ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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21/08/24 一話前の話の描写変更

記憶違いを起こしておりました、申し訳ありません。
アーティファクトのある廃墟の入り口はサーベルタイガーなら余裕で入れる大きさだったので訂正いたしました。


第89話

二百六十二頁目

 

 想像以上に大きかった廃墟の入り口から一匹ずつサーベルタイガーを中へと入れたことで、内部はかなり狭くなっている。

 それでも何とか、光り輝きながら手が届く程度の中空に浮かんでいるアーティファクトへと近づいていく俺とフローラ。

 その外見は幾何学的であり、材質も左手の鉱石と同じ天然には存在しない物質で出来ているはずだ。

 

 だけどどうしてこうも自ら光り輝く人工的な物体が、こんなにも美しく感じるのだろうか。

 思わず見惚れてしまった俺だが、フローラも同様なようでサーベルタイガーの背中から手を伸ばしそっと触れてしまう。

 すると途端にアーティファクトはまるで自らの意志と言わんばかりに自然な動作で彼女の手の中へと納まった。

 

 うっとりとした表情で手の中で輝くアーティファクトを見つめるフローラ……俺も触ろうと手を伸ばしたところで何やら奇声が聞こえてきた。

 すぐに声の聞こえた壁の方を見ると巨大なトカゲが張り付いていて、こちらに向かって飛びついてきたではないか。

 慌ててフローラに当たらないよう突き飛ばしたところで、思いっきり腕に噛みつかれてしまい……凄まじい激痛と共に何やら眩暈のようなものを感じた。

 

 慌てて仲間の動物たちに攻撃するよう指示を飛ばすと、その迎撃をしようとしたのかトカゲは俺の腕を離して別のサーベルタイガーに食らいつき始めた。

 それでも何とか倒したものの、俺の腕は既にズタズタになっていて酷いものだった。

 おまけに妙な悪寒がして仕方がない……やはりこんな場所には長居すべきではないようだ。

 

二百六十三頁目

 

 激痛に苦しんでいた俺にフローラが涙目で持ち込んでいたメディカルブリューを飲ませてくれた。

 おかげでびっくりするぐらい早く傷が癒えていくのを感じながらも、とにかく逃げようと動き出した俺たち。

 先に落ちてきていたサーベルタイガーとも合流して、来た道を逆に辿り始めた俺たちの前に、あれだけ倒したはずの生き物たちが立ちはだかってくる。

 

 どうやらこの短時間の間に新しく湧いたらしい元気な蝙蝠や蜘蛛に襲い掛かられながらも、何とか打ち払いつつ坂道を登っていく俺たち。

 途中にある隙間に注意して飛び越えながら……また何匹かサーベルタイガーが下へと落ちたがもう合流は諦めて進んでいく。

 そして何とか入り口近くにある水源まで戻ることができたが、その段になっても俺の全身を包む悪寒は消えてくれなかった。

 

 それどころか咳まで出始めていて、フローラが物凄く心配そうに俺を見つめている。

 ひょっとして変な病気にでもかかったのかもしれないが、どちらにしてもここに居ても仕方がない。

 もうとにかく逃げ出そうと残りのサーベルタイガーを殿代わりに待機させつつ俺とフローラで水の中を潜って進んでいく。

 

 光源の少ない水中を必死に手探りで進み、咳き込むせいで呼吸がおぼつかなくなったところでようやく水面を見出すことができた。

 そのままフローラに手を引かれるように陸上へ引き上げてもらうとそのまま洞窟を飛び出し……外へ出たところで入り口を警護させていたティラノに飛び乗りようやく一息つくことができたのだった。

 ……十二匹もつれ込んだサーベルタイガー軍団だったが、結果的には二匹しか連れ戻すことができなかった。

 

 その事実と苦しそうにしている俺を見つめているフローラは何を思うのか、安堵の溜息をコホンとついた後で、拠点に戻るまで一言も口を利かなかった。




【今回名前が出た動物】

サーベルタイガー
メガラニア(巨大なトカゲ)
オニコニクテリス(蝙蝠)
アラネオモーフス(蜘蛛・ゲームオリジナル生物)

【今回登場した洞窟】

NorthEastCave(暴食の洞窟)

【今回手に入れたアーティファクト】

暴食のアーティファクト
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