ニーアオートマタ~荒廃した世界でエージェントは何をなす~   作:い湯め

189 / 193
第189話

エージェントside

「今、行くから」

私とホワイト小走りで先を歩いているA2に追いつく。

「あっ!!!」

何かに躓き転びかけたホワイトにA2が手を差し伸べる。

「全く。先が思いやられるな」

「悪い」

普通に見れば2人の仲が悪いことはわかる。だが、以前の険悪だった仲よりはこうやって声をかけるようになっただけでも大きな前身と微笑ましくなる。だが、まだ互いにぎこちなく話ていない。それを私はただ微笑ましくみる。以外にもそれなりに時間がかかる道中それでどうにかなってしまったのが凄い。

「それじゃあ2人とも乗って。揺れることもあるから気をつけてね。下手すると振り落とされるわよ」

私もバイザーをかぶる。2人がしっかりと座ったことを確認して高度を上げていく。すぐに拠点や周りのビルが小さくなる。その様子をホワイトは興味深そうに見ていた。

「ヨルハの飛行ユニットと違ってこっちはゆっくり優雅でしょ」

「いや、私は空を飛ぶことすら初めてだ」

「え?乗ったこと無いの?あんなに楽しそうなのに?」

「楽しそうって・・・ラヴィお前」

「ふふっ。ラヴィは何でも興味を持つな。しかもかなりの物好きだ」

A2?私が興味を持つのはおもしろいとか美しいと思うものだけなんだけど?

「まぁ楽しいかどうかは置いておいて、空を飛ぶのは初めてだ。司令官が前線に出るわけないだろう?」

「確かに。いわれてみればそうね。だと、ホワイトってヨルハ創設の時から司令官なの?」

「悪いが話す気はない。それにA2、お前も私の話なんぞ聞きたくないだろ」

「眠くなる」

「そういうことだ。コイツの場合私の話よりお前の話のほうが好きだろ」

「え?なんでもいいの?」

「私は何でもいい」

「なら子供向けの童話でもいいの?」

「いいぞ。私たちはそんな子供向けの話にすら馴染みがないからな」

「冗談のつもりだったんだけど・・・っていうか話してるこっちが飽きちゃう」

なんでいい年(?)したアンドロイド共に童話なんか聞かせなきゃならんのだ。

「それじゃあ、なんか質問してくんない?答えられる範囲で答えるから」

そこから始まったトークショーは別に他愛のないものだった。好きな食べ物とか昔何をしてたかとか。時折、こちらから質問をしてみたが、プライベートが皆無な奴らに質問するだけ無駄だった。

「今日はここら辺で野宿ね」

以前と同じ場所にヘリを着陸させる。A2とホワイトに周囲の確認をしてもらって間に火を起こして持ってきた肉塊を焼いていく。それなりの大きさだけどあの2人にはすんなり入っちゃうのよね。それでいてアンドロイドは太らない。はぁー女としてはうらやましい限りだわ。

「ラヴィ、ある程度見てきたが何もなかった」

「こっちもだ」

「ナイスタイミング。こっちも丁度焼けたわよ」

焼けた肉をナイフで切り分けて2人に渡す。2人とも涎の量が凄い。それに肉塊の大きさも相まってゲームみたい。

「召し上がれ」

2人と大口を開けて食らいつく。口の周りに肉の油がついてることすら気にしてない。

「おいしい?」

「「旨い!!」」

えぇい。キラキラさせやがって。肉の油だけど。

「「ごちそうさまでした」」

肉塊はその後、数分で消えてしまった。そうして食べ終えたらやることも無いので2人は直ぐに寝てしまった。

「はぁーうらやましい」

1人夜空を眺めてしばらく消化を待ってすぐに寝てしまった。

朝~

「結局、私が1番早いのよね」

目を覚まして体を伸ばして一通りの準備を完了する。

「ほらー2人とも起きてー」

A2とホワイトの体を揺する。

「あぁ・・・おはよう」

A2が体を起こして伸ばし始める。だが、ホワイトがなかなか起きない。

「ホワイト。ねぇ、ホワイト起きて」

体を揺すり続ける。

「ホワイトってば」

「あぁあん?」

ホワイトの目が少しだけ開きこちらを睨みつけてくる。寝起き悪。こんなところにまで人類に似せなくてよくない?

