ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第903話

九頁目

 

 前の砂漠と違って夜中を迎えても人の悲鳴が聞こえてくることはない。

 実際のところ、今の時点ではあの砂漠ほどの難易度は感じられないしもし新しい人が来てもすぐにやられる心配はないと思う。

 しかし多分誰も来ていないだけだと思うのは、初めの場所のすぐ近くで発光するスティックを広範囲に撒いてわかりやすくしているのに誰も近づいてこないからだ。

 

 やはりあの砂漠であれほどの人間が次から次へとやってきていたのはバグだったのだろう。

 或いは単純に最初の島のようにやってきた俺という生存者がここにとどまっているから送り込むのを延期しているだけかもしれない。

 まあその辺のことはまた後々判明してかもしれないが、今の時点では無意味な犠牲者が出ないことに安心しておこう。

 

 ……ただ俺がここにやってきた経緯を想うとまともには新しい生存者はこのARKへやってこれないような気がする。

 何せ本来行くべきARKが他にあったはずなのに、突然吸い寄せられるように俺はこのARKへと引きずり込まれたのだから。

 ……だとすると俺は本当にたった一人でこのARKを攻略することになるのだろうか?

 

 前の砂漠でそう決心を固めたつもりなのにもかかわらず、本当に全く人間の援護を一切得られないと思うと少しだけやっていけるのか不安になる。

 

『一人じゃないよ!私がいるよ!それにあなたならきっと大丈夫!どんな状況でも乗り越えていける私のヒーロー!最強のサバイバーなんだから!』

 

十頁目

 

 フローラの励ましで目が覚めた。

 そうだ俺には最愛の人が付いているんだ……何を恐れる心配がある?

 彼女の言う通りこれまでだって多くの危機があったがちゃんと乗り越えてここまで辿り着けたではないか。

 

 俺を見送った仲間達だってきっと同じことを思ってくれているはずだ。

 なのに俺が俺自身を見限ってどうするのか。

 本当に俺はすぐ弱気になる……だけどフローラ、君さえ傍にいてくれるなら俺はきっと大丈夫だ!

 

『その調子だよ!でも意気込んで夜中なのに無理しちゃだめだよ?見張りはしておくから少しでも寝ておこうね?』

 

十一頁目

 

 フローラに勧められるまま布団に横になり朝を迎えた俺は充実した気力でもって早速精力的に活動を始めた。

 弓矢と共に更に木材で作った壁などを利用して簡易な高台を作ることで周囲の確認をしつつ安全に打ち下ろせる場を完成させる。

 そうして改めて遠くまで見まわそうとしたが金属で作られた装置周りが邪魔過ぎて余り視界が確保できない。

 

 だけど少し先の方で見覚えのある巨体が動いているのはちらっと見えた。

 前の砂漠では非常にお世話になったパララ君の同種だ。

 また捕まえて移動拠点にしたいところだが、当たり前だが現時点の物資ではそんなことをする余裕はない。

 

 それよりも今は着実に原始的だけど最低限安全に暮らせる地盤を固めるべき段階だ。

 そのためにもここいらで皮と生肉は必須……だから攻撃を仕掛けようとしたが、その前に近くで聞き覚えのある鳴き声が聞こえてきた。

 見ればそちらでも見覚えのあるアルマジロが丸くなっており、それを囲むようにラプトルの群れが攻撃を仕掛けているではないか。

 

 ちょうどいい、あいつらが居ると散策の邪魔になるし駆除しつつ素材になって貰うとしよう。

 

『……あれ?なんかあそこ砂煙が舞ってない?気のせいかな?』




今回名前が出た動物

パラケラテリウム変種(パララ君)
ドエディクルス変種(アルマジロ)
ユタラプトル変種
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