ニーアオートマタ~荒廃した世界でエージェントは何をなす~ 作:い湯め
エージェントside
「ふぁ〜・・・」
なんだろう。なんだか凄く長い間寝ていた気がする。日付を確認しても一晩寝ていただけ・・・まぁ疲れが取れたし深く考えないようにしよう。いつものように屋上に出て風に当たって目を覚ましながら髪を結び、下に降りてみんなを起こす。
「それじゃ解散〜」
さて、キャンプに行きますか。
数分後〜
「あ、ラヴィさん。おはようございます!」
キャンプの入口に着くと6Oがこちらに気づいて寄ってきた。本当にこの子はいつも元気で微笑ましいわね。
「おはよう。今日来たのはあなたの司令官さんが私に用があるみたいからなの。案内をお願いできる?」
「はい!こちらです!」
「あ、ちょっと止まって」
「はい?」
ふと、その辺に生えていた赤と白の花が目に付いた。
「このお花綺麗ですよね。名前はご存知ですか?」
「私はこの手の知識は明るくないから。知ってるの?」
「いえ。私もデータから検索しないと分からないです。でも、綺麗だってことは分かります!」
なんだかこの子といるとポカポカするわね。あ、そうだ。私は生えていた白い花の茎のところで適当に折る。
「手首見せて」
「はい?」
6Oの手首に茎巻き付けると調度いい長さだった。長さを確認したらもう1本白い花と赤い花を1本折り編み込んでブレスレットを作る。
「もう1回手首出して」
「はい・・・?」
まだなにか分かっていない6Oの手首にブレスレットを巻いてやる。
「はい完成。お花のブレスレット気に入った?」
「〜〜〜〜/////」
声にならない叫び声があがる。
「ありがとうございます!!ラヴィさん凄いです!!!カワイイ!!」
「どういたしまして。それじゃ行きましょうか」
「はい!」
キャンプのヨルハ部隊の中を抜けて行く。道中6Oの腕のブレスレットと彼女の笑顔によってかなりの注目が集まった。
「司令官さんはこの中です!」
「ありがとう。うん。改めてよく似合ってるわ」
「ラヴィさんありがとうございます!!宝物にします!!」
「気に入ってくれて嬉しいわ。それじゃあお仕事頑張って」
「はい!」
そう言うと彼女は小走りで来た道を戻って行く。
「先輩〜!!!コレ見てください!!」
ここまで聞こえる程の大きな声に微笑ましくなった。
トントントン
「入れ」
「お邪魔しま〜す」
「ラヴィか」
「A2から聞いたわ。なにがあったの?」
途端にホワイトの顔色が悪くなる。
「あ〜・・・悪いな。その件はもう解決したんだ」
「は?」
本当に解決してるの?その割に冷や汗かいてるように見えるけど。
「本当に大丈夫?」
「大丈夫だ」
「・・・」
「不満そうだな」
「不満ね。どんな用事だったの?」
「悪いが教えられない」
「ほう・・・わざわざ呼びつけてその用事が言えないの?」
「すまない」
「・・・はぁ」
なんなのよ。とりあえず、部屋にあるソファーに腰かけた。ふうん良いソファ使ってるじゃない。ホワイトもそんな私に気にかけずに仕事を再開する。暇だし仕事してるホワイトの様子でも見るか(?)にしてもアンドロイドって綺麗な白い肌してるわね。しかもこんなに白くて日焼け対策必要ないのがズルい。ヨルハの髪の白さもその清楚感を引き立たせている。加えてホワイトは他のヨルハや私達と比べて肌が色白でかなり存在感がある。
「美人だなぁ・・・」
「は?」
あ、やっべ口にでちゃった。まぁ事実だしいいよね。でもホワイトって意外とそんな顔できるんだね。
「おい、やめろ。なんでさらに堂々とこっちを見れるんだ・・・?」
「美人だし」
「なッ///出てけッ!!さっさと出てけッ!!」
あ、押さないでよッ!悪かったって!!
