ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第923話

六十一頁目

 

 カルちゃんは元よりあの出血攻撃を伴う鋭い牙のある生き物も岩の壁を壊す力はなかった。

 こうなるともう一方的に打ち抜けるわけで、あっさりと問題なく二体とも眠らせることが出来た。

 ただその際に囮に使ったラプトルは、下手に外へ出そうとすると近しいサイズの犬の子まで一緒に出てしまうためその場に残すしかなく、結果的に二体から殴られて命を落としてしまった。

 

 本当に悪いことをしたと思うが、もし自分が直接囮になったりしてちょっとしたミスでこの二人から攻撃を受けたらダブルで出血してあっさりと命を落としまう。

 そう考えるとリスク管理として仕方のない判断だった……そう自分に言い聞かせながら二体に餌を上げていく。

 ……もうさんざんやってきたと言うのに未だに生き物を使い捨てにするのに慣れない俺は、本当にこのサバイバル環境に適応できているのだろうか?

 

 ここまで生きてきた以上は適応できてると思いたいところだけれども、何度も落ち込んだりして他の人に助けられてようやくここに辿り着けている辺り本当は……って痛っ!?

 き、牙が鋭くて危険すぎる!! 餌与えるだけで指が落ちちゃいそうだ!

 

『あー、これはあれだね……ギガちゃんの時みたいに牙を削るしかないかもね…………あの時、私ももう少し慎重に動いていればあなたにもこんな思いさせずに済んで……はぁ……なんか私まで落ち込んできちゃいそう……』

 

六十二頁目

 

 無事に仲間になったカルちゃんに対して、もう一体の方は少しラベ……じゃなくて駄目になってしまった。

 安全に餌を与えるため、鋭すぎる牙を削った結果として出血を伴う攻撃が出来なくなってしまったのだ。

 本当にもったいない限りだけれど、傷口から下手な病気にかかる方が困るから仕方がない。

 

 何せこのARKの病気は滅茶苦茶厄介な上に、薬も必要な素材が限られていてここでは作れない可能性すらあるのだから。

 ちなみにダメというところをちょっと嚙んでラベと言い間違えたのがフローラには余程ツボだったようで、そのままこの子の名前はラベちゃんとなった。

 まあ名前なんか別に憶えやすければ何でもいいのだが、それよりもこの子のサドルにインゴットが必要そうな点の方が厄介だった。

 

 金属鉱石の塊はあの放棄した拠点の傍にしか見つかっていないので、作るのに全然量が足りないのだ。

 サドルを作らないと本格的にこの子の他の能力を試すこともできないわけで、なおさら目に見えていた出血攻撃が失われたのが痛いと思えてしまう。

 

『もしかしたらコレオちゃんみたいに便利かもよ? それにここを進んだ先であっさり金属鉱石見つかるかもしれないし、この子は後の楽しみにここへ置いておいて早く先へ進もう!もちろん慎重にね?』




今回名前が出た動物

カルノタウルス変種(カルちゃん)
ラベジャー(鋭い牙のある生き物、ラベちゃん)
ユタラプトル変種
ギガノトサウルス(ギガちゃん)
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