「おはよう?そろそろ出発だから準備して?」

「あぁぁ」

ヨボヨボと体を起こしてヘリに乗り込み座席に座り、再び寝始めた。

「はぁ。まったくアイツと来たら」

「日ごろから疲れてるのよ。寝かせておいてあげましょ」

さすがに寝てる人がいるのに騒ぐわけにもいかずヘリの中は静かだった。

数時間後~

「A2さすがに起こしてあげて」

ホワイトの体を乱暴に揺らし始める。

「オイ!起きろ。つくぞ!」

「あー!起きた起きた。覚めた覚めた!!」

「おはよう。ぐっすり寝てたところ悪いけどそろそろ到着するから起きてね」

「あー。すまん。そんなに寝てたか」

よく見ると目元の隈が取れているような気がする。

「お疲れみたいね。帰りも長いからぐっすり寝てていいわよ」

「悪いな」

ヘリをホワイトハウス前に着陸させてロケットの発射場まで歩く。

「到着予定時間まであと30分。時間はあるし、ゆっくり行きましょう」

「ああ。いい天気だな」

「驚いた。戦うしか能がないお前からそんな言葉が出るとはな」

「今ここで叩き切るぞ」

「ほらほら」

どこかホワイトの声が明るい。冗談も楽しげだ。そんな様子をA2も感じ取っているらしく付き合ってやっている。そんな感じがする。

数分後~

「お、到着まで残り10分。丁度いいわね」

3人で空を見上げる。空に一つ明るい点が徐々に大きくなっていく。ふと気になることがあった。

「ねぇこれってロケットの噴射ってどうなるの?」

「ホワイト?」

「え?」

「え?」

すぅ・・・

「走れえええええ」

ああもう!本当に私って間抜け。なんで普通に近づいちゃうかな。

「あそこ!あの地下鉄に!」

後ろからはロケットの轟音が響いてくる。後ろを振り返る余裕はない。

「飛び込めぇ!」

階段を駆け下り、線路に降りて頭を下げる。2人も同じように頭に手を置いて身を守っている。

ゴオオオオオオオオ

轟音と共に激しい揺れが私たちを襲った。

「・・・もう大丈夫か?」

「多分」

「なら外に出よう。肝心の10Hに動き回られたら面倒だ」

ホームに上がって外に出る階段を上ろうとすると凄まじい焦げ臭さに鼻を覆った。階段を上って地上に近づけば近づくほど匂いはきつくなっていく。

「うわ・・・」

地上に出るとあたり一面匂いがすごく、植物の1部は燃えていた。

「おい、ロケットはあそこだ。急ぐぞ?」

あまりの大きさに言われなくてもわかる。

「扉は開いてないみたいだ」

「ならまだ中にいるよな?」

「多分そうだけど、周りがあれだからできるだけ早くここから移動したいわ」

私たちは扉があくことを待ったが、開く気配がない。A2が扉の横を思いきり蹴飛ばす。

「きゃっ!」

扉の向こうから可愛い悲鳴が聞こえてきた。そして何かの駆動音。扉から離れる。

「わぁ・・・綺麗」

そういって彼女は太陽の光を眩しそうにしていた。後ろにはポッドが浮いている。

「あー・・・初めまして。出会ってそうそう悪いんだけど、周りの状況から早急に移動したいんだけど・・・」

「推奨:すみやかな移動」

あー・・・ポッドてどれもこんな感じなのね。

「はい。お願いします」

一応、周囲を警戒しつつヘリに戻る。かなりの爆音だったがヘリへ戻るまでの道に機械生命体は見当たらなかった。

「さあ、乗った乗った。A2、ホワイトベルト閉めるの手伝ってあげて」

10Hはイスに座ってキョロキョロしている。両手を上げさせてベルトを締める。まるで遊園地に来た子供ね。

「それじゃあ離陸するわよ~」

エンジンの回転数を上げて離陸する。

「おい、見ろ。すごいな」

眼下にはロケットのジェットによって燃えた街並みが真っ赤に燃えていた。この規模の火事は消しようがない。

「ああ。DCの町が・・・」

炎がどうかホワイトハウスに届かないことを祈って街を後にした。

「わぁ地上ってすごいきれいですね!」

しばらく空を飛んでいると10Hが感嘆の声をあげる。確かに木々や建物が燃える嫌な臭いはいつの間に消えていた。

「わ!すごい!アレ!」

指さすほうを見ると、鳥たちが群れになって飛んでいた。

「一緒に飛んでみる?」

「是非!」

ヘリを群れに近づける。鳥たちはヘリが近づいても全く恐れていない。多分、人類が消え、空に飛ぶ航空機が極端に少なくなった結果、鳥は人工物を恐れない。それどころか関係なしに突っ込んできてバードストライクを起こしかけそうになる。