が、しかし、パワーで負けて部屋の外に出される。かーー!!やっぱりアンドロイドのパワーには負けるわ。
???「嘘つけ。パワー負けしてる奴が私の事を押さえつけられるか」
なんか幻聴が聞こえる~~まあいいや。さてこれからどうしよう。帰ってもどうせ誰もいないだろうし・・・はぁ~結局入り口まで戻って来ちゃった。ん?ふと、先ほど6Oにプレゼントしたブレスレットを作った赤い花が目についた。
「あ!ラヴィさーん!!」
「ちょっと6O!」
6Oが駆け寄ってくる。
「ラヴィさん6Oにわざわざありがとうございます」
「いえいえ。それで21Oから感想貰えた?」
「それが、先輩なにも褒めてくれないんです!」
「えぇ・・・それ本当?」
「本当です」
「21O?折角6Oがあなたの為にオシャレしたってのにその態度はないんじゃない?可愛いの一言ぐらい言ってあげなさいよ。だから、堅物って言われるのよ」
「いえ、私の場合はそういう製造当時からこの性格ですから別に何とも思いませんし、可愛いなんて言ったら6Oが調子に乗ります」
はぁ・・・ほんっとこの頑固者はどうにかならないかしら。あっそうだ。
「大体ですね。6O私達はまだやることがあってこんな所で遊んでる場合では無いんですよ?こうしてッ!!??!?」
うるさい21Oの頭の上に白い花を挿す。
「うん。やっぱり金髪には赤より白の方が合うわね。それに21Oみたいなタイプは髪飾りくらいのワンポイントが良いわね」
「ラヴィさん!」
「さぁ6O?これを見ての感想は?」
「話聞いてください!」
「とっても可愛らしいです!!」
「6O話聞いてください!」
「その・・・私の直感ですけど、私を含めたオペレータータイプよりもサラサラして見えるんです!触らせて貰ったことがあるわけではないので断言はできないんですけど・・・でも、絶対に先輩の魅力は髪だと思うんです。それがこの髪飾りによって引き立ってると思います!」
凄い早口で長文だったわね。当の21Oは・・・
「だ・・・大丈夫?」
「オーバーヒートしそうです」
ねえ・・・ヨルハって耐性なさすぎない?お姉さん心配です。
「ねえ・・・21O分かるわよね?やられたらやり返さないとね」
「ひゃい!」
ダメだ。まともな判断できないわ。
「6O!」
叫んだ21Oが6Oの両手を掴んで自分の頬に触れさせる。
「あなたの手は冷たくてスベスベでとても気持ちいです!私の手はゴツゴツしているのでとても羨ましいです!!その手がそのブレスレットの花から発せられる甘い匂いによってとても癒されます。それに、あなたと仕事をしていると、気を使わなくていいので感謝しています。ありがとうございます!そして・・・可愛いです!!!」
こっちも凄い早口。6Oは・・・
「大丈夫です・・・」
ダメそうね。
「・・・・とりあえず、ごめんなさいね。お仕事頑張ってね」
「「ひゃい・・・」」
2人はそそくさと仕事に戻って行った。
「良いもんが見れた^^」
さてと。私も赤い花を取ってホワイトに渡してやろっと。
「ん?ラヴィ来てたのか」
「どうも。実はホワイトに呼ばれてたんだけど用事が解決したとかで暇になっちゃった」
「それで、これから何をするんだ?」
「仕返し」
「仕返し?」
「ちょっとしたね」
同時にホワイトの部屋のドアをノックする。
「入r、いや出てけ」
「ふふん~」
「やめろこっちくるな」
素早く近づいて赤い花を髪に挿してやる。
「なんだこれ」
「似合ってるわよ。ねえアネモネ?」
「ああ。似合ってるぞ」
「用はこれだけか?」
「ええ」
「ならさっさと出てけ!」
退~散
「嫌われちゃったかしら」
「いや、多分照れ隠しだろ」
「だよね」
「仕返しはあれで十分か?」
「ええ。良いもんが見れた^^」
「それはよかった。この後はどうする予定だ?」
「別に何もやることないわよ。つまり暇」
「なら少し付き合ってくれないか?」
「いいけど何するの?」
「実は今この辺りにレジスタンスの艦隊が寄港する事になってる。その際にそこの艦隊司令と今後の戦略を話し合うんだ。それに私の護衛って事で一緒に行かないか?」
