「栗毛」のアーモンドアイ   作:栗東寮の玄関のガラスになりたい

5 / 6
サブタイ数字の後の空白ちょいちょいズレるのがいらつくので初投稿です。


5. I fought the Law

 異世界の名前を受け継ぎ生まれてくるウマ娘。

 勝てるかどうかは名前によって決まるともいわれている。

 勝てない側に生まれた私は、法則にケンカを仕掛けると決めてやった。

 

 

 

 

 競走馬にも『じゃないほう芸人』がいる。

 かのディープインパクトも、『ウインドなんちゃらの2002』たる、

 牡の鹿毛が出るまでに同名が多数いたらしい。

 多数いたのに話題にも上がらない辺り、そういうことなのだろう。

 

 競バに限らず、競い争う世界では勝つものと負けるものがある。

 勝つものが勝ち続ければ、必然負けるものは負け続ける。

 

 善戦するライバルとして負けたならば、まだ救いがある。

 

 未勝利で数度着外を繰り返せば、もはや誰も期待しなくなる。

 勝てずともメシは食うし、生かすには金が掛かるのだ。

 俺の聞きかじった競馬界では、時に勝利を挙げた馬すら『サクラ』にされた。

 

 この奇妙な異世界では、きっとそんなことにはなるまいが、

 せいぜいブラック勤めより多少マシな住処を見つけるのがやっとだろう。

 

 これが俺一人だけの問題なら、適当に頑張って適当に終わることも考えた。

 

 憐れにも、我がトレーナーは私が勝てない側だと知らない。

 新人としての重要な、取り返しのつかない貴重なリソースを、

 ドブにぶちまけている。

 

 わずかな矜持が、それを許さない。

 

 重賞がどうとかそんなことは、もういい。

 とにかく何が何でも勝つ。

 彼女のキャリアを、キズモノにはしない。

 

 

 

 

 戦うには武器が要る。

 傑物どもは、それぞれが輝く得物をみせつけている。

 

 果たして俺には何があるだろうか。

 この中央では誰にも通じない末脚(ナマクラ)の外には、

 しみったれたド根性、曖昧な前世の記憶。

 そして己が『勝てない側』だと知っていることだろうか。

 

 私の武器は、たかが知れている。

 不意打ちの抜刀でしか役に立つまい。

 いざという時抜けるよう、磨くことを怠りはしない。

 

 さて、ブラック勤めで嫌でも修得せざるを得なかった方法論の時間だ。

 『勝てない』を覆す、妥当な手段を導き出そう。

 

 本戦、すなわち走って勝負を決める事のみで勝つことは難しい。

 

 情報戦、これは俺が私になった初日から仕掛けている。

 (一部奇行種を除いて)皆善良である事と、多寡はあれど皆スピード狂である事が分かった。

 今更そんな情報が何だというのか。

 

 盤外戦、本戦以外で足を引っ張る戦い方だが、効き目は薄かろう。

 レース前に疲労の溜る頼み事をするなど、こすからいやり口が考