ニーアオートマタ~荒廃した世界でエージェントは何をなす~   作:い湯め

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第184話

A2side

「どうしたA2?疲れてきたのか!?」

私が打ち付ける度に激しい音と火花が飛び散る。

「そうだな。だが、そろそろケリがつく」

最後の一太刀を全力で叩きつける。

ぐにゃり

まさにそんな感覚。見ると私の刀がホワイトの武器に食い込むようにして曲がっていた。

「勝負ついたな」

ホワイトが勝ち誇った表情で言う。私は使い物にならなくなった刀を投げ捨てる。そして、深く息を吸ってホワイトへ向かっていく。

「まだ来るのか」

ホワイトのつぶやきが聞こえた。ホワイトも息を整え武器を構える。距離は縮まっていく。私もホワイトも余裕はとっくに無い。互いにこの1回に勝敗をかけた。

「もらった!」

刃が突き出された瞬間、私は体をのけぞり回避した。この一撃にすべてをかけていたホワイトはバランスを崩しつつあった。その突き出された右手を掴みこちら側へ引き寄せる。バランスも崩していたホワイトが行える手立てはなくそのまま私と一緒に倒れこむ。倒れる際にホワイトの上に乗るようにする。

カラン

倒れこむと同時にホワイトの手から離れた刃がむなしく音を立てた。

「クソっ離せ!」

なおも暴れるホワイト。それを力任せに押さえつける。上に乗られているのに暴れるのをやめない。私も相当な力で押さえつけている。ラヴィにホールドされてた時と同じくらいの強さ。抵抗は無駄だと観念したホワイトが抵抗をやめる。

「全くこの馬鹿力め」

恨めしそうな視線。

「全く、どうしてこれ以上の力を出してた私をホールドできたんだ?」

「?」

「なんでもない」

「それでとどめを刺すんだろう?ほら、さっさと首を絞めろ」

「いや、」

「なら首を撥ねるか?ならさっさとどけ。醜い真似はしない。さっさとそこの私の武器で首を撥ねろ」

「いや、アンタは殺さない」

あぁ・・・私の口からこんな言葉がでるなんてな。少し前の私だったら信じられん。「どういう風の吹き回しだ?」

「アンタ、私と同じだったんだな」

「どういう意味だ!?情けをかけるくらいなら早く殺せ!」

「そう言って、自分の大きすぎる使命に押しつぶされて自分を自分で鼓舞して、本当の自分を見失う」

「・・・・・」

沈黙が流れる。

「アンタはまだ間に合う。私みたいになるな。素直になれ」

「素直になったとして部下は従ってくれるだろうか?」

「心配するな。お前が良ければ私や11Bやラヴィが手を貸してやる」

「そうか・・・よし!ラヴィと話がしたい。どういてくれ」

ここで私は初めて力を緩めてホワイトを解放した。そして弾き飛ばした武器を手渡す。

「ここにいてくれ。ラヴィを呼んでくる」

「2号!」

「なんだ」

「すまなかったな」

「謝るどころじゃ済まないだろ」

 

エージェントside

「話はついた?」

「ああ」

話の中身は一切聞こえなかった。帰ってきたA2も一見すると変わらないように見える。

「あら?上手くいったみたいね」

「そうだな。後はラヴィに任せる」

なにか憑き物が取れたようなそんな顔だった。

「え?ラヴィなんで分かったの?いつもの顔じゃない」

「バカね11B。付き合いが長いとわかることもあるのよ」

「そういうデボルは分かるんですか?」

「私にもさっぱり」

「駄目じゃないか」

「「アハハハ」」

あなた達ねぇ・・・まぁ緊張はほぐれたみたいだしいっか。

「ごめんなさい。待たせて」

「ああ。それでは仕切り直させて貰おう。まず、」

さて、どうなるかな?

「まず、そちらの要求をすべて呑もう。ただし、頼みがある」

あら、随分な心変わりね。

「私たちにできることなら」

「ああ。私たちヨルハ部隊を解放してほしい」

「解放・・・ね」

「そうだ。私は自分の部下をこれ以上死なせたくない。だが、人類サーバーはそれを許さない。それをどうにかしてほしい」

ホワイトは薄っすら見える月を見上げる。

「なら派手に吹っ飛ばそうぜ!」

「おぉう。テンションどうした?まぁいい。聞こうか」

という訳でA2との楽しい旅行の思い出を話してあげました。

「全く恐ろしいこと考えるな。だがいいだろう。ただ、一つだけ」

「月面基地に10Hというヨルハがいる。そいつを救い出してほしい」

すると、ポッドがそばにやってきた。

「報告。月面基地にいるポッド006とコンタクト成功。現在地球に向かっている。ロケットの着陸予想地点の座標をマーク」

ホログラムが映し出される。

「これは・・・ワシントンDCのロケット発射場よ。今から来るなら単純計算で5日はかかるわね。ねぇそのポッドと連絡とって近くなってきたら着陸予想時間を伝えるように行ってくれる?」

「了解」

「それじゃあ、ホワイト。交渉は成立ってことで」

互いに席を立ち握手する。

「良い関係を気づけますように」

「ああ。頼むぞ」

改めてホワイトの手を握る。

「全く、一時はどうなるかとヒヤヒヤしたぞ」

「まぁ互いに無事だったんだし良かったんじゃない。私はどうでもいいけど」

「先輩?いい加減素直になったらいいじゃないですか?」

「あなたはこういう時いつも水をさして・・・」

「ハイハイ小言は結構デース」

「全くあなたは・・・」

これは6Oのお説教コースに入っちゃうかしら?仕方ない助け舟出してあげようかしら。

「きれいな夕焼けね」

予定だと昼に終わるはずだった交渉は長引き夕方になっていた。沈んでいく夕日を眺めて感傷に浸る。

「ところでラヴィあの禍々しいバックはどうする?」

「アレよければレジスタンスキャンプで買い取ってくれない?その話をしようと思ってきたんだけど・・・もう遅い時間だし明日にする?」

「悪いがそうしてもらえると助かる」

「今日は9Sの再起動だけさせて。再起動プログラムはただでさえ時間がかかるから」

「分かった。6O案内してやってくれ」

「こっちです」

2Bを手招きする。一緒についてくる2Bに6Oは何も言わない。

「9S!!」

部屋に横たわる9Sに2Bが駆け寄る。眠っている9Sを不安そうに眺める2B。9Sにウォッチを接続して再起動コマンドを入力する。

「再起動まで120時間」

「ヨルハ機体9Sの再起動完了まで約120時間」

ウォッチとポッド153の声が響く。

「2Bどうする?このまま9Sの傍にいてもいいが」

「傍に居たい。ありがとうアネモネ」

「分かったわ。とりあえずまた明日」

レジスタンスキャンプを後にする。

「はぁー。やり切ったわね」

「お疲れ様」

「今日は帰って休むと言い」

「アンタがラヴィにご飯を要求しないなんて珍しいわね」

「本当に君の中の私はどうなっているんだい?」

「爆薬好きのマッドサイエンティスト」

「悪化してません?」

どうやら私達の日常は変わらなそう。良かった良かった。

 

 




シリアス回終了!!
誤字脱字解釈不一致あれば申し付けください。今回も読んでいただきありがとうございました。
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