ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第882話

八百七十頁目

 

 このARKという場所に来てからというもの、嫌な予感ばかり当たるようになった。

 今回もまたその通りのようで警戒している俺達の傍に降り立ったアルケンの背中からニコニコした顔のルゥちゃんが下りてきて……こちらが何か言う前に口を開いた。

 曰く、全部の拠点を周って目録を作って来たけどアレは金庫に入っている分だけなのか?と……

 

 声こそ変わらないがいつもの拙い口調と違って抑揚もはっきりと問いかけてくるルゥちゃん。

 それに加えてアレという表現を使っているけれど間違いなくエレメントを求めている様子から、もはや疑惑はほぼ確信に変わる。

 ……あちこち見て回っていたのは金庫に入っている分以上のエレメントを探し求めていたのか

 

 一体何を企んでいるのかもはや俺には想像もつかないがそんな事はルゥちゃんの命に比べればどうでもいい。

 自然と他の皆に目配せして傷つけずに昏倒させられる麻酔弾を準備させながら、俺はルゥちゃんに改めて……エレメントが欲しいのかと尋ねてみた。

 するとルゥちゃんは途端に笑顔を消すと真剣な様子で、まるで愚か者に啓蒙するかのような重々しい口調で答えた。

 

 ……アレはエレメントではない……エドモニウムだ!

 そんな宣言と共にルゥちゃんが力いっぱい手をふるうと、凄まじい風圧が発生して俺達に襲い掛かってきたではないか。

 信じられないがあの小さいるうちゃんの手には想像できないほどの怪力が込められていたがための現象のようだ。

 

 お陰でとても銃で狙いをつけるどころではなく転ばないようにするだけで精いっぱいだった。

 その隙にルゥちゃんは一番前に出ていた俺に接敵すると、やはり普通に考えてあり得ないほどの怪力で俺の胸元を掴むとなんと軽々と持ち上げてしまったではないか。

 そのまま他の誰かに俺を全力で投げつけるか或いはこのまま地面にたたきつけて始末するつもりのようだが、その前に俺の身体は反射的に動いて腰に下げていた棒を引き抜いてルゥちゃんの身体に押し付けて……手元にあるスイッチをオンにした。

 

 途端にすさまじい電流がルゥちゃんの身体を痺れさせていき、物理的に彼女の意識を刈り取っていった。

 そうしてあっさりと昏倒したルゥちゃんを押しつぶさないよう何とか脇の地面に身体を投げ出した俺は、軽く息を整えながら握りしめていた棒……スタンロッドを放り投げた。

 一度きりしか使えないために使える場面が限られる道具だが人間相手なら一発で昏倒させる威力があるためにこういう時には役に立つものだ。

 

 かつて同じようにエレメントに囚われて暴走しかけていた俺を止めてくれた道具なだけに念のため用意しておいたのだが、まさかここまで功を奏するとはびっくりだ。




今回名前が出た動物

アルゲンダヴィス
汚染された……?
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