「別にいいけど、それ何か問題にならないの?」
「大丈夫だ。お前の腕が良いのは私が保証する。逆に言うが、何も無さすぎて暇になるぞ?」
「いいわよ。その時はその辺で釣りでもして晩ご飯の食材確保してるから」
「逞しいな。とりあえず出発にはまだ時間がある。ゆっくりしていってくれ」
「了解」
さて・・・それまでの時間をどうしましょうか。とりあえず、ブラブラキャンプを歩いてみる。先ほどの6Oや21O、ホワイトとのやり取りを経てみんなに贈り物をしたくなったので贈り物になる何かを探してみる。
「こんにちは~」
「おお、いらっしゃい」
露店を経営しているアンドロイド
「なにか面白そうなものない?」
「う~んラヴィさんの言う面白い物って例えばなんだ?」
「ジョークグッズとか」
「流石にないな。ここは戦闘に使う武器とかアイテムを販売してる。後は、武器の修理、調整とかだな」
「武器の調整って?」
「俺たちレジスタンスの武器は大体が戦場で拾ってきた他の誰かの遺品だ。それを使うとなると持ち手の長さなんかを調整する必要がある。そこで俺が、削ったり、溶接したり、変わり者になると派手にしたりもする」
「ふ~ん?つまり、金属の加工ができるって事?」
「出来ると言えば出来るが、どの様なことを?」
「コレ作れる?」
私は首からドックタグを外して見せる。
「これ位なら問題ないが・・・これは贈り物として地味じゃないか?」
「大丈夫。これにちゃんと意味があるから」
「そうか。それじゃあ何を刻むんだ?」
「まず~
数十分後~
「わかった。なら夕方に来てくれ」
「そんなに早いの?数も多いけど・・・」
「こんなの正直仕事の範疇に入らない。お安い御用だ」
「そう。ありがとう」
「ラヴィ~そろそろ出発するぞ~」
「はーい!!」
「海岸の方へ行くぞ。ついて来てくれ。少し前の戦闘で足場が悪くなってるところもある。注意しろ」
「了解」
30分後~
「アネモネ殿ですか?」
「そうだ」
「私が案内を任されました。部下の方も乗ってください。船に案内します」
海岸に到着すると見慣れない制服を着たアンドロイドが1隻の小型ボートの傍に立っていた。
「よろしく頼む」
ゆっくりとボートが動き出した。
「うーん風が気持ちいいわね」
ヘリで飛ぶのとはまた違う気持ちよさ。やっぱり自然っていい。海面を手で触る。
「楽しいか」
「ええ。このまま飛び込んで泳ぎたいくらい」
「ハハハ面白い方だ。私達が飛び込めば回路がショートし、しかも塩のせいで修理も出来なくなりますよ。最近記憶をリセットされたのですか?」
「・・・・・・えぇ」
そうか。アンドロイドは泳げない。やっぱり私たちとは違うのね。
「でも、あんな風に船体の掃除なんて大胆な事するわね」
スコープでも小さいがなにか船の船体を登っている。
「船体の掃除ですか・・・?」
「えぇ。だって今船の・・・!!!」
「ラヴィどうし・・・」
「伏せろ!」
アネモネの頭を抑え、自らも頭を下げる。その瞬間ボートのすぐ横で水柱が上がる。
「船へ早く連絡しろ!」
彼が慌てて無線機を使い連絡を試みている。また、近くで水柱が上がる。
「つながりません!?」
彼の声は焦りと不安で今にも叫びそうだった。
「ねえ!このボートを船の真横に近づけて!」
「どうする気だ?」
「懐に入れば撃たれない!」
その瞬間ボートが急加速し船に近づいていく。船の砲は常に私たちを追い続けている。弾が飛んでこないことは分かっているが、狙われていて気持ちが良いと思う奴なんていない。
「そろそろ砲の俯角範囲外に入ったんじゃないか?」
「一先ず安心ですかね・・・?」
「なら船の周囲を回ってくれる?上がれる場所を探さないと」
船に近づくと戦闘配置を知らせるサイレンと誰かが何かを叫んでいる声が聞こえてくる。
「~~~!!」
「混線してるぞ」
彼が無線機を操作すると次第に声がクリアになってくる。
「こちら~~!!敵に乗り込まれた!!繰り返す!」
