ARK とある青年の日誌   作:車馬超

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第98話

二百八十三頁目

 

 食事を終えたフローラは畑のお世話もしなければと、俺に卵を見てるよう頼んでくる。

 孵化作業と言い畑仕事と言い、彼女は何かを作り出し育てる行為に夢中のようだ。

 だからだろうか、彼女はこんな島に閉じ込められていることにもう何か思うところは無くなったようだ。

 

 それどころかあれほど目を輝かせていた洞窟探索や、その果てに手にしたアーティファクトなどにあまり興味を示さなくなった。

 或いは洞窟で一度痛い目を見たのも大きいのかもしれないが……尤も彼女が危険な行為へ気軽に首を突っ込まなくなったのはむしろありがたい限りだ。

 本当にこのままここで安定した平穏な日々を過ごすのも悪くはない……停滞することで起こるあの襲撃さえなければだが。

 

 いっその事金属の壁で拠点全部を覆うことも考えたが、それでも仮にティラノの特殊個体が現れた時にその攻撃を防ぎ切れるかは分からない……或いは草食島へ引っ越してあそこで過ごすのも悪くない気がするが……などと考えながらもついついフローラが置きっぱなしのアーティファクトを弄ってしまう。

 結局このままここで暮らすのならばこれももう必要ないような気がするが、だからと言ってせっかく手に入れたものを捨てる気にもならない。

 或いは台座でも作って飾るのも悪くないも知れない……そう思って左手首の鉱石を見ると火山の中で見た黒曜石があれば作れそうな気がしてくる。

 

 飛行生物が居なければ到達できない場所でしかも今はアルケン君たちは動かせないが、この拠点にはもう一匹ペヤラちゃんが居るのを思い出す。

 今のところは襲撃も起こる気配はないし、何よりこの拠点には戦力も防壁も完備されている……少しぐらい行ってきてもいいかもしれない。

 

二百八十四頁目

 

 畑仕事を終えたフローラが戻ってきたところで、台座の件もかねて近くを見て回りたいというと少しだけ心配そうにしながらもOKを出してくれた。

 聞けばこの後、子供が生まれた後に他に必要な物が増えるかもしれないから色々と素材を集めてきて欲しいとは思っていたようなのだ。

 それこそできれば今まで手に入ったことも無いものも持ってきてほしいらしく、遠出することも許してくれた……日が暮れるまでに戻ってくることを条件にだ。

 

 ありがたく頷きながら自作のマップを開き、どこへ向かうか少しだけ頭を悩ませる。

 新しい素材があるかどうかは分からないが、それを探すには今まで行ったことのない場所へ向かう必要がある。

 だからマップが埋まってない北上地点へ目が留まるが、あそこは極寒地帯で防寒対策が無ければ……そこで毛皮を大量に回収してきたことを思い出す。

 

 早速素材を持ち合わせて、フローラにもお願いして設計図のある鎧部分を作って貰いながら自分はそれ以外の部位を作っていく。

 そうして完成したモフモフの毛皮装備一式は物凄く温かくて、これならあの雪山でも何とかやって行けそうだ。

 更にフローラに食事と飲み物を用意してもらい、ペヤラちゃんが持てる限りの麻酔矢と護身用の槍を詰め込んでいく。

 

 これで出発する準備は出来た……お土産をよろしくと言って手を振るフローラを置いて、俺は久しぶりに一人で空へと飛び立った。

 果たして何かいいものが見つかるだろうか……見つかればいいのだが……そんな思いを秘めながら火山を越えて豪雪地帯へと……せっかくだし黒曜石を回収しようと立ち寄ったところであまりの暑さにぶっ倒れそうになる。

 当たり前だがこんなところで毛皮装備を着ていた自分が悪い、ちゃんと雪山に近づいてから着替えることにしよう……その際に前に暑さ対策の防具を作ろうとして有機ポリマーとか言う素材も探したことを思い出した。

 

 今更要らないかもしれないが、一応頭の片隅には入れておこう。




【今回名前が出た動物】

アルゲンタビス(アルケン君・タヴィちゃん)
タペヤラ(ペヤラちゃん)
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