「手を伸ばせば届いちゃいそうですね」

そんな私の不安を他所に10Hははしゃいでいる。まあ楽しそうならなんでもいいか。

「あ、さようなら〜バイバイ〜」

鳥たちがヘリから離れて行く。視線で追っているとすぐ下の森の木に止まったようだった。どうして突然進路を変えたのかしら?ふと目の前を見ると大きな雨雲がこちらに近づいて来ていた。中では雷も鳴っているようだった。

「これ、マズくないか?」

後ろからホワイトがのぞき込んでくる。

「そうね。嵐の中飛ぶのは危険だわ。ここで着陸して嵐が止むのを待ちましょう。多分だけど、ここで一夜を過ごすことになりそう」

着陸するころには周囲の風がかなり強くなってきた。みんなに周りの確保を急いでもらう。

「まさかコイツを使うことになるなんてね」

もしもの時に備えて残しておいた肉塊1ブロック。

「周囲は安全そうだ。それよりラヴィ、ここに留まって大丈夫か?」

「移動したいけど、ヘリは使えないし徒歩じゃ時間もかかるわ。ここに留まるほうが安全ね。それより、あの木の下に入って休みましょ」

一番大きな木の下入り根元で集まる。

「寒いし、何か腹に入れたほうがいいわね。10Hも一緒にね」

穴を掘って炉を作りそこで肉を焼く。焼き加減は確認できないが火はしっかり入っているみたいだ。いい匂いがしてきた。

「そろそろかしら」

取り出して周りに雑にコショウを振る。適当な大きさに切り分けて・・・確定食いしん坊2人に10Hの分にも同じ量切り分ける。必然的に私の量が少し減った。

「はいどうぞ」

「わ!食べていいんですか?」

10Hの目がキラキラしている。いつ見ても良いものね。

「召し上がれ」

「「「頂きます」」」

10Hと食いしん坊2人が肉塊に齧り付く。

「疑問、アンドロイド及びヨルハ部隊に食事は必要・・・」

「黙れ」

ヨルハ部隊司令官様によって一瞬で黙らされた。この2人の食に対するブレなさ加減すごいな。

数分後~

「「「ごちそうさまでした」」」

あ~なんか血が回ってる感覚がする。因みに言うと風は食べ始めるよりも強くなっている。

「今日はこれ以上何もできないし体力温存のため、みんなでくっついておきますか」

「そうだな」

「おい10H、お前はこっちにいろ」

10Hがホワイトに引っ張られA2の間に入れられる。私のほうもA2に引っ張られ隣に入る。ここはまだお互いに頑固なのよね。寒さを凌ぐ(特に私)ために塊で暖をとる。「これは朝までこのままでしょうね。この寒さと風の轟音じゃ寝られないでしょうね」

話している私ですらしっかり聞き取れない。風の轟音に話しても無駄だと理解して全員黙って嵐が晴れるのを待った。

朝~

「よし・・・多分嵐も過ぎたでしょ。ほら、みんな乗った乗った出発するわよ」

小雨が降っているが風は穏やかだから問題ない。

「ラヴィ休まなくていいのか?」

「なんとか。とりあえず、帰ったら体を洗いましょう。あと、寝たいなら寝てていいわよ」

「悪いな」

「すいません・・・私も寝させていただきます」

「・・・」

「ホワイトも寝てていいわよ。普段から疲れてるでしょ?それに戻ったら忙しくなるんでしょ?」

「お言葉に甘えよう。お前も無理するなよ」

「おやすみ」

「ああ」

3人とも寝息を立て始めた。あー、私も帰ったら1日くらい寝てやろ。




お久しぶりでございます・・・こんなに間が空いてるのにも関わらず、誤字の報告を頂いて、安心感やら恥ずかしさが出て来ました。
完結までこの作品をよろしくお願い致します。
次回は、キャンプsideのお話です。
誤字脱字、解釈不一致あれば申し付けください。
今回も読んでいただきますありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。