「こちら艦長だ。この通信は誤報である。我が艦は安全である」
「どういうことだ」
「声はどちらも艦長のものです」
「何であれどうにかして艦内に突入しないと。持ち上げてくれる?」
「ああ。乗ってくれ」
アネモネの肩に乗って船の甲板の端に掴まる。
「行けるか?」
「ちょっと厳しいわね。ちょっと私に掴まって先に上ってくれない?」
「わかった」
アネモネが私の肩を掴み力を入れた瞬間・・・
「危ない!!」
「いッッ!!」
突然左手の指先に激痛が走る。耐えかねて手を放してしまい右手に体重がかかる。そして目の前に大柄な機械生命体が立っていた。片手に刃を持って。
「クソッ!」
当然だが、待ってくれず私に刃が襲い掛かってくる。咄嗟に左手で顔を覆う。
「ラヴィ!」
アネモネの叫び声と同時に左手が熱くなり、どろっとした液体が流れる感覚がする。痛みで反射的に手を放しそうになる。右手に力を籠めていると目の前を機械生命体の腕の影が素早く横切った。すかさずナイフを抜いて機械生命体の腕に突き刺した。
「嘘でしょ!!!」
ナイフを刺した時の衝撃かまさか痛みを感じるのか、刃は手から滑り落ちが・・・腕を引き上げられそのまま宙を舞って船の甲板に叩きつけられた。
「クソッたれ・・・」
背中の痛みをこらえながら立ち上がる。私のことを投げ飛ばしやがった機械生命体が腕に刺さったナイフを抜いて私に向かってくる。それをすかさず腕をつかんで背負い投げし、ナイフをソイツの顔面に力いっぱい突き立てる。甲板に叩きつけられた音と共にソイツは動かなくなった。ナイフを引き抜いて表面を拭く。
「ふぅ」
「きゃああああ!!!」
その瞬間甲板に男性のレジスタンスと機械生命体が飛び出してきた。勢いが良すぎたのか彼が転んでしまった。転んだ彼の目の前に立った機械生命体に向けナイフを投げる。衝撃で機械生命体がよろけた。その頭にライフルを撃ち込む。倒れた機械生命体からナイフを引き抜く。
「大丈夫?立てる?」
彼に手を伸ばす。
「え、ええ。ありがとうございます・・・」
彼は私の手を掴んでヨロヨロと立ち上がった。
「ラヴィー」
ボートからアネモネに呼ばれた。
「大丈夫。無事よ」
「ならよかった。何かあろうものなら私の首が飛ぶ」
「あの子たちはそんなに野蛮じゃないわよ」
「だといいが。で、彼は同僚かい?」
ボートの操縦手の彼に確認を取る。
「ええ。助けていただいたようですね。ありがとうございます」
「どうも。それで何があったの?」
「わかりません。艦長から使いを終えて戻ろうとしたら突然奴らが乗り込んできて・・・」
「なるほどね。ところで私たちはあなたにお使いを頼んだ艦長さんから招待されて来たんだけど、砲撃を受けたの。今の話を聞いてると、船の操作をする場所はもう占領されていてそして艦長さんも・・・」
「いや・・・まだわかりません」
「ほう。本当か?」
ボートの操縦者の彼が頷く。
「はい。実はこの艦の砲はシステムが誤作動を起こしていて修理する必要がありました。そのためにこの地に立ち寄ったのです。不具合を起こしたシステムのセキュリティは脆弱ですから外部からの侵入は容易だと思います。乗り込めるならなおさら。しかし、先ほど艦内のシステムがOFFになりました。艦長か誰かがやったに違いありません。これで砲撃はできません。動きもしませんが」
「OK。これで応援が呼べるわ。アネモネ、悪いけど後はよろしく」
「は?お前はどうするんだ?」
「船内の制圧と、生存者の救出」
「1人じゃ危ないだろ!私も手伝う」
「ダメ。アネモネは手綱を握ってもらわないといけない」
「手綱?動物を兵器に使うなんていつの時代の話だ?」
あぁ・・・そうだ。この手のジョークって通じないんだった。
「違う動物じゃないわよ。対象はうちの子たち」
「なおさら分からん。あいつらは優秀な奴らだろうが」
「それが今回の場合まずいことになりかねない。いい?完結に行くわよ」
「ああ」
「今、私たちはこの船に"砲撃"されたの。わかる?普通に考えたら敵に乗っ取られて撃ってきたなんて考える?みんなこの船を敵だと思って沈めにかかるわよ」
