ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第90話

二百六十四頁目

 

 何とか拠点に戻った俺だが咳が止まらず、眩暈までしてきた。

 どうやら完全に何かの病気にかかってしまったようだ……やはりあのトカゲには毒か細菌が付いていたのだろう。

 果たしてこの症状はどんなものなのか、危険な病気なのか一過性の風邪なのか……医者ではない俺やフローラには全く判断が付かない。

 

 かつてなら病院に行って薬を貰えばそれで済んだだろうけれど、この島では死活問題に繋がりかねない。

 だからフローラの手料理を齧り、用意してもらったメディカルブリューを飲んで体力の回復に努めながら布団に横になる。

 とにかくこの悪寒と咳が止まらないと行動もままならない。

 

 外からは護衛のティラノが暴れる音がする……こんな危険な肉食島に留まらなければいけないだなんて……フローラに申し訳がない。

 やはり洞窟探索はもっと慎重にすべきだったかもしれない……尤もフローラが病気にならなくて済んだのだけが何よりの救いだ。

 

二百六十五頁目

 

 最悪だっ!! まさか感染症だったなんてっ!!

 しかも空気感染するのか、濃厚接触なんかしてないはずのフローラまで苦しそうに咳き込みながら倒れてしまった。

 洞窟からの帰り道で口数が少なくなっていたのは、ひょっとしてあの時点から感染していたのかもしれない。

 

 慌てて俺の横に眠らせたが、お互いに咳き込むばかりで全く体調が回復する様子が見られない。

 まだ食糧はあるけれど、このまま病気が治らなかったらどうなることか。

 それだけじゃない、余りこの場所に長居したら……ただでさえ肉食塗れの島だというのに俺たちを追い出そうと動物を差し向けられるようになったら果たしてどこまで抵抗できるだろうか。

 

 一応ティラノを仲間にしてるからそうそう負けはしないと思うが……それこそ前に戦った赤いオーラをまとったラプトルでも勝てるはずだ。

 ……ふと思う、もしも赤いオーラを纏うのがラプトルだけじゃないとしたら……もしも赤いオーラを纏ったティラノが……考えたところで恐ろしくなって俺は思考を打ち切った。

 とにかくその前に治せばいいのだ……だけど全然症状が軽くならない……最初看病を受けていた時は少しずつ咳が収まっていたような気がしたのに……。

 

二百六十六頁目

 

 外でティラノが野生の生き物と争う音が止まらない……尤も今のところは敵らしい敵は居ないようだけれど。

 それよりも当面の問題は全く風邪が治らないことだ。

 もう二日が経過したのに、咳や眩暈それに悪寒も全く収まる気配がない。

 

 フローラも同様なようで、顔を赤くして苦しそうに呻いている。

 今はまだメディカルブリューがあるから何とか体力を維持できているが、これがなくなったら本当に重症化して意識を失いかねない気がする。

 その前に治さなければいけないのに、一体どうすればいいのだろうか……薬を作りたくて左手首の鉱石を見つめるけれど、どうも材料不足のようで上手く思い浮かばない。

 

 他にどうすればいいのだろうか……せめて別の島に移動出来れば……怠くて苦しいけれど、とりあえず外の様子ぐらいは見てこよう。




【今回名前が出た動物】

メガラニア(トカゲ)
ティラノサウルス
αラプトル(赤いオーラを纏ったラプトル)
αティラノサウルス(赤いオーラを纏ったティラノ)
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