二百六十七頁目
外へ出た俺が物音を確認したところ、ティラノが近くに居る肉食を片っ端から蹴散らしている所が目に飛び込んできた。
どうも近くで肉食同士が争い、死体が発生するとその肉を求めて食らいつきに行き戦闘になっているようだ。
尤もそうやってこの辺りを安全にしてくれているのはありがたい限りだし、勝手に食事をとってくれるのも助かる。
時折野生のティラノと争っているのは不安だけれど、こちらは二体掛かりで連携を取って攻撃しているからそうそう負けることはなさそうだ。
アルケン君とタヴィちゃんも死肉を食べたそうにしているが、この二体は俺たちの生命線だから絶対に出て行かないよう厳重に注意していある。
その指令を忠実に守ってくれているようで、今のところは家の傍で待機している……これなら本当にどうしようもなくなった際は、彼らに乗って逃げられそうだ。
尤もこの病気が治らないと、彼らにしがみ付いている体力すら……そう思ったが何やら少しだけ体調が改善しているような気がしてきた。
急にどうしたのかと少し悩んで、ふととんでもないことが頭をよぎる。
この病気は感染症だった……ひょっとしてフローラの傍に居ると互いのアイダを病原菌が行き来して良くない状態を保ってしまうのではないだろうか?
流石にそんなと思いたいところだが、この島であり得ないことなどあるとは思えない……それこそ新種の病原菌が居ても不思議ではないのだから。
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まさかと思いつつも、大声でフローラに仮説を伝えた上で近づかないようにいい含めて俺は別の場所で横になった。
すると予想通り、先ほどまで全く改善の余地が見られなかった症状が少しずつ軽くなっていく。
悪寒も咳も収まって行き、体力の消耗もマシになったような気がする。
この調子ならフローラの手料理とメディカルブリューで体力を温存すれば、何とか明日には元気を取り戻せそうだ。
フローラの方も大声で様子を訪ねると、向こうもまた改善しているようで返事が少しだけ力強く感じられた。
しかしまさか本当に相互間で移り続ける厄介な病気だったとは……やはり洞窟においては少しの油断が命取りになりそうだ。
いやそもそもこの島からして、一歩間違えれば命の危険があちこちに転がっているのだ……今更ながらにその事実を思い出す。
やはり近いうちにフローラにはちゃんとその辺りのことを言い含めなければ……仮に嫌われることになったとしてもきつめに注意して……彼女にだけは死んでほしくないから。
【今回名前が出た動物】
ティラノサウルス
アルゲンタビス(アルケン君・タヴィちゃん)