皆がこれほど悔いているのも理解できる。
だけど皆が自分のせいだと言うのは間違っている……だってそれらを間接的であっても指示したのはリーダーである俺なんだから。
金庫の設置場所だって結局は俺が許可したことだし、オウ・ホウさんがルゥちゃんから離れて別の人と行動を共にするのも俺は止めたりしなかった。
金庫の暗証番号や中に入っているエレメントの管理にしても俺が皆の利用状況を確認した上でもっと考えるべきだったのに……全部全部リーダーとしてやらなければいけないことだったはずだ。
そう考えると全ては何もかもに気づくのが遅れた俺のせいに思えて仕方ない。
……何度も何度もモーリツさんは、仲間を守るためにも人を信じるだけでなくリーダーらしい行動をするべきだと指摘してくれていたのにどうして俺は……俺は……っ