ニーアオートマタ~荒廃した世界でエージェントは何をなす~ 作:い湯め
エージェントside
「おはよう。眠れた?」
「あまり眠れなかった」
沸かしたお湯をコップに移してA2に手渡す。
「「はぁ」」
冷えた朝、凍え切った体に温かいお湯が染みわたる。
「疲れが抜けてない」
「今回ばかりは私も疲れた。途中でBモードになろうか考えた」
「やめて」
結論から先に言おう。あの後、キスだけでは終わらなかった。もっと詳しく言おう!私が我慢できなかった!!1回目が終わり一瞬見つめあい、2回目が始まった。私はA2の胸に手が伸びていた。互いに口が離れ糸が引く。A2も真似するようにぎこちない手つきで私の体をなぞってきた。その手を誘導して私も上着を脱ぐ。長く感じられた2回目が終わる。口づけの位置が耳や首筋、徐々に下に降りて行った。こそばゆさを我慢したような今まで聞いたこともなかったような妖艶な声。一通り終わると、A2も同じようになぞった。この時点で互いにやめるという選択肢はなかった。汗をかいたりしていたのに互いにシャワーも浴びなかった。だがお互いそんなこと気にせず交代しあいながら続き、深夜になり、明日のことを考え、イチャイチャしながらシャワーを浴びて横になった。すぐにA2の寝息が聞こえてきた。釣られるように私も意識が落ちた。
チュンチュン
朝日が顔に当たるのと、鳥の鳴き声で目が覚めてしまった。寝る直前に時計を見なかったが、そんなに時間は立っていないように感じる。だがしかし、もう一度眠ろうにも眠気が湧いてこない。ゆっくりと寝返りをうって隣のA2の方を向くと目があった。流石にA2も目が冷めてしまったらしい。それで眠気覚ましを兼ねて屋上に上り、風が吹いて寒いためお湯をわかしたという所で最初の場面に繋がる。
「どうする?もうひと眠りするか?」
「私はもう目が冴えちゃった。いつもの癖でね」
「いつも朝起こしてもらって悪いな。ならどうする?」
「とりあえず、このままキャンプ行っちゃう?どうせ、みんな迎えにいくつもりだったし」
「そうしよう。前に私が寝ていたところ知ってるだろ?あそこな、太陽がちょうどよく当たるんだ」
「アンドロイドっていいわよねぇ。日焼け気にしなくてよくて」
「日焼け?なんだそれ」
そういうA2の姿が太陽に照らされる。
「・・・ずるいなぁ」
「ブツブツ言ってないで行くぞ」
本当、可愛いくてカッコいいってずるい。A2の横に行く。
「なんだ?ニヤニヤして」
「別になにもないわよ」
「そういう時のラヴィほど怖いぞ」
「本当になにも無いって」
軽口を叩き合いながらキャンプまで歩いた。
「よぉ!飯の姉ちゃん」
キャンプに到着するや否や見知らぬアンドロイドから声をかけられる。すごい親しげに声かけてもらったところ申し訳ないけど・・・顔に見覚えがない。あの時あまりの激務で脳死で作業してたから顔なんて1人1人覚えてないよね。どうしよう。かと言って話すこともないし・・・無言が続く。
「コラ」
隣のアンドロイドの方がそのアンドロイドの頭を叩いた。
「失礼な呼び方するな。すいませんラヴィさん」
そう言って2人はどこかに行ってしまった。
「ねえA2。私の認識って飯なのかな?」
A2に聞いてみた。するとおもむろにどこか真剣な表情をしたA2が振り返る。
「バカ言うな。さっきのアイツが非常識なだけだ。みんなラヴィのことしっかり分かってるさ。少なくとも私はラヴィのことしっかり見てる」
「あ、ありがとう」
A2も成長したなぁ。大人の階段一気に登った影響はすごいってことか。
「お取込み中に悪いね」
「ジャッカス、おはよう」
「おはよう。昨日は手伝えなくて申し訳ないね」
「別に気にしてないわよ。それより楽しめた?」
「もちろんだ。すごくドキドキしたよ。最初は研究のためと思っていたが、いつの間にか見入ってしまっていたよ」
