八百七十九頁目
ルゥちゃんの救出は大変な出来事が山盛りだった。
本当に色々とあり過ぎて、日記にどうまとめて良いか分からなくなるぐらい。
だからあえて詳細は省いて結果だけ出すけれど……完璧な勝利とはいかなかった。
確かにルゥちゃんの身体に取り付いていた奴はエレメントの汚染ごと排除できた。
そのために俺達のトライブに居た動物はアルケンを除いてほぼ全滅状態に陥ってしまったが、それは仕方のないことだ。
代わりにモーリツさんが……途中で助けに来てくれた彼が表面上は渋々と言った様子を見せながらも定期的にこちらへと合流してくれるようになった。
お陰で人手も十分であり、何とか設備や物資を最低限立て直すことはできた。
だけど致命的に取り返しのつかない損失が『二つ』も出てしまったことだけが俺達の心に影を差していた。
一つはルゥちゃんをここまで一緒に育ててくれたカンガちゃんの喪失。
まだうなされてばかりでちゃんと意識の戻っていないルゥちゃんが改めてこの現実を知って精神的に更なるショックを受けたら……『肉体的』にも問題があるのに果たして耐えられるのだろうか?
――そう二つ目の損失、それはルゥちゃんがエレメントで汚染されていた右腕を失うことになってしまったことだ。
ハンスさん曰く最初にエレメントを手に取ったであろう右腕はあそこまで変異が進んでいたことからもわかる通り完全に手遅れであった。
だからエレメントを除去する光が収まった時にはルゥちゃんの右腕は消失しており、更に右目の下にも伸びていた部位が焼失した後がはっきりと残ってしまっていたのだ。
メディカルブリューを飲ませたりしても治らず、ルゥちゃんは今後一生この傷痕を背負って生きることになってしまった。
――これもそれも全部、ルゥちゃんの寂しさに気づいてあげれなかった不甲斐ないリーダーである俺の責任だ。
もう何度となく実感させられたことだが、こうして取り返しのつかない状況を前にすると、どうしようもないぐらい自分が許せなくなりそうだ。
だから俺はもう――決めたのだ。
このトライブが立ち直るまで協力した後は、もう一人でやれるところまでやろうと……他の誰かを巻き添えにしたり誤った判断で致命的な損害を与えないように。
かつて島でも似たようなことを誓ったがあの時は復讐心で視野が狭くなっていたからであった。
だけど今度は違う、ちゃんと周りの事が見えているし仲間の事をどうでもよく思ったわけでもない。
本当に大事な仲間だからこそ……今回の件で皆が仲間のためならば命の危険も顧みず手を貸そうとしてくれる人ばかりだからこそ、俺はもう巻き添えにしたくないと心から思うのだ。
――そのためにはここで一緒にみんなと平和に暮らすと言うのが一番良いのだろう。
けれど俺は絶対にフローラを諦められない。
つまりこれはただの俺の我儘だ……そんなことに他の誰かを付き合わせるわけにはいかないのだ。
だから多分もう次のARKについても俺は仲間を集めたりはしないだろう。
もちろん襲われている人がいたら可能な範囲では助けるし、協力を求められたら手を貸すことも考えるけれど……仲間として一緒に行動はしないと思う。
それがリーダー失格者であり、ルゥちゃんをここまで追い詰め傷つけてしまった俺の取るべき筋だと……多分間違っているのかもしれないけれどそう思わないと自分を許せそうにないから……。
今回名前が出た動物
アルゲンダヴィス(アルケン)
プロコプトドン(カンガちゃん)