ニーアオートマタ~荒廃した世界でエージェントは何をなす~   作:い湯め

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第187話

エージェントside

目を覚まして隣りを見るとA2は逆の方を向いて寝ていた。今日を踏まえてどうなるかしら。身支度をしつつ一応パン生地を確認する。

「問題なしっと」

みんなを起こして身支度が終わるのを待つ。ぶっちゃけるとボーっとしてるわ。

「おはよう」

A2やジャッカスが眠そうな表情をしつつ頷く。

「さて、今日はキャンプでの上映会なんかがあるから、昼過ぎには戻って来てね。それまでは各自自由にどぞ」

みんなそれぞれ動き出す。昨日仕込んだパン生地を石窯へ入れドンドン焼いていく。初めて数分と経たずに汗が吹き出してきた。

「まぁ頑張りますか」

 

数時間後〜

「おかえり」

「ああ。私が最初か?」

最初に帰ってこたのはA2だった。A2ってこんな風に余裕を持って動いてくれたり、案外丁寧なのよね。

「「ただいまー」」

次に姉妹。

「ただいまー」

「戻りましたー」

直後に11B・16D。最後に

「ラヴィ〜ただいま〜」

ジャッカスだった。しかも妙に疲れてる。

「どうしたの?」

「いやぁね。さっきまで私用でレジスタンスキャンプに居たんだが、そこで話した相手が全員が飯の話を私にするんだ。味の感想なんかを聞かれる位なら問題ないんだが、時折私に対しての怨嗟が入って来てね。逃げたかったけど逃げられなかった。結局準備があるからとやっと逃げて戻れた訳だ」

これは気合いを入れて行かないといけないわね。

「そういう訳らしいからみんな気合い入れて行くわよ!」

「「了解!」」

大変良い返事だ。さて、材料や調理器具を持って拠点を出発する。何気に重いから到着には時間がかかりそうだ。

1時間後〜

「やっと・・・やっと・・・」

「あー!!重い!!」

阿鼻叫喚であった。キャンプが見えてくるとアネモネと数名がこっちに走ってきてくれた。「どうも」

持つのを手伝ってもらってとりあえず、キャンプの入り口に道具や食材を置く。

「わざわざ悪いな」

「いいのよ。こちらの言い値で買ってもらったし。それで場所の指定はある?」

「ああ。こっちだ」

キャンプのみんなに手伝ってもらいながら道具を移動させていく。

「A2、それはそこに。ジャッカスそれちゃんと使えるかチェックして。食材はここに」

道具や食材のセッティングが終わり、第一段の調理を始める。調理と言ってもただ肉をやくだけなのだが・・・視線が凄い。鉄板が熱くなったのを確認して肉を置いていく。

ジュー

肉の焼ける良い音。圧倒的火力で表面を焼いていく。焼色を確認して裏返す。途端にいい匂いが広がり始める。裏面も1、2分焼いて塩、胡椒を振る。ジャッカスが半分に切って切り込みを入れたパンに挟む。完成!

「はい、焼き立てをどうぞ」

出来上がり第一号をアンドロイドに手渡す。

「ありがとう」

しれっと一番目にいるお姉さんにはツッコまない方針で。そこからの勢いがすごかった。私は肉を焼きまくり、みんなでパンに挟んだ。単純作業だが数が多すぎた。集団が途切れて一段落したと思ったときさらに追い打ちをかけられた。

「おかわり」

「アイアイサー」

最初にならんだお姉さんがいい笑顔で立っていた。それを先頭に再び長蛇の列ができた。

「味はどうだった?」

「とーっても美味しかった」

「そう。それは良かった」

後ろのみんなと顔を合わせる。みんなの覚悟はもう決まっていた。

「はい。もう少しで映画が始まるから食べすぎないでね」

釘を指したけど、どこまで通じるかな?

「ラヴィさんそろそろ暗くなって来ましたよ」

空を見ると日が沈みきる所だった。釘を刺したのが功をそうしたのか勢いは収まっていった。お姉さんやアネモネを含めた数名が3回目に並んでいたがまぁそこは慣れた。

「お疲れ様」

私を含めてみんな暑さで顔が真っ赤だった。頭から水をかぶる。

「ラヴィ・・・大丈夫か?」

心配するくらいなら3回も並ばないでよ・・・疲れた体に鞭打ってプロジェクターを設置する。ディスクをセットして再生の準備は完了だ。感想を話していたアンドロイド達も続々と床だったり椅子に座る。後ろにはA2達が立っている。私の分はちゃんと確保されてるみたいだ。確保されてるよね・・・?ジャッカスの取り分じゃないよね?全員が席に着いたのを確認する。ん?

「ごめん、ちょっと待って」

 

「だれ?」

「入るわよ。2B」

部屋には私と2Bとポッドそして再起動待ちの9S。

「ラヴィどうしたの?みんなが待っている戻ったほうがいい」

「ええ。あなたも一緒にね」

「大丈夫。私のことはいい」

「ねぇ2B」

「なっ・・・」

ぷにゅ

2Bのほっぺに押し当てられる私の人差し指。一瞬の出来事に驚いた様子の2Bだったがすぐに表情が戻る。

「構ってほしいの?」

「自覚無いの?」

「何が?」

「アナタの顔今、すごい疲れた顔してるわよ」

「アンドロイドに休息は必要ない」

「悪いけどその顔で言われたら説得力無いわよ」

鏡をだして2Bの顔の前に出す。

「・・・」

「わかった?」

2Bの顔はすこしやつれたように見えた。顔の一部が汚れていたり、泣いたりしたのだろうか。涙の跡が見えた。

「9Sのことが心配なのはわかるけどあなたもしっかりしなきゃ。それに再起動は3日後よ。それまでは絶対に起きない」

「うん・・・」

「それともこの疲れた顔で9Sを迎えるの?」

「・・・違う」

「それに起きた所で誤解は解けるの?」

「・・・無理」

「ハイハイ。それじゃあ一旦リフレッシュしましょうね」

「・・・うん」

「あと、ポッド。一丁前に保護対象だなんだと言うなら止めてあげなさい。みなさいよ。かわいい女の子の顔が台無しじゃない」

2Bを部屋から連れ出し、A2の横に連れていく。

 