「それはよかった」
「みんなは?」
「友人たちと話してるよ」
「お前はどうした?」
「2号。君にデリカシーを求めるのは間違いなんだろうな」
ジャッカスに多大なダメージ!効果は抜群だ!効果は抜群だ!そんな2人を放ってアネモネを探すと目が合った。それに耳を澄ますと姉妹や11Bたちの声が聞こえる。とりあえずアネモネの方に合流する。
「おはよう」
「お、ラヴィか。おはよう」
「「おはよう(ございます)」」
私とアネモネの声に気づいたみんなが集まってきてくれた。
「おい、話はまだ・・・」
A2がジャッカスの手を引いてやってきた。
「全員集合完了」
「そうか。それで何か用か?」
「アネモネ、今日ってキャンプって暇?」
「一部のものは偵察や警戒に出ているが私を含め大半の者は暇してるはずだぞ」
周りを見渡すと確かに沢山のアンドロイドがいる。これなら集客効果もばっちりね。「ねえ、広い場所かしてくれない?」
「構わんぞ。おい、ジャッカスとデボル、ポポル付いてこい」
アネモネは片手にロープを持っている。
「おーい、悪いがそこを退けてくれ」
その様子にほかのアンドロイドも集まってきた。
「ラヴィーこんなものでどうだー!」
一斉にアンドロイドがこちらを向く。ちょっと怖い。
「ありがとう!」
視線が怖くて人をかき分けていく。アネモネの隣についてアンドロイドと目を合わせないように指示を出していく。使ってない机を置いて、銃を置く。これを3か所つくる。次に机からだいたいの距離15m、25m、50mに人型っぽくして胴体と頭部は機械生命体のスクラップを使う。真ん中あたりに射撃用紙を張り付ける。
「こんなもんかな?]
ライフルを構えてスコープを除いて位置を確認する。
「よし」
「ラヴィこれは・・・」
「見ての通り射撃場よ。銃を買ってもらった時のサービスをしようと思ってね」
「射撃場?ラヴィさんよ。俺たち銃は撃てますぜ」
話し方の癖が強いアンドロイドが反論してきた。にしても話し方の癖つよいな。
「あなた見てないの?ラヴィさんの射撃?レジスタンスキャンプが襲われた時に助けに来てくれたラヴィさん格好良かったんだから」
「俺達はその時キャンプの外だったからな。戻ってきたときにはラヴィさん達はいなかった。何があったか知らないが機械生命体に銃は非効率だろ」
「はぁ。まったく・・・みんな見てて」
私はライフルを腰撃ちでバラまいた。15m程度では精度は問題ないが20mで既に精度が悪いと言わざるを得ない。50mになると弾痕の数が一桁になる。
「この撃ち方。馴染み深いわよね?でもね。私からするとただの間抜けにしか見えないし、弾も当たらない。良い?弾を当てるには簡単にいえばサイトで狙えばいい。まず、姿勢は前屈みに、ストックを頬につける。足を少し曲げる。正しい姿勢で銃を構える」
ダンッダンッ ダンッダンッ
胴体部分、頭に2発ずつ。距離が伸びることによって多少のバラツキが出たが誤差だ。
「・・・]
後ろを振り返ると拍手が起きた。
「ねぇそこのアナタ、よかったらその銃を貸してくれない?」
彼から銃を借りる。
「みんな拍手してるけどこれを目指すんだからね?」
彼の銃を構えて同じように撃つ。口径が大きいため少し精度が落ちた。落ちたと言ってもこれも誤差だが。借りた銃を返す。
「ありがとう。きれいに整備されてるいい銃ね。さて、それじゃあボチボチやっていきましょうか。自分の銃がある人、各種質問も受け付けるわ」
すると先ほど銃を貸してくれた彼以外のアンドロイドが全員駆け出した。私とヨルハ部隊の全員が呆気に取られているとアネモネが解説してくれた。
「私たちは一応全員に銃を支給しているんだ。まあ私も含め使うやつは皆無だが。それが今のラヴィの射撃で触発されたんだろう」
さすがにお世辞が過ぎない?
