九十二頁目
ジップラインは便利過ぎる。
スピノという大型の肉食ですら安全に誘導して罠に嵌めて確実に捕獲できてしまう。
そして仲間になったスピノにサドルを付けて、久しぶりにその性能を確かめてみたが圧巻だった。
ティラノにこそ劣る、と懐かしすぎて勘違いしかけたのも一瞬で水辺で張り切るスピノが二足歩行するようにして前足を自由に振り回すとその攻撃速度と威力はティラノに勝るとも劣らないものであることをすぐに思い出した。
これならカニとも同等以上に渡り合えるわけで、ここに弓矢とカルちゃんの出血攻撃による援護が加われば確実に倒していけるだろう。
そう思って更に下流を探索……する前に孵化部屋に戻って駄目になってないかお世話をしに行かないといけない。
……テンポが悪いけど一人なのだから仕方がない。
『みんながいてくれたときは本当に助けられてたんだね……私に身体があれば話が違ってくるのに……何もできなくてごめんね? でも絶対最後まで傍にいてずっと貴方の頑張りを見てるからね?』
九十三頁目
ある程度、孵化部屋の状況が安定するまで派手に動けないと悟ったこともあり、俺は先に移動拠点と旋盤を始めとした設備を完成させてしまうことにした。
どうせ一か所にとどまっていたらカニ達の方から襲撃しに来るだろうし、ギリギリまで粘って返り討ちにして素材を集めてやるのだ。
その間にインゴットも着実にためて、移動拠点を完成させた上でその背中に最初から旋盤などを設置してしまうつもりだ。
そうすれば移動した先で一々、新しく設備を整える必要もなくなるわけで、一度の遠征をさらに長引かせられるようになる。
人間の仲間がいないから一度にできることが限られている以上は少しでも効率を上げていかなければいけないのだから。
……ただパララ君を守る鎧替わりにまとわせる建材は金属ではなく岩で妥協するしかなさそうだけれども。
『もう作業机どころか旋盤までは余裕で作れるとして、後は発電機とエアコン冷蔵庫、そして科学作業台も欲しいところだね?出来れば工業炉も作っておきたいけどアレは大きいから流石に背負わせるのは無理かなぁ?』
九十四頁目
TEKが湧きやすいとはこんなに便利だとは。
またしてもTEKステゴのしかも雌を仲間にすることができた。
更に最初に生まれたTEKステゴの子供も雌だったこともあり、一気に生産速度が上がったと言っていい。
もちろんカルちゃんやラベちゃん、そしてTEKラプトルの方も順調に数が増えている。
更にインゴットとメディカルブリューも着実に増えており、また移動拠点の方も少しずつ形になってきている。
……岩の建材だから一気に完成させるだけの素材は揃っているのだが、やることが多すぎてどうしても時間が掛かるのだ。
何せ孵化部屋の様子見に金属鉱石の調達と炉への投下と木炭とインゴットの回収、それらを作業机に収めて旋盤などのクラフト作業。
更にそこへ近づいてくるカニとスピノへの対処も入ってくるのだ。
尤も近づいてくるスピノは片っ端から仲間にしていき、そうして増えた戦力でカニは袋叩きにするお陰でこれまた確実に素材は集まってきている。
本当に順調だが、カニとスピノの襲撃がほぼ同時になりつつある。
まあカニも岩の建材を壊せないのでジップラインと罠のコンボで上手く分担できているが、これが三匹以上同時とかになってきたら洒落にならないし、そろそろ一旦引っ越したほうがよさそうだ。
『ARKであんまり調子に乗ってると絶対に痛い目見せてくるからね!無理せず余裕を持って動こう!』
今回名前が出た動物
スピノサウルス変種
ティラノサウルス
カルキノス(カニ)
パラケラテリウム変種(パララ君)
TEKステゴサウルス
カルノタウルス変種(カルちゃん)
ラベジャー(ラベちゃん)
TEKユタラプトル