「よろしく」

「任せろ」

再びアンドロイド達の前に立つ。

「取り直して。お待たせしました。それでは上映開始です」

適当にお辞儀をして後ろのみんなのところに戻る。再生を開始する。はじめはどこかみんな力が入っていた。彼らにとっては人類の生活が映ったものはすべて歴史的に価値のあるもの。ストーリーを楽しむのではなく、私たちが博物館でものをみるようなそんな楽しみ方をしていた。しかし、さすが名作といったところだろう。展開や俳優たちの演技に引き込まれている。

トントン

肩をたたかれる。後ろを振り向くとポッドの2体だった。とりあえず、ここから離れる。

「どうしたの?話なら終わったらでもいいわよ?それにここじゃ音は聞こえるけど、映像見えないでしょ」

「問題ない。我々ポッドはアンドロイド以上に視野が広くそしてそれを処理できる」

「便利ですこと」

「ポッド153。一応聞くけど再起動処理を開始してから9Sに何か異変はあった?」

「問題はない」

「よかった。それで?一体何の用?」

「お願いがある」

どこか改まった様子のポッド153。

「9Sが目覚めたら極力2人の関係には関わらないでほしい」

「ふぅん。理由は?」

「2人の成長のため」

「私としては全然かまわない。ただ、覚えておいて。もし、再び9SがA2や2Bを悪意を持ったうえで攻撃したら、私は彼を殺す」

「・・・了解」

「一応聞いておくけど君たちの中で2Bと9Sが上手くいく確率は高いの?」

「正直なところ。高いとは言えない。だが、低いとも言えない」

「やる価値はあると?」

「そうだ」

「なるほど。でも大丈夫?私としては少し不安があるのだけど・・・」

「例えば?」

「君たちのデリカシーの無さ」

「「??」」

2体とも自覚がない様子。

「君たちの処理能力はあくまで任務達成を第一に考えたものよね。でもね。こういうのは遠回りのほうがうまくいくこともあるの」

「要求:根拠の提示」

どうやらデリカシーがないと言われたのがお気に召さないご様子。たぶん、これを納得させるのは無理ね。

「まあ、心に留めておいて」

「了解」

「さて、終わったのなら戻るわよ」

こうして私たちはみんなの元へ戻った。映画のほうはもうラストシーンに差し掛かっていた。見ると数名は感極まって泣いてしまっているようだ。ジャッカスなんかは顔がすごい。そしてラスト、エンディング。再生を止めプロジェクターを片付け初めてようやくみんなが動き始めた。あるものは感想を言い合ったり、シーンの真似をしたり。あるものはまだ感極まって泣いてしまっている。ジャッカス、姉妹、11B・16D・2Bのことです。仕方なく、私とA2だけ片づけをする。

 

「ふぅー。片付けも終わり。それじゃあ帰るわよ。みん・・・な?」

視線の先には泣き疲れたせいかスヤスヤ眠る3人の姿。

「ラヴィ、今日はこのまま休ませてやれ」

「そうね」

「私たちは帰りますか」

A2と私で食材がなくなった分いくらか軽くなった道具を拠点へ持ち帰った。帰ってこられたからと言って疲れていないわけではない。そのままなし崩し的に横になった。またいつものように少しイタズラしてやろうと思っていた矢先。

「ラヴィ」

A2が後ろから抱き着いてきた。暖かい。

「よいしょ」

寝返りを打ってお互い向かい合うようにする。

「なぁラヴィ。さっきの映画の中でしていたキス。経験あるのか?」

「あるけど・・・どうしたの?」

「その・・・」

「んー?」

「・・・したい」

「え?」

「ラヴィとキス・・・したい。映画で見たディープなの」

「what!?」

まさかそんなこと言われるなんて・・・

「いや~私今日ちょっと疲れっちゃなーなんて・・」

「ダメだ。こっち向け。あれだけ焦らしておいて今更無しは生殺しだ」

改めてA2の顔を見る。じっと私を見つめてくる。表情も真剣だ。目がとろんとしてる。なんだかこっちもそんな気分になってきた。

「後には引けないからね?それに頼んだってことはリードは貰っていいのね?」

コクン

A2がうなずく。もう後には引けない。

「A2。舌をだして。最初は目をつぶってて」

「ん」

A2が舌を出す。何気に初めて見たかも。それにアンドロイドの舌なんて今まで注意してみたことなかったけど人類と一緒。それに本物ではないだろうけど唾液も出てる。

「はやふしろ」

いけない。まじまじと見ちゃってた。それじゃ。

 

 




「昨晩はお楽しみでしたね」
昨晩の感想は次回に!2人はキスだけで満足できたのかね。特にラヴィさん。
誤字脱字解釈不一致あれば申し付けください。
今回も読んでいただきありがとうございました。
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