「あ~・・・」
「そのための道具もある。それにあなたの部下だって今頃大慌てでしょ?その指揮も必要」
「わかった。わかった。だが・・・本当に」
「あのね」
アネモネの胸ぐらを掴み引き寄せる。
「・・・わかった」
アネモネと彼が全速力で船から遠ざかっていく。
「さぁ行くよ」
「は、はい!!」
甲板から船内に入る。船のシステムは停止していても明かりはついてる。
「クソッ。暗い方がましだったわね」
「あぁそんな・・・」
辺りには飛び散った血と力尽きたレジたスタンス。
「辛いかもしれないけど案内お願いね」
彼に微笑んだ後、銃剣をつける。彼も死体から武器を拾って震える手で持っている。
「操縦室は上の階です」
階段には血痕こそ広がっているが機械生命体の姿は見えない。ライトをつけゆっくり階段を上り扉の目の前に立つ。その扉はどこか歪んでいた。
「悪いけど開けてくれる」
彼が震えながらも力を入れ扉を開けようとする。
「すっすいません!開きません!」
「落ち着いて。別にあなたのせいじゃないから大丈夫よ。それよりどうするか考えましょう」
アンドロイドの力でも開けられないとなると・・・爆薬で吹っ飛ばすか?いや、爆発音で機械生命体が集まってくるかも。それに船のダメージがわからないから下手なことはできない。なにか・・・なにか・・・ふと工具箱が見えた。中を開けてみると、バールが入っていた。
「これで開けられる?」
「は、はい!」
彼はそう言うが手が震えていて力が入れられているようには見えない。
「か、変わる?」
「はっはい!すみません!!」
・・・私は彼の中で敵なのか味方なのかどっちになってるんだろ。ふと、そんな疑問が浮かんでしまった。
「下がってて」
「は、はい」
何とか隙間にバールの先端をねじ込み力を籠める。その瞬間
「ひいっ!」
「邪魔だ」
これを隙と判断したであろう機械生命体が扉を突き抜け突っ込んできた。私は奴の首にバールを思いきり振り下ろし力任せに引き倒し頭に拳銃を当て発砲する。
「だいじょう・・・」
彼と目が合うとなぜか頭を抱えて怯えられた。えぇ・・・こっちが抱えたくなってきた。
「さあ、進むわよ。そこで、縮こまるのは結構だけどそうしたって状況は解決しないわ」
部屋を抜けると、食堂のような場所にたどり着いた。中には機械生命体が5体。
「突入するわよ。1、2、3」
すぐに手前の1体の頭を撃ち抜き、すぐさま近い順に2体3体頭を撃ち抜いていく。4体目と5体目はほぼ同時に突っ込んできた。そのため4体目の足を撃ち転ばせ拳銃で5体目の頭をぶち抜く。拳銃をしまい銃剣を首元の関節に突き刺し頭と胴体を離す。
「クリア。ねえ、念のため死んでるか確認してくれる?」
「は、はい!」
彼とともに頭に刃を突き立てていく。
「行くわよ」
「はい。ふー」
心なしか彼の震えも小さくなっている気がする。動揺が収まってきているのかな・・・?
「この操縦室はこの廊下の奥の突き当りを抜けた先です」
「よし。いくわよ」
長い廊下を進んでいく。時折廊下の左右に扉があり一つ一つ確認すると飛び散った血とレジスタンスの船員か機械生命体の死体があるだけである。
「このさ・・・」
一瞬だった。何か聞こえた気がして口に人差し指を当て彼の発言を遮った。耳を澄ますと微かに誰かの声と何かがぶつかり合う音がする。
「この先ね」
少しだけ扉を開け中を見る。中では次の部屋に続くドアにバリケードを築き数人のアンドロイドが入り口を死守していた。
「突入するわよ。扉から離れて」
彼が後ろに隠れたことを確認してパイプ爆弾を2本取り出し火をつけ手前の部屋に放り投げる。
「行くよ」
爆発を確認し素早く突入する。爆発を食らって生きていた数体が私の姿を確認し起き上がろうとしていたところを撃ち殺す。
「止まれ」
全体が動かないことを確認したと同時にバリケードの向こうから声がかかる。
「救援にしては数が少ないな」
服装的にこの人が艦長さんなのかな?
「アネモネの付き添いだからね」
「ほう。納得はするが上官を呼び捨ては感心しないな」
あ、ヤベ。
「あー・・・つい普段の呼び方が出ちゃったわ。内緒にしてくれる?」
「助けてもらった礼だ。そのくらいは構わん」
「どうも。それで状況は?」
「見ての通り最悪だ。船の殆どの場所に機械生命体共がうじゃうじゃいやがる」
「ここ以外に生存者は?」
「先ほど下の区画から助けを求める通信が入った」
「OK。じゃあ案内よろしく」
「ええ!僕ですか?」
「他に誰がやるわけ?さっさと行かないと」
「はい・・・」
コイツ状況わかってるのかしら。
「艦長、私たちが外に出たら扉にバリケードを。さすがにそろそろ救援が来るでしょ」
「分かった。頼んだぞ」
「イエッサー」
部屋を出ると扉が閉じられる。
「案内よろしく」
「うわ~」
「男でしょ。根性見せなさい」
「そもそも僕は戦闘タイプじゃないんです!」
そこからは彼の身の上話が始まった。最初は、すぐに機械生命体がつられて戦闘になって黙ると思ってたのに。おかしい。先ほどの艦長の話だともっと接敵してもいいはず。1体もいないなんて異常だ。罠にはまってるんじゃ・・・?そう伝えようとした瞬間だった。目の前の広い空間に女のアンドロイドが倒れている。なんか・・・おかしい・・・
「エイミー!!」
罠だと伝えようとした瞬間に彼が走り出してしまった。
「待って!」
止めようと腕を掴むも逆に力に負けて放り込まれる形で部屋に入ってしまった。あんな弱弱しい子がこんなに力が強いなんて・・・アンドロイド舐めてたわ。ってそんなこと考えてる暇ないんだったわ。立ち上がって部屋の中央を見ると彼が女性のアンドロイドの手当てを始めていた。
「エイミー!エイミー!」
女性のアンドロイドの名前を叫びながら。そんな彼の傍に駆け寄る。
「やってくれたわね」
「こっち抑えててください!」
ダメだ。目の前のことしか見えてない。
「ここの接続を・・・よしっ!!」
「はっ!!」
彼女が目を覚ました。
「エイミー!よかった~」
「新入りくん?」
「あ!動かないで!まだ各モジュールは治ってないんだ!」
「何やってるの!?私はいいから早く逃げなさい!」
彼女が半狂乱気味に叫ぶ。クソッタレやっぱり罠かよ。
「ほら後ろ!」
彼女が後ろを指さし、私はどこからか降ってきた機械生命体の頭をライフルで撃ち抜く。
ガンッ!!!
しかし、その瞬間入口の扉が閉まり、さらに大量の機械生命体が私たちの周囲に現れる。
「囲まれた上に閉じ込められるなんて」
「ラヴィさん!不味いですよ!」
「分かってるわよ。今考えてるから2人共黙って」
2人が静かになったので目を閉じて考えを巡らせるけど・・・正直、良い案なんて思いつく気がしないのよね。しかし、そんなことをぼやいている間にも機械生命体は接近し続けている。
「ラヴィさん!ラヴィさん!」
どうやら彼の方がこの圧に耐えられなくなってきたらしい。服の裾を引っ張らないでほしいわ。子供じゃないんだから。
「ラヴィさん!!!」
どうやら彼女の方も限界のようね。私は目を開け、一旦目の前に迫ってきていた何体かの機械生命体の頭をぶち抜いて停止させる。
「さすがですね!」
「こんなことやったって焼け石に水よ」
出た結論は最悪である。時間が惜しいのでバールを取り出し彼に手渡す。
「へ?」
「説明は後。まずは、エイミーさんを扉まで運ぶわよ」
「は、はい!」
「せーの!」
両手を掴み一気に入口まで引きずる。
「それでどうするんです?」
「私が敵を足止めするからそのバールで扉を何とかこじ開けて」
「そんな無茶です!」
叫ぶ彼を無視してエイミーさんに私が背負っているスナイパーライフルを手渡し、足元にあるだけの弾薬を。
「使える?」
「訓練で触ったことは・・・」
「大丈夫この数なら目を閉じてても当たるわよ」
「あなたはどうするの?」
「あなた達の壁になる」
「正気ですか!?」
「ええ。君が喚き散らしてる間に思考をフル回転させて考えたわよ。その結果がこれが一番マシな案よ」
「「・・・」」
「沈黙は了解したと判断するわよ」
「いや・・・やっぱ・・・」
「うるさいわね。生き残りたきゃ口を閉じてなさい」
いい加減黙らせないと事が進まないわ。銃剣を取り付け、深く2回呼吸する。
「それじゃあ、生還を祈って。Good luck」
そうして私は機械生命体の大群にあえて突っ込んでいく。先頭の奴の頭をライフルでぶち抜き、その勢いのまま後ろの奴に銃剣を差し込み、力いっぱい押す。体勢が崩れていることと、大きめの機械生命体だったことから、押し込むと後ろにいた数体も一緒に押されていく。集団の中心近くまでついたところで銃剣を引き抜き、正面、左、背後と頭を撃ち抜き倒していく。時折、ハンドガンに持ち換えたり、刃を受け流してそのままソイツの腹に突き刺す。そして、腹から抜き取り槍を持って突っ込んでくる機械生命体の顔めがけてぶん投げる。
「私はキングスマンのハリーじゃないってのによ!!Fuck!!!」
数十分後~
流石にきつくなってきた。変わらず機械生命体はぶっ壊せているし、新たな気付きとして奴らの腕って引っこ抜こうと思ったらいけるのね。それで、ぶん殴ったりしてるけど・・・さすがに疲れがたまってきた。それに殺した残骸のせいで足元が不安定になっている。致命傷や動きに問題が出るほどの傷ではないけれど攻撃を受けることもあった。
「やった!」
扉の方を見ると人一人が何とか通り抜けられる隙間がこじ開けられていた。攻撃を回避しながら2人の方へ駆け寄る。
「よし、よくやった。援護もありがとう。でも気は抜くなよ」
2人が頷く。
「これからはあなたがエイミーさんを担いで。私が後ろを抑えるわ」
「分かりました!」
新人君がエイミーさんを担ぎ背中のライフルを私が受け取ろうとした時だった。
「うしろ!!」
素早く彼と彼女を突き飛ばし、突っ込んできた奴が扉にぶつかり倒れたところを返してもらったスナイパーライフルで頭をぶち抜く。
「そんな!!」
「・・・クソッタレ」
先ほどの機械生命体が隙間に突っ込んでくれたせいで隙間の形が変わり隙間は下の方のみとなった。狭さ自体は這って進めば通れる。しかし、現状は機械生命体の残骸が穴をふさいでいる。正直、これを一人で動かすのは無理に近い。それに、振り向かずともほかの機械生命体が近づいてきていることが分かる。
「いいか。私はここで敵を食い止める。そっちは全速力で戻って増援を連れてくるんだいいな?」
「無理です。道中暗いし・・・」
私はバックから発煙筒を取り出し彼に押し付けるようにして渡す。
「これを使えば道中明るいし、もし機械生命体にあっても顔にでも投げつければ目つぶしになる。その隙に走り抜けろ。いいな?」
「でも、僕は」
「黙れ!」
「ただの」
「新人君!」
「無理だってば!雑用係が戦闘なんかするわけないんd」
「いいか!お前はもう兵士だ!!」
新人君も感情が爆発したが私も爆発した。我慢できなくなった私は隙間から手を突っ込み襟をつかみ寄せていた。
「コイツを使って突っ走って彼女を安全な場所へ運んで増援を連れてこい!敵は私が絶対ここから進ませないから!いいか!グズグズして私が死んだらお前のせいだからな!!」
「・・・行きます」
彼は後ろを振り返り、発煙筒を着火した。
「ラヴィさんご武運を!」
エイミーさんから言葉が投げかけられる。多分・・・ここで一生分の武運は使い果たすけどね。
「さあて、大変長らくお待たせいたしましたぁ!!!」
これより!キングスマンごっこ再開いたします!!
数分後から数十分後~
「ふ~~~~~~~う」
どのくらい殺したんだろう。わかんないや。床が機械生命体どもの死体で見えなくなっちゃった。場所によっては層になってるし。でも・・・そろそろ限界ね。スナイパーライフルの弾は無し。ライフルの弾も10発。体も限界。ここが死に場所かな。まぁ、私は地獄行きだろうし一緒に道を歩いてくれる連中も沢山作ったし満足かな。機械生命体でも数が揃えば見栄えはいいでしょ。たぶん。
「君が栄えある最後だ!」
銃剣を突き刺し、残った弾をぶち込み空になったマガジンで顔面に突き刺した。やりきったぞ。私は精一杯やった。あの2人は助かっただろう。でも、新人君には悪いことしちゃったなぁ。まぁ、これもよい経験となるでしょ。それにしても、こういう時って走馬灯が見えるもんじゃないの?最後の光景が突っ込んでくる機械生命体かぁ・・・職業病かしら。はぁ・・・でも最後くらい走馬灯でいいからあの子たちの顔がみたかったなぁ・・・
「死なせない」
あら?走馬灯って今から始まるのかしら?こんな感じで呑気に構えていると、私に突っ込んできていた機械生命体が横に弾き飛ばされていった。続いて映る雑に切られたショートヘア。
「あら、女神様が直接お出迎え?」
「おい、何言ってるんだ?私は不器用だから戦いながらジョークに付き合うなんてできないぞ」
「・・・助かったわ。ありがとう」
背中に触れる懐かしい感触。この感触だけで足掻いてよかったと思える。
「ああ。さあ、死にたくなくなっただろ?やるぞ」
「なんだかんだ付き合ってくれてるじゃない。で・・・弾は?」
「・・・?私が銃を使ってるように見えるか?」
「Ok。75点ってとこね」
「おい!勝手に点数つけて残念がるな。そもそもなんの点数だ!」
「秘密^^」
「まあいい。さっさと片づけるぞ」
「ええ」
運を使い果たして引いた大当たり。さあさあ我らが可憐かつ最強の女神の前にひれ伏すがよい。
15分後~
「大丈夫だ。こっちも全員死んでる」
「お~い!ラヴィーー!!」
「ラヴィさーん!!」
すべてが片付いて床の踏み場がなくなった時、アネモネと新人君を先頭に船長たちとピンク姉妹、レジスタンスキャンプのアンドロイド、最後に2Bたちヨルハ組がやってきた。
「「よかったーーーー!!!!」」
ピンク姉妹に至っては目があった瞬間突っ込んできて泣き始めた。
「2人とも落ち着いて!ね?背中固いから腰やっちゃうから!!」
結局2人は11Bと16Dに引きはがされた。ちょっと雑じゃない?
「新人君。ありがとう。カッコいいわよ」
「いやー実は・・・」
新人君説明中~
「A2・・・」
「コイツがちんたらしてるのが悪い」
結論から言うと、新人君が船長室でエイミーさんを背負って戻るとヨルハとアンドロイドがいたらしい。そして、私が戦っていることを聞いた瞬間A2が船長室を飛び出していったらしい。
「減点65点」
「だからなんだその点数!」
「秘密^^」
「それでジャッカスは?」
「アイツならキャンプでエイミーを診てる」
「良かった~」
「さて、艦内の制圧は完了してる。長いする理由もない。キャンプへ戻るぞ。船長、君らはラヴィ達のヘリで移動してもらう。付いてきてくれ」
「了解した」
どうやら、この艦は沖合で停泊させておくらしい。流石にこの状態じゃ一晩も過ごせないだろうしね。
「あっ・・・」
「ラヴィ?どうかした?」
「誰か・・・肩貸して」
「どこか痛みますか!?」
「いや・・・安心して力抜けた」
ヘリまで肩を貸してもらいヘリに乗り込み座席にもたれ掛かる。ヘリにはうちの子たちとアネモネと船員たちが乗っている。
「なあ、アネモネ殿改めて聞くがどうしてあなたがわざわざ現場に出てきたんだ?」
「・・・・・・」
「確かに。私も気になるわ。教えてよ」
「・・・・・」
「アネモネ司令官殿?」
「ラヴィ・・・貴様ぁ・・・結果として生きてるし教えてやる」
「ドンドンパフパフ~」
「茶化すな。なに、ラヴィを危険だとわかりきってる船内に突入させた上に死にました。なんてことになったら私がコイツ等にぶっ殺されると思ってな。実際、伝えたときの殺気すごかったしな。この中の一部が一応私の部下であることに感謝したよ」
それぞれの顔を見ようとしたけど全員目を逸らしちゃった。
「まあ私生きてるし殺されないわよ。それじゃあ悪いけど拠点についたら起こして」
そうして私は目を閉じるのだった。
まずは謝罪させていただきます。
1年以上投稿中断申し訳ございませんでした。中の人の受験は終了し、無事大学生をしております。現在まで執筆は続けておりましたが、数度のスランプと展開修正のためここまで時間がかかりました。改めて謝罪させていただきます。
また、展開的に次話にて最終回となるため、前話のサブタイトルを編集させていただきました。
次回は、日常回の予定ですので今回以上お待たせすることはないと思います。
誤字脱字解釈不一致あれば申し付けください。今回も読んで頂きありがとうございます。