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再び探索に赴こうとしたところで再び周囲が暗くなってきた。
どうやらまた夜が訪れているようだが、電灯も既に完備してあるので問題なく進むことはできるはずだ。
……ただ俺が無理していないかフローラが心配そうなのもあるので、ここは久しぶりにぐっすりと眠ることにした。
合間合間で数時間ぐらい寝たりすることはあったのだが、こうして夜の間をずっと眠ろうとするのは久しぶりだ。
砂漠以来……いやここに着た直後も同じぐらい寝たような気がする。
多分あの時はまだ砂漠の時のような、仲間と分業する時の癖が残っていたせいだろう。
だけど一人であれもこれもとやらなければいけないと認識した時点で、時間がもったいなく感じてついつい眠る時間が短くなっていってしまっていた。
睡眠不足からくる判断力の低下だって致命的なミスにつながりかねないと言うのに……やはり一人だと視野が狭くなってしまうようだ。
フローラの指摘があるからこそこうして定期的に我が身を振り返れるけれども、こんなことじゃサバイバー失格かもしれないな。
『そんなことないよ、貴方は私にとって最高の……寝ちゃった? お休み、見張りぐらいは私がやるからゆっくり休んでね?』
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朝の明るさを受けて自然と目を覚ます。
長らくARKで過ごしてきた経験が身に染みているようで、こんな洞窟内のほのかな明るさでもしっかり身体は反応してくれたようだ。
尤も久しぶりの睡眠だったためか、何だか全然疲れは取れていない気がするけれど、しっかり明るくなっているところを見ると十時間近くは眠ったはずだ。
だから活動再開、と行きたいところなのにフローラが何やら困惑した様子で騒いでいる。
一体どうしたのかと思うのもつかの間、まだ数時間と経っていないと言うのだ。
……いやこの明るさはどう見ても朝になっているんだけど、数時間しかたってないってどういうことなのだろうか?
一瞬冗談かとも思ったが少しパニックを起こしかけているフローラの様子を見るに嘘だとは思えない。
つまりは数時間と経たずに夜が終わって朝が来たということになるわけで……いやどういうことよ?
『ほ、本当だよ! 眠りについたと思ったらすぐに明るくなってきて……と、とにかくもう少し寝てていいから! 休んで休んで!』
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身体が覚醒しているのに眠れてと言われても困るのだが、仕方なく睡眠薬を飲んで強引にもう少し眠ることにした。
お陰で二度目に目を覚ました時には疲労はかなりマシになっていたが、周囲はまだ明るいままであった。
すぐに夜が終わったから昼もすぐに終わる、という事態にはならなかったようだ。
だけど実際に何が起きているのか分からない以上は慎重に行動しようと思う。
……ただ薄暗いよりは先を見通せるほうがずっとましなので、ある意味で明るい時間が多いのは有難いことのような気がした。
尤もこれが太陽の出ている時間が伸びていると言うのならば、或いは地上は凄まじいことになっているのかもしれない。
……俺が地上に出た時にこの現象が起きてたらローストチキンならぬローストヒューマンに……いや馬鹿なこと考えてないで出かける準備しよう。
『怖すぎるよ! もう地上は行くの禁止! 余程の事情がない限り接近も禁止です!』