二百六十頁目
ある程度進んだところで、少しだけ開けた足場がありそこに仄かに青く光る逆四角錐状のハイテクな何かが浮かんでいた。
まるで外で見たカプセルに似ていると思いながら観察していると、フローラがさっと左手をかざしてしまう。
すると思った通り空気に解けるように消えていき、後には毛皮で作る鎧の設計図とクロスボウの実物が落ちていた。
すぐに満面の笑みを浮かべて拾おうとサーベルタイガーから身体を伸ばし手を伸ばしたフローラだが、そこにのそのそと両手で抱え込めるぐらいのサイズをしたカブトムシに似た生き物が通りがかった。
慌てて身を引くフローラを庇うように前に出るが、どうやらこいつは無害なようでこちらに反応を示すことはなかった。
安堵しつつも、もしこいつが危険な生き物だったらと思うとフローラの迂闊な行動にやはり危機感を覚えてしまう。
尤も当の本人は虫だから嫌がっているだけのようで、本当にこの辺りの意識のずれをどうにかしなければいけないような気がする。
だからとりあえず落ちている道具を拾ってからフローラに声をかけようとして……急に彼女が怯えたような顔で叫び始めた。
慌てて振り返った俺は驚愕の光景を目の当たりにした……件のカブトムシに似た虫がサーベルタイガーが粗相したフンを……転がし始めたのだ。
……こいつはフンコロガシだったのか……確かにこの光景は女の子にはきつそうだ。
二百六十一頁目
皮肉にもフンコロガシの一件があってから、フローラはサーベルタイガーの背中から頑なに降りようとしなくなった。
本人曰く自分の意志で触れるのとは違う嫌悪感があるのだと言うが……触れたことがある方にむしろ驚いたが、恐らく畑仕事のことを指していたのだろう。
とにかくこれ以上この話を続けるのも何なので、そのまま先へと進み始めた俺たち。
相変わらずサーベルタイガー軍団を先行させて、道を切り開きながら時折頭上を飛び越えてくる蝙蝠をクロスボウで撃ち落としていく。
その際に気付いたが、先ほどカプセルから手に入れたクロスボウは自作した物よりずっと上手く作られているようでその威力の前に蝙蝠たちはあっさりと地面に落ちていく。
そこをフローラが操るサーベルタイガーが止めを刺すことを繰り返しながら、ようやく最下層までたどり着いた俺たちはそこに崩れ落ちた廃墟を見つけた。
その壁に守られるようにして内側に鎮座するアーティファクトは、怪しい輝きを放ち周囲を照らしている。
今すぐにでも回収したい思いに駆られるが、廃墟の入り口はサーベルタイガーが一匹ずつしか通れそうにないサイズだった。
一応サーベルタイガーに乗ったままでも通れそうではあるけれど……念のために仲間たちを先に入らせていく。
そしてフローラを中へと入らせてから、俺もゆっくりと廃墟の中へと進んでいくのだった。
【今回名前が出た動物】
サーベルタイガー
フンコロガシ
オニコニクテリス(蝙蝠)
【今回登場した洞窟】
NorthEastCave(暴食の洞窟)