ニーアオートマタ~荒廃した世界でエージェントは何をなす~ 作:い湯め
エージェントside
私は保存されている映像の中から2番目に古い映像を再生する。
「突入する」
目の前の髭がいい感じの男がこっちに向かって言う。カメラというより、カメラを頭につけてる奴に向かってか。カメラが上下に揺れる。頷いたようだ。
「・・・1・2・3ッ」
男を先頭に目の前の部屋に入っていく。
「おい!床に伏せ・・・」
カメラに映るのは頭を撃ちぬかれて死んだアウトキャスト。彼らの大量の血で床の殆どが真っ赤になっていた。2人は奥へと進んで行く。
「おい!両手を頭の後ろに組んで跪け!!」
男の半身に隠れて見えなかった相手がカメラに映る。
「ラヴィ・・・」
映像を見ていたA2が絞り出すような声を上げる。そう。今、映像に映っている、両手は血に染まり、顔には血しぶきが飛んでいるこの不気味な女が私なのだ。
「・・・拘束しろ」
カメラが上下に揺れた後、カメラを持った方が後ろを向いた私に近づき、腕を後ろに組ませそれを結束バンドで縛る。そして、ついにカメラに近距離で私の顔が映る。
「ハハっ・・・我ながら酷い顔」
ついつい出る自虐。返り血でついた私の顔のドアップで映像は終わる。
「・・・A2どうだったかしらね?」
「ああ。あれは・・・ラヴィだよな?」
「そうね。あの映像のあの酷い面女は私よ」
「何があったんだ?今のラヴィからは想像すらできないが・・・」
私は保存されている映像の1番古い映像を再生する。
「これを見たら説明するわ」
カチャ
映像には麻袋をかぶせられた人物に拳銃が突きつけられている様子だった。すると、後ろから別の人物が近づき、麻袋を取った。袋を取られた人物は部屋の光を一瞬まぶしそうにした後自分のこれからの運命に気づいたようだった。そして、銃を突き付けている人物の顔があるであろう方向を一瞬見てから正面を向く。
「ラヴィすまない。先に逝くことにことになってしまったよ。だが、君は強い女性だ。俺のことは偶に思い出してくれればいい。それじゃあな」
パンっ
銃声と同時に私は映像を終了させた。
「ごめんなさい。私もこの後は何度見ても耐えられないの。で、説明するって約束だったわね」
私は胸元からネックレスを取り出す。これは彼からもらった指輪をネックレスした物。
「私ね、彼と婚約してたの。私が任務でDCに召集されない限りこの映像が撮られた頃に式を挙げる予定だった」
今、自分の声は震えていると思うわ。
「それでね。私はこの映像を見た後のことを正直よく覚えてない。人から聞いた話だと冷酷で感情が見えなかったと言われたわ。敵を殺して、虐殺しつくして彼の仇をとった時があの映像なのね」
「私と似ているな」
「そうね。今、A2に偉そうな事を言ってるけど私も同じだった。でも、だから分かる。一度でも感情を殺してしまう取り返しがつかなくなるわ」
「なら、私はすでに手遅れだな」
「そうじゃない。ねえ、A2あなた昔のこと思い出せる?あなたが司令部に裏切られる前、まだバンカーにいた時の楽しかった思い出、思い出せる?」
「少しくらいなら・・・」
「そうね。私の場合、彼と過ごした時間のほとんどが思い出せないの」
再び、ネックレスを取り出す。
「この指輪をもらった時のことも思い出せない・・・写真も残ってない。残ってるのはさっきの映像だけ・・・だからね、A2?あなたは手遅れじゃない。まだ、何とかなる。久しぶりに思い出してみたら」
「・・・ああ」
A2は私に体を預け目を閉じた。そろそろ体勢を解いてあげてもいいわよね?という訳で回していた腕を抜いて、後ろから彼女を抱擁する。
数十分後~
「・・・ラヴィ」
「楽しい思い出あっ・・・A2!?」
振り返ったA2は涙を流していた。
「あ。いやっ何でもなッ」
涙を拭おうとする彼女の手を掴む。
「いいじゃない。誰にだってそういう思い出はあるわ。大丈夫。誰にも言わないから」
「ラヴィ・・・ラヴィ・・・・」
私の胸に顔を埋めて子供のように泣きじゃくるA2。頭を撫でてあげる。彼女の途方もなく長い間こらえていた物が一気に溢れ出ているようだった。
30分後~
「あらあら寝ちゃった。まったくかわいい寝顔」
私の胸の中でA2は泣きつかれたようで寝落ちしてしまった。寝顔を見ているけど、やっぱりキリッとした表情も素敵だけど、私はやっぱり笑ったり、リラックスした表情が好きだな。
「ふあ~」
私も眠くなってきた。最近、忙しくて疲れてたし私も寝ようっと。彼女を後ろから抱擁したまま壁に寄りかかって目を閉じる。夕方になればさすがに11B達も戻ってくるでしょ。それじゃ、おやすみ~
別にラヴィさん自身は過去を話したくない訳ではなく、忙しさ、もっとみんなと楽しい話をしたいと思っているので話さないのです。
誤字脱字、解釈不一致あれば申し付けください。今回も読んでいただきありがとうございました。