ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第887話

八百七十六頁目

 

 紫色の液体は点々と砂漠の上を続いており、惨劇を起こした主の向かった方向は大体見当がついた。

 ……いや何ならばみるまでもなく理解できていたかもしれない。

 どう見ても緑のオベリスクに向かっているその跡をたどって顔をあげてみれば、太陽の眩しさで見え辛いものの発光現象を引き起こしている緑のオベリスクも目に入るからだ。

 

 誰かがあそこで何かをしている……他のオベリスクではなく俺達のエレメント入りの金庫がある緑のオベリスクで……

 昨日最後にルゥちゃんと会話した時に言っていた、目録を作るという目的で他の拠点にもエレメントが隠れていないか探していたという発言が脳裏に蘇る。

 もしかしなくてもルゥちゃんは、俺達に気づかれないよう秘密裏に他のオベリスクで作業しようとしていたのかもしれない。

 

 だけどあの金庫にしかエレメントが入っていなかった上に俺達にも異常に気付かれてしまったから、もう隠れて行動する必要がなくなり堂々とあそこで作業をしているのだ。

 尤も本当にあれがルゥちゃんの仕業ならばある意味では好都合と言えなくもない。

 ルゥちゃんの身体からエレメントを取り除くためにはオベリスクを利用する必要があるわけで、あそこまで運搬する手間が省けたようなものだ。

 

 ……ただ何よりも大きな問題は一つだけ、あの超巨大な草食をも打倒してしまうほどのルゥちゃんをどうやって抵抗しないよう抑え込むかだ。

 たまたま一度目はだまし討ちのような形で上手くいったが、次からはもう絶対に油断しないであろうことを考えると……絶望的だ。

 そもそも昏睡させて黒い果実を齧らせているというのに強引に起き上がってきたところを見ると特殊個体の動物やオベリスクの守護者の様に、もう麻酔すら通じない存在になってしまったかもしれないのだから。

 

 でもだからと言ってこのまま放置するわけにも行かず、皆も今すぐにでも助けに行こうと言ってはいるが……俺はあえて首を横に振った。

 すると珍しく普段はリーダーである俺に従ってくれる皆はルゥちゃんを見捨てるような真似は、と食って掛かろうとしてくる。

 しかし俺は今回ばかりは譲る気はないし……だからと言ってルゥちゃんを見捨てるつもりでもない。

 

 あの超巨大な草食をも打ち倒す相手を前にろくに準備もしないで突っ込んでも一方的に蹴散らされるだけなのは目に見えている……だからこそ今すぐ突っ込むのではなく俺達のトライブに残る全力を結集させて可能な限りの最大戦力を用意してから向かうべきなのだ。

 俺達がやられればルゥちゃんだってエレメントの汚染からは逃れられない……これは絶対に負けられない戦いなのだから……。




今回名前が出た動物

ティタノサウルス(超巨大な草食)
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