ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第886話

八百七十四頁目

 

 ひときわ大きな超巨大な草食の悲鳴が聞こえてきた。

 遅れてズシンと巨大な何かが地面に倒れ伏す衝撃と震動が拠点内に居る俺達の元まで届いてくる。

 そして先ほどまでの騒ぎが嘘のように、後には砂嵐の吹きすさぶ音しか残らなかった。

 

 戦いは終わったようだ、そして伝わってきた衝撃がティラノやブロントが倒れた時よりも激しかったことから倒れたのは……超巨大な草食なのだろう。

 これがもし俺の考えたほんの僅かにある超巨大な草食同士の戦いであれば片方が負けた、というだけで済む話だ。

 だけどもしも俺が想定している最悪のシナリオだったとしたら……結局建物跡地を完全に掘り起こしても見つからなかったルゥちゃんが絡んでいるとしたら……駄目だ、やっぱり信じたくないし認めたくもない。

 

 だから本来なら早く晴れて欲しいはずの砂嵐が、いっそこのまま続いて欲しいとすら思ってしまう。

 ……だって晴れたら確認しに行かなければいけなくなり、否が応でも現実を見せつけられることになるのだから。

 他の皆も同じ心境のようで、先ほどまでは天変地異だとか神の怒りとか騒いでいたシャルル少年も含めて皆黙り込んでしまっていた。

 

 ただこんな風にテントの中で呆然としているわけにはいかず、俺は重い気持ちを押し殺して皆に声をかける。

 砂嵐が収まったらすぐに動けるように、今こそ建物の跡地を掘り起こしたりして付かれている身体をしっかりと休めておくべきだと無事な住居の中に避難して俺が見張る間に皆にはベッドの中で休んでもらう。

 尤も緊張と不安でそう簡単に寝られはしないかとも思ったが、砂嵐の中での作業とこの状況での精神的疲労が重なったためか案外皆早く眠りに落ちていった。

 

 ……ゆっくり休んで英気を養っておいてくれ、下手をしたら超巨大な草食を倒すほどの力を持ったオベリスクの守護者かそれ以上の怪物と争うことになるのかもしれないのだから。

 

八百七十五頁目

 

 不幸中の幸いとでもいうのか砂嵐が止んだのは日が昇ってからであった。

 お陰で活動するのに何の問題もなく、俺達は早速外へ出て超巨大な草食が争っていた場所を探すことにした。

 尤もあの巨体なだけに探し回る必要すらなくあっさりと……身にまとっていた金属の建材ごと押しつぶされた俺達の仲間であった超巨大な草食の死体を見つけることができた。

 

 もちろん野生動物の中でこいつを倒しうる同族同士の争いという可能性を否定するかのように近くには何の生き物の姿もなく、代わりにほんの僅かだが血痕のように広がる紫色の液体と、蛸の足にも似た触手の切れ端のようなものだけが残っていた。

 それが何を意味するのか分からないけれど、紫色の液体は青ざめているハンスさん曰く液体になったエレメントに似ているらしく、自然とルゥちゃんとの関わりを疑わせてくる。

 だけどそうなる時になる点が一つ……仲間の動物は同じトライブの人間を攻撃したりはしないはずだ。

 

 つまりもしも本当にルゥちゃんがこれをやったとするならば、動物達にはもう仲間だと思われないほどの変質が起きてしまっていた可能性があり、そこから紫色の液体や触手の切れ端のような跡を合わせて考えると……考えたくもないよ、くそっ!!




今回名前が出た動物

ティタノサウルス(超巨大な草食)
ティラノサウルス
ブロントサウルス
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