ARK とある青年の日誌   作:車馬超

899 / 1041
最終章・アベレーション編ですが本来ゲームではありえない描写・展開が混じってきます。
突っ込みどころもあるかと思いますがおおらかな目で見ていただけたら嬉しいです。


アベレーション編
第899話


一頁目

 

 目が覚めて困惑するのはこれで三度目だ。

 新たなARKへ全裸で放り出され、そして目の前に広がる一変した世界に驚かされる。

 だけど今回の驚きは今までよりずっと大きかった。

 

 何故なら目の前には自然の驚異、ではなく巨大な金属質の何かが飛び込んできたからだ。

 地面もまた所々の隙間から草が侵食しつつあるが金属で加工された人工物。

 そしてそこに埋め込まれるというか組み込まれる形で正面には強大なリング状の何かが固定された状態でいくつも並んで奥まで続いているではないか。

 

 これまでのARKとは全く違う光景に戸惑いを隠せない。

 しかし金属の地面の上を見覚えのあるステゴやトリケラにドードーが行きかっているのを見ればこれまでの経験が役に立つことは変わりないだろう。

 だから気持ちを落ち着けてまずはこの金属質の何かを始めとした環境の調査よりも先にいつも通り採掘道具を始めとした身の回りの品を揃えよう。

 

 そう思って立ち上がったところでカツンと何かが落ちる音がした。

 見れば見覚えのある機器……前のARKでハンスさんが改良してオウ・ホウさんの仮の肉体になったナビゲートメカが落ちているではないか

 まさか何かの間違いでオウ・ホウさんを連れてきてしまったのか?

 

 困惑しながらも取りあえず自分の左手首に埋め込まれたインプラントと反応させて動かそうとしたが、何故か右手首に埋め込んだフローラのインプラントが反応した。

 そして浮かび上がったナビロボは見覚えのある軌跡を描きながら俺の周りをグルグル回ったかと思うと、とても……ああ、本当に懐かしい声を発したんだ。

 

『もしも~し? 聞こえてる? 私だよ、フローラだよ!!』

 

二頁目

 

 ずっと会いたかった、声を聴きたかった、何度も夢にも見たフローラ。

 忘れようもない彼女の声と喋り方……偽物だなんて思わない、間違いなく彼女だ。

 周りの状況も何も忘れるほどの衝撃を受けながら縋り付くように両手で優しくメカを包み込むと、彼女の宿ったメカは大人しく収まりチカチカと懐かしむ様に発光をする。

 

 何がどうなっているのか分からないけど、こうして彼女とまた話せるだけで嬉しくて仕方なくて涙がこぼれてくる。

 そんな俺を慰めながら彼女は『待つ者』が前のARKでハンスさんがしたことを参考にしてこうして私の意識を反映できるようにしてくれたと教えてくれた。

 ……そういえば確かに意識を失っていた際に待つ者が『彼女の意識はもう先に行っています。目を覚ませばすぐに会えることでしょう』とか言っていた気がする

 

 それはまさかこういう意味だったなんて……肉体がないのは残念だがそれでも十分すぎるほどうれしい。

 感激のあまりそのままフローラを優しく包み込んだままこれまで抱いていた感情の全てをぶつけ……ようとしたところで聞き覚えのある鳴き声が聞こえてきた。

 顔をあげればなじみ深いラプトル共がステゴ達と争っているではないか。

 

 せっかくの感動の再開なのに空気の読めない奴らだが今に始まった話ではない。

 曲がりなりにもせっかくフローラと出会えたのに油断で命を落とすような真似はしたくない。

 仕方なくフローラとの会話は後で楽しむことにして、改めていつも通り採掘道具から防具そして拠点づくりのテンプレート的な行動を始めるのだった。

 

『ごめんね、傍から離れられないし身体がないから応援しかできないけど……貴方の頑張りをずっと見ているからね』




今回名前が出た動物

ステゴサウルス変種(ステゴ)
トリケラトプス変種(トリケラ)
ドードー変種
ユタラプトル変種(ラプトル)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。