「私がお世辞言ってると思ってるだろ。見てろ」
そう言ってアネモネは残っているヨルハの前に立った。
「私の部下たちのことだ。見つけて戻ってくるまで時間がかかるだろう。時間は有限だ。やりたい奴から頼んだらどうだ?」
「ハイ!!」
6Oが真っ先に手を挙げた。
「6Oあなたオペレータタイプでしょうが。必要ありません」
「嫌です!!私は先輩と一緒に戦いたいんです!」
「だからあなたはオペレーター・・・」
「素敵じゃないか。なぁ」
「私も素敵だと思いますよ」
「クソ真面目。だからアンタは嫌われるのよ」
「嫌ってるのはアナタだけ・・・」
「周り見てみ」
21Oが周りのヨルハを見るとみんな顔を逸らした。
「6Oさん何か撃ちたい銃は?」
「私のような小柄な体形でも使える銃ありますか?」
「ならポポルの銃がいいかな」
Beretta M9
9mmなら女性でも問題なく扱えるし良い銃だ。ま、私は9mmあまり使わないけど。
「それじゃあ6Oさん行きましょうか。それと1人じゃ不安なので11Bさんお願いできますか?」
「ちょっと待ってください」
「なによ」
おっと・・・?何だ何だ修羅場か?
「私がやります」
「あんなに止めといて?」
「それは・・・その・・・」
「大きな声で話しなさいよ」
「6Oは大切な後輩なんです!!!」
おー。かっこいい先輩だこと。まてよ。まさかポポルはこれを狙って・・・?
にこっ
出来る奴ってなんでこんなに可愛いのかしらね。
「え?結局アイツが教えるの・・・?」
「先輩~最愛の彼女がいますよ~」
「え?あっごめん!待って!そんなつもりじゃ!」
1人分かってない奴がいるけど、こっちもこっちで微笑ましいからよし!
「ほらほら時間を食ってるぞ。どんどん行けー」
これを機に立候補者が大勢でた。私とジャッカスでライフル、ポポル、デボルと21Oで拳銃、マシンピストル、11Bがショットガンと格闘。ヨルハは大体11Bに行ってたかな。そのせいで始めは11Bが忙しそうだったんだけど、しばらくして銃探し出したアンドロイド達が参加して結局私とデボルが忙しくなった。まあコツをつかんで上達してきたアンドロイドが少し教える側に回ってくれたりもしたんだけどかなり疲れた。全員それなりに上達してきたころポッドに声をかけられた。
「要請、10H及びポッド006が翌日到着予定。ヘリを使って移動するにはそろそろ出発しないと間に合わない」
「あ、そっか。ごめん少し待ってね」
私は射撃訓練をしているみんなの真ん中に立つ。
「全員注目!!」
一斉にこちらを向く。
「貴様ら!!これで銃の使い方は分かっただろう!だが!あくまで訓練であると言いう事を忘れるな!いいな!返事は!!」
「Sir yes sir!!」
いい返事をするようになったじゃない。さて、準備しますか。
「おーいA2~起きてる~?」
「今ので目が覚めた」
「10H達を迎えに行くから降りてきて」
「ラヴィ」
するとホワイトに声をかけられる。
「私も一緒にいいか?」
「構わないけどケンカしないでね?」
「善処しよう」
「断言してほしいんだけど・・・」
「私はしないぞ。コイツとは違う」
A2?いつの間に?さては飛び降りて来たわね。
「おい」
「なんだ?早速か?」
A2ったらいつの間にそんなに余裕を持ったんだか。
「それじゃあ行きますか?」
「ラヴィ~私達はどうする?」
「みんな好きにしてて良いわよ?みんなと一緒に訓練しててもいいし。あ、ジャッカスくれぐれも食べ過ぎないでね」
その瞬間キャンプにいるすべてのアンドロイドの視線がジャッカスに集まった。
「ジャッカスさん!その銃の撃ち方教えてください!」
どこからか出て来た青年がジャッカスを引っ張っていく。あらあら希望者殺到ね。これは直ぐには解放されそうもなさそう。悪い事しちゃったかな?
「お~いラヴィ早くしろ。行くぞ」
A2に呼ばれて私はキャンプを出た。さて、いい加減終わらせないとね。
次回、ヘリと9S目覚める。
大変お待たせしました。リアルの事情が忙しくてなかなか書けなくて。でも何とか今年中に投稿できました。このお話もそろそろ終わります。来年には完結させたい!」ではみなさまよいお年を。