ニーアオートマタ~荒廃した世界でエージェントは何をなす~   作:い湯め

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第191話

2Bside

「推奨:停戦」

「ポッド153に命令ッ!貴様の独断の倫理思考と発言を禁止する!!」

「命令を拒否する」

ポッドが命令に逆らった?

「・・・もう一度繰り返せ」

「命令を拒否する。私はここにいる誰も傷つけない」

「黙れ」

「9S]

「口を閉じろ」

「命令を拒否する。9S。君もわかっているだろう」

「うるさい」

「君に必要なのはすな・・・」

「黙れ!!」

「ポッド153!!」

耐えかねた9Sがとうとう刀を抜いた。そしてすかさずポッド153に投げつける。

「問題ない。心配してくれてありがとう」

今まで見たことのないポット同士のやり取り。

「9S。お願いだ。一度でいい。私たちの話を・・・」

ポッド153が9Sの前に立って懇願する。

「反抗するその口を塞いでやる」

マズイ、ハッキング!

「9S!止すんだ!」

ガコンッ!

「ポッド!?」

その瞬間ポッド042が9Sの頭に体当たりした。そして、武装を9Sに向ける。

「ちょっと待った。2人いや、1人と1体?落ち着くんだ」

「そこは別に重要じゃないと思いますよ」

「9S。私は君がポッド153に危害を向けることを許さない」

「黙れ!君が守るなんて言葉口にするな!2Bを守れなかった癖に!」

「そうだ。私は2Bを守れなかった。しかし、2Bは生きている。もう二度と失敗しない」

「戯言を!」

「そして、同じくらいの気持ちをポッド153に持っている。私は決めた。この2人を死んでも守る」

「ジャッカスさんどうやらポッドを数えるときは人でいいみたいですよ」

16D、重要なのはそこじゃない。

「どいつもコイツもバカにしやがって!」

「9S!」

彼の正面に立ってまっすぐ彼を見つめる。

「2B!」

11Bの声。

「9Sと2人っきりで話がしたい」

「2B・・・」

「私は構いません」

「まぁいいんじゃない?私達みたいな外野いるよりも2人の方が有意義だよ」

「先輩の言う通りです」

「ちょっとあとは保護者のOK待ちなんだけど?」

「ポッド」

「構わない」

「あ、ちょっと待って。9S」

9Sが嫌そうな顔で11Bの方を向く。

「そんな嫌な顔しないで貰いたいんだけど・・・まぁいいわ。どんな決断であれ、私達はアンタの決断を尊重するから。誰にも邪魔はさせない。あのクソ司令がなんかやろうとしても黙らせるから安心して」

「僕が2Bを殺してもですか?」

「もちろんですよ。それに9Sさんならすぐに後追ってそうですし」

「やっぱりヨルハって頭おかしいんじゃ」

段々否定できなくなってきた。

「9S、さぁ行こっか」

「・・・はい」

私達は歩き出す。9Sは私の後ろにいる。前のように隣は歩いてくれない。しばらく互いに無言で歩きしばらくして9Sが口火を切った。

「2B、これから質問する事に正直に答えてください」

「うん」

「今まで何体の僕を殺してたんですか?」

「わからない。数え切れないほど沢山」

「今まで印象的だった僕はいますか?」

「いない」

「え〜??そんなはずないでしょ〜!だって毎回少しは違う会話してきたんですよね!毎回、違う殺し方で僕を殺したんですよね!正直に答えるって言ったじゃないですか〜?」

「いい加減にして!それに私も殆ど覚えてない」

つい声を荒らげてしまう。

「9Sとの会話は全てソフトウェアのアップデート時に強制的に消去させられてるの。残るのは楽しげな会話をしていたという記憶と、あなたの最期の時だけ」

今、この瞬間にも数多の9Sの最期を思い出す。

「だから、私は君に冷たくしているの。でも、会話をしていると何故かどこか懐かしい感覚がするの」

胸に手を当てる。機械に命はない。でも心はある気がする。

「忘れないように、印象的だった会話を自分のボディに刻みこんだ事もあった。結局、パーツ交換されたけど」

確か・・・刻んだのは右手だったかな。

「結局、9Sと過ごした時間は長いのに覚えてる事は少ししか無いの」

目から涙が溢れる。

「2B・・・泣かないでください」

「次の質問いいですか?」

「うん。ごめん」

私の事を励ましてはくれない。悲しみを抑えて涙を止める。

「2Bは・・・僕がした事をどう感ました?」

「私は・・・正直・・・嬉しかった」

9Sが立ち止まる。

「冗談かどうかは判断できますよ」

「冗談じゃない。私は本当にうれしかった。確かにA2と争ってほしくはなかった。でも、9Sが任務を抜きにしてただ私の為だけに動いてくれたことが嬉しかった」

あぁ・・・やっぱり私もイカレてるんだ。気づいたところでこの思いは止まらない。21Oにも9Sは渡さない。

「9Sは間違ってない。誰も9Sを責めたりしない。ただA2と話し合ってほしい。どうするかはその後決めればいい。どんな決断でも誰も責めないし止めない」

私は彼の前に立つ。そして目隠しを取って投げ捨てる。風で目隠しは飛んで行ってしまった。そして砂が時折、目の近くに当たる。

「どうかな?」

9Sは私の目を真っ直ぐ見つめている。やっぱり9Sは綺麗な目してるなぁ。

「2B・・・彼女は、A2は僕のこと許してくれるでしょうか」

「大丈夫。A2は私の最期の願いを聞いてくれた時から怒って無かったと思ったよ」

「そうだといいんですけどね」

「そして私からも一ついい」

「どうぞ」

大きく深呼吸をする。無いはずの鼓動が早くなるのを感じる。9Sの手を取る。

「2B?顔が真っ赤ですけど・・・?」

9S!お願い。指摘しないで。

「9S。私はアナタの事が好きです」

・・・・

「アハハハっ!もしかして2B、この話をする方が緊張したんですか?変なの~それに僕も2Bの事好きですよ」

違う。その想いは私の求めるものじゃない。

「9S!」

「なんですr」

「あっ!」

悲劇にも足元の砂が崩れ2人共バランスが崩れる。

「おっとっと2B大丈夫ですか・・・!?」

現在の私達の体勢はと言うと9Sの上に私が乗っかっている状態である。

「と!とりあえずどけてくださ・・・力つよ!」

「うるさい」

「どけてください!」

「・・・ごめん」

なんとか自分を押さえつける。この行為を求める資格は私にはない。

「これはエミール?」

立ち上がり辺りを見渡すと巨大なエミールの顔が何個も転がって(?)いた。先程まで全く気づかなかったほど自分が緊張していた事に改めて気づいた。9Sと顔を見合わせる。

「行ってみよう」

その巨大なエミールの顔に近づく。顔の間と間を通っていくと横たわっているエミールを見つけた。

「エミール!!」

「気を・・・・つけて・・・・まだ・・・・生きて・・・」

その瞬間地面が大きく揺れる。

「グゥアァア゛アァ゛ア゛ア゛アアア!!」

そして球体が連続した芋虫のようなものが空へと勢いよく飛び出した。

「クソッ」

明らかに友好的じゃない。

「警告、旧世界の魔法兵器」

後をつけてきていたのかポッドが物凄い速さで私の少し後ろについた。

「魔素を利用した攻撃はあらゆる防御システムを貫通する可能性あり。推奨、回避」

「そんなこと言われたって・・・・」

こんな激しい攻撃、今まで経験したことがない。以前の降下作戦のほうがまだ余裕があった。

「僕は・・・・ボク達ハ・・・・・!!永遠・・・・クルしい・・・・イタイ」

「9S!」

9Sは慌てて回避する。バランスが崩れた彼の手を取って支える。

「2B!助かりました!」

「気をぬかない」

「あの・・・手」

「あっ!」

「2B!危ない!」

その瞬間9Sに抱き寄せられる。

「これで貸し借りはなしですよ」

「うん//」

いけない。いけない。まだ戦闘中なのに。顔が熱い。

「何で、コンナ・・・・・僕達だけ・・・・もう・・・・全部・・・・殺してヤル!!こんな世界!!!!要ラナイ!!!!」

「2B背中は預けましたよ」

「任せて」

なんだか自信が湧いてきた。でも、自信だけじゃ倒せない!!そもそもコイツはなんなの!?

「警告、敵性魔法兵器、魔素の放出量増加」

「そんな・・・」

CALL

「あれは僕の・・・・分身の慣れの果てです・・・・度重なる増殖と、長年に渡る戦争で・・・・・自我が崩壊してしまっているんです・・・・あいつらは・・・・僕が決着を・・・・つけないと・・・・」

「黙ってて!」

巨大ないくつものエミールから放たれる多彩かつ激しい攻撃。

「9S!」

「ええ!まだいけますよ!それよりアイツを」

9Sが指さす方には他の個体よりダメージが蓄積された個体がいた。

「ララ・・・・ラ・・・・ラララ・・・・ラララララ・・・・ラララララララ・・・・僕は!僕達は頑張ったよ!雨の日も風の日も嵐の日も。たとえ仲間が死んでも僕達はくじけずに戦ったよ!でも、永遠に続く戦争が、永遠に続く痛みが、ッフフッ・・・・永遠に続く苦しみが・・・・僕達に叫ぶんだ!この世界は守るべき価値が無いって・・・・こんな世界に意味は無いって・・・・ハハハッ・・・・そう叫ぶんだよ!フフッ・・・・ハハッ・・・・ハハハハハハアーハハハハハッハハハハハハお前に・・・お前たちに・・・・この痛みが!!悲しみが!!絶望が!!わかルかあアアアああああああああっ」

エミールも私のように、いや私以上に苦しんだんだろう。その叫びの一つ一つが私の心に突き刺さる。

CALL

「だからって!!こんなの間違ってる!!どんなにくるしくても、どんなに辛くても・・・・あの人達は諦めたりしなかった。いつか乗り越えられると信じて、戦ってたんだ!そうですよね!?カイネさんッ!無駄だとわかっていても、やらなきゃダメなんだッ!だって、あの人が、守ろうとした世界なんだからッッッ!!」

「・・・・・・・・・・・!!!!」

エミールの顔たちが転がるのをやめ、その場で凄まじい速さで回転し始めた。

「うわッ!!」

「9S!」

突如、私たちの視界が光に包まれた。9Sの頭を下げさせる。

「ダメ・・・・だなぁ、僕は。あんな大事な事を、最後に・・・・思い出すなんて」

「エミール・・・・」

「僕は逃げていたんです・・・・大事な人を失った記憶から・・・・だって・・・・辛くて・・・・苦しくて・・・・最後の最後で・・・・2お2人に迷惑をかけちゃいましたね・・・・でも、もうすぐ会えるから・・・・きっと・・・・」

「大丈夫。修理すれば・・・・」

「・・・・やだなぁ・・・・・みんな、いるじゃ・・・・逢えて・・・・良かっ・・・・・」

僅かな電子音。エミールの最期だった。

「エミール・・・・」

「2B・・・・帰りましょうか」

「うん・・・うん!?」

一瞬、9Sの言葉が理解できなかった。

「つまりそれって・・・」

「A2と話してみます」

「了解。通信をA2に接続」

CALL

「倒したか。2人共ケガはないか」

「大丈夫。損害は軽微」

「そうか。よかった」

もしかして・・・A2もちょっと変わったのかな?優しくなった気がするな。

「わかった。今からキャンプに戻る」

「それじゃあ行こっか」

「はい。でもできるだけゆっくり歩きません?」

「・・・・いいよ」

A2を待たせる事になるだろうけど、少しくらいいいだろ。そう思いながらキャンプへの道を歩き始めた。




お久しぶりです(n回目)
内容に悩んでスランプ気味だったり、私情でお待たせしました。
次回、ラヴィさん視点から最終回です。次回で必ず完結させる為、長めになるかも・・・・?気長にお待ちください。
誤字脱字、解釈不一致あれば申し付けください。
今回も読んでいただきありがとうございます。
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