ーーーーこれは前回の話の一週間前、つまりヒロインたちが桐崎へやってきた日、6月22日のことである。
その日シノンが目覚めた場所は、不運にも桐崎市内の高校の教室だった。時刻は17時12分、幸い教室には誰もいないようだったが、早く出なければただの不法侵入者だ。
「あいつ・・・場所くらい考えなさいよ・・・・」
あいつとはもちろんクラインのことである。
シノンはため息をつき、とりあえず教室を出ようとした。
その時、突然教室の後ろ側の扉から女子生徒が入ってきた。
ーーーーまずい、隠れないと・・・!
しかしもう間に合わない。諦めたシノンは、無言で歩いてくる女子生徒に顔を向けた。
「・・・・!?」
シノンはその女子生徒を知っている。彼女はーーーーー
すると、1mほどまで近づいてきた女子生徒が、ようやく口を開く。
「目が覚めましたか、シノン。」
「アリス・・・」
そう、そこにいたのは整った顔立ちをした金髪碧眼の少女、アリスだった。
しかしなぜ制服を着ているのか。
「逃げたり隠れたりする必要はないと思いますよ。私達は、この学院の生徒の扱いのようですから。あのクラインという男も、案外ちゃんと考えているのですね。」
「生徒・・・?」
シノンは自分の服装を見下ろした。
彼女は、アリスと同じ制服を着ていた。ブレザーの胸の部分には星のようなマークが付いていた。校章だろうか。
「あなたはどうしてここにいるの?」
「私もこの教室で目覚めたのですが、となりにいたあなたが全く起きる気配がないので他の教室へ言ってみたのです。そうしたら、こんなものが・・・・」
アリスは手に持っていたプリントの束を、シノンに渡した。
「・・・・これってクラス名簿じゃない。」
アリスは目覚めたあと、せっせと放課後の教室を回ってクラス名簿を拝借してきたらしい。
「それって勝手に持ってきたらまずいんじゃ・・・」
「そうなのですか?大きな机の上に置いてあったので、てっきり持っていって良いものかと。」
アリスはきょとん、とした顔で言う。アリスの凛々しい騎士としての姿を見てきたシノンにとっては、なんだか拍子抜けだった。
「後で返しに行くわよ・・・・」
不満そうな顔をしたアリスだったが、すぐに表情を戻して、話すことを思い出したようだ。
「そうでした。シノン、これを見てください。」
アリスが指を指したのはこのクラスの名簿だった。
2年6組 1番 ーーーー
2番 朝田詩乃
3番 アリス
8番 桐ヶ谷和人
「桐ケ谷・・・・和人・・・!!」
「次に、これを見てください。」
2年2組 1番 ーーーー
2番 ーーーー
9番 桐ヶ谷和人
「え・・・?どういうことよ・・・これ・・・」
「これだけではありません。1組と9組にも同じ名前がありました。そして・・・」
アリスは机の上にプリントを広げ、制服のポケットから取り出したマーカーで線を引き始めた。
彼女が何をしているのか、一体何を言いたいのか、シノンにはなんとなくわかっていた。
「できました。これをみてください。」
そこにはプリントの束から取り出した8枚にマーカーで線が引かれていた。
2年1組 2年2組 2年6組 2年9組
1年1組 1年3組
3年7組 3年9組
「このクラスに、キリトや・・・アスナ達がいるのね?」
「そういうことのようです。この学院にいるのは、私達、シリカ、リーファ、ロニエ、アスナ、リズベットとキリト4人・・・・しかしキリトは全員が不登校の扱いになっていました。」
「どこで知ったのよそんなこと・・・」
アリスが答えようとしなかったので、シノンは触れないでおこう、と思いあまり深く突っ込まなかった。
「おそらくですが・・・私達が呼び出すというキリトのための学籍ではないかと思うのです。あの年齢で学校に行っていないというのも、リアルワールドでは不自然のようですし。」
「中卒で働く人も一応いるけど・・・・いえ、なんでもないわ。でもそうなると、なんで4つしか学籍がないのかしら?」
「それについては、私やロニエが19歳以降のキリトしか知らないためかと思ったのですが・・・・」
「あぁ、そういうことなら納得できるわ・・・ね・・・・?」
何かおかしい。そう思った。
「ねぇ、アリス。」
「なんですか?」
「この学院に籍があるキリトは4人なのよね?で、アンダーワールドから来たあなた達は、2人・・・?」
「はい・・・・あれ、おかしいですね。それでは数が合いません。」
「いや、もしかしたら私達のうちの誰かが19歳以降のキリトを呼び出すつもりなのかもしれないわ。」
「・・・・そう、ですかね。その可能性は低いと思いましたが・・・」
「でもそうならないと数が合わないもの。アスナとリーファ、私はたぶんもうどのキリトにするか決まってる。リズとシリカは・・・・多分アンダーワールドとかではないんじゃないかしら。だからこれで4人になって、残った・・・・・あれ?誰が残ったの?」
「誰も残りませんね・・・・どういうことです?」
「どれだけ数えても、そもそもこの正妻戦争への参加が7人になってないわ!シリカとリズベットがひとりあつかいになったんだから、当然だったのよ・・・・」
「・・・・!!思い出しました、シノン!たしかカーディナル様が私達2人をこちらの世界へ送ったときにおっしゃっていたんです。もうひとり自分に「こんたくと」を取ろうとした者がいる、と。」
「アンダーワールドから・・・・・もうひとり・・・!?」
「私は意識を失う直前、その姿を見たはずなんです・・・・・ぅ・・・・!?」
突然硬直し、目を限界まで見開くアリス。その視線の先には・・・・・
亜麻色の髪の少年がいた。
「エンハンス・アーマメント」
シノンは、かすかに聞こえたキン、という音と、その直後に発せられた短いその言葉だけを聞き、意識が途絶えた。
1枚のプリントが舞い上がった。
2年3組 1番 ーーーー
2番 ーーーー
3番 ーーーー
39番 ーーーー
40番 ユージオ
彼はそれを手に取りーーーーー
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氷漬けになった教室の中で、その少年ーーーーユージオはしばらく床に突き立てた愛剣に体を預けて何か呟いていた。
しかし突然フラフラと立ち上がったかと思うと、後方のドアを睨みつけた。
「ひっ・・・・!」
ドアの背後からかすかな悲鳴が聞こえた。
「ごめんよ・・・・・・こうしなきゃいけないんだ。」
「ディスチャージ」
シノンとアリスという珍しい組み合わせでしたが、どうだったでしょうか。
シノン視点で書くのが意外と難しかったのですが、ユージオをやっと登場させることができて良かった・・・・・。
アンケート実施中なので、よければどうぞ。
ユイ出した方がいいですか?出るとしたらどういう立場がいいかまで教えてください。
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ママの正妻の座を守るため、アスナに味方
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茅場のように干渉せず見守る
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キリトと共に戦いをやめさせようとする
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途中参加(ママすら押しのけパパ独占へ
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正妻戦争の管理者(審判的な)
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出さなくていい