八百七十一頁目
何とかルゥちゃんの身柄を確保できたわけだがここからが本番だ。
見た目にそぐわない怪力を震えるようになっていることからハンスさんはエレメントの浸食はかなり深刻ではないかというのだ。
だから一刻も早くオベリスクへ向かいルゥちゃんを治療したいところなのに、ここで新たな問題が発生する。
……寄りにも寄ってこのタイミングでミッキーたちが鳴き声を上げ始めたのだ。
「くぅくぅ」とも「はる!はる!」とも聞こえるその鳴き声は、経験則からしてこの状況において一番厄介な砂嵐の到来を告げるものであった。
他の天候ならば強引に突っ切る手もあったのだが、視界がめっきり悪くなりスタミナを消耗させる砂嵐に巻き込まれたら進むも戻るも難しくなる。
まして今は夜中でただでさえ遠くを見通せない状況なのに砂嵐まで発生しているところに足を踏み出せば間違いなく遭難してしまうだろう。
せめて太陽さえ出てくれれば砂漠用の装備についてくるゴーグルで砂嵐の中でも最低限視界は確保できるかもしれないが、それまではこの拠点から出ていくのは危険すぎる。
だから俺達は女性達の居住区の屋根の上に新たに金属の建材で作った部屋を作り、その中にルゥちゃんを寝かせておくことにした。
前にギガノトを仲間にした時の様に定期的に黒い果実を齧らせて朝か砂嵐が去るまで眠らせ続けるつもりだが、万が一途中で目を覚ましてしまった際に強引に逃げ出されないためだ。
幾らエレメントの影響で怪力を振えるとしても流石にティラノやギガノトクラスですら破壊できない金属の建材を壊して逃げたりはできないはずだ。
もちろん出入り口にはしっかりと鍵をかけるのも忘れない……のだがルゥちゃんみたいな幼子を事実上の監禁状態に置くのは物凄く胸が痛んだ。
だからせめて不快な思いだけはさせまいとベッドやエアコンなども用意して快適に過ごせるようにしておく。
また俺達は何かあればすぐに駆け付けられるよう下の階で待機することにして、また何かあった時にすぐ対処できるようメディカルブリューなどの薬から飲食物まで色々な物資を可能な限り持ち込んでおくことにした。
……考えうる限りの準備を終えた、後は何事も無く朝を迎えてそれまでに砂嵐が去っていてくれればいいのだが……どうか何事も起こらず上手い事ルゥちゃんを助けられますように。
遂に砂嵐が訪れたみたいで外からは激しく吹き荒れる風の音が聞こえてきて、余りの勢いに建物がきしむ様な音……っ!!?
い、今二階から轟音がしたかと思ったら天井が……く、崩れ落ち――――
今回名前が出た動物
トビネズミ(ミッキー)
ギガノトサウルス
ティラノサウルス