累積経験値10万を超えた私の乙女ゲー攻略日記   作:楠ノ桶

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26話 隠しごとってね

精霊を助けるべく、地下に潜り数時間。

 

未だ、石扉を開く方法は見つかりません。

 

 

 

「これも違いますね」

 

 

 

様々な魔法を使い、何か痕跡が無いか、それを探していく。けれど、何一つヒントは見つからない。

 

まあ、逆に言えば、ヒントすら見つからない石扉があるという時点で、怪しさMAXなのだが。

 

 

 

「レミリアさん、これはどうでしょうか?」

 

 

 

遠くから私を呼ぶ声。シルフィアが天井を指している。

 

あれも自然には出来なさそうなくぼみがある。それに向けて、少しばかり魔素の塊をぶつけてみる。何かカラクリでもあれば、反応しそうなものですが、何も起こりません。

 

 

 

これも外れのようですね。

 

であれば、あの可能性が高いのでしょう。

 

 

 

「ここにも何もありませんね。ですが、ヒントはありました」

 

「本当ですか⁉」

 

「ええ。この空間では、魔法が全然通用しないことが分かりましたわ。何かの力で、魔法自体の効果を掻き消しているようね」

 

 

 

魔法の反応が返らない。

 

その原因はいくつかある。

 

 

 

一つ目は頑丈な壁の可能性。

 

私の攻撃魔法を食らっても傷一つないのは、アダマンタイトのような硬質な物質を含み、全ての衝撃を跳ね返すというもの。

 

 

 

二つ目は魔法無効の可能性。

 

大精霊のように魔法を無効化する黒魔石。それに似た効果を持つのであれば、傷一つつかないのは魔法を分解するというもの。

 

 

 

でも、この二つはゲーム内の迷宮にはなかった。

 

勿論、ゲーム内の裏設定に存在し、私が知らないという可能性もあるが。

 

その他の可能性の方が、現実味がありそうだ。

 

 

 

三つ目の可能性。

 

それは、この場所が魔法迷宮ではなく、魔術迷宮という可能性。

 

 

 

かつての大国では、魔法ではなく、魔術が広く使われていた。

 

しかし大国同士の戦争により、魔術に関する情報は失われ、長い年月をかけ、誰でも使える魔法が台頭した歴史がある。

 

 

 

それならば、魔法が通用しない理由が納得できる。

 

なんせ、魔法より魔術の方が威力ははるかに上。それはつまり、干渉力も同じだ。

 

魔法では開かない扉も、魔術では開くかもしれない。

 

 

 

「だから、やっぱり私では無理ってことね」

 

 

 

そう、これは私には無理だ。

 

今の私では、魔術を使うことはできない。その術式を理解していないから。

 

そして、こんな近く深くに参考書のようなものがおいてあるはずもない。

 

 

 

「でも、シルフィア。貴方なら、できるわ」

 

「どういうことでしょうか?」

 

「ねえ、シルフィア。貴方、私に隠しごとをしているでしょ」

 

「な、何のことですか?」

 

「隠さなくてもいいわ。すこし考えれば分かることね」

 

 

 

今思えば、シルフィアだけが声が聞こえた理由。

 

それを考えてこなかった。けれどよくよく考えたらそれしかない。

 

 

 

「貴方、魔術を使えるでしょ?」

 

「な、なんでそれを……」

 

 

 

私の結論にシルフィアが動揺する。

 

どうやら正解のようだ。

 

 

 

精霊とコンタクトできた理由。

 

それは、魔術によるものだ。だけど、何故それを隠し続けているのかその理由までは分からない。

 

 

 

けれど、怯えた表情を見る限り、魔術は彼女を不幸にしてきたようだ。

 

だからこそ、誰にも伝えず、こんな時でさえ、力に頼ることを恐れている。

 

 

 

それでも、ここでシルフィアが魔術を使えば、何か変わるかもしれない。

 

 

 

だってシルフィアは。

 

彼女は既に光の巫女なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光の巫女。

 

それは全てを癒す魔法を使い、軍全体を回復する使い手だ。

 

ゲームでは、遠い未来。彼女の子孫にあたる光の巫女が魔界を亡ぼす立役者となる。

 

 

 

シルフィアが生前、施した国中を覆う魔法。

 

それも貢献したと、ゲーム内のマテリアルには書いてあった。

 

そのことを踏まえる限り、彼女の魔法の力は高い。

 

 

 

だけど、本当にそれだけか。

 

魔法の力だけで、それを可能なのか、現実世界で何度も疑問に思っていたのだ。

 

彼女は、魔術を使えるから無理難題を可能とするのではないか。

 

 

 

彼女は、魔術を使えるから光の巫女に祀り上げられたのではないかと。

 

そんな、荒唐無稽な予想をしていた。

 

だからこそ、つい適当に訪ねてしまった。何も知らなければ、困惑するだけだ。

 

言い間違いということにすれば、問題はない。

 

 

 

だけど、シルフィアの様子は明らかに何かを隠している。

 

とくに、魔術という言葉を出した時、眼が泳いだ。

 

 

 

つまりは、彼女は魔術の存在を知っている。

 

そして、庶民である彼女が魔術を聞いた可能性は限りなく低いということは、何者かによって魔術を教えてもらっているかもしれない。

 

 

 

「わたしは、魔術を知りません。レミリアさん、それがどうしのですか?」

 

「ねえシルフィア。私は貴方が魔術を使おうが使わないが、どっちでも構いません。それに、そのことを口外しません。でもね、本当に精霊を助けたいのであれば、真実を教えてくださいね。私の魔法では、この先に行くことは出来ないから」

 

 

 

シルフィアは悩んでいるようだ。

 

初対面の私に全て、伝えるべきか、どうすればいいのか混乱しているように見える。

 

あと、もう少しね。

 

 

 

「シルフィア。……貴方、光魔術が使えるでしょ?」

 

 

 

私は真実を確認する。

 

これでダメなら、もう仕方ありません。

 

 

 

その時は地上に戻り、別の解決策を考えましょう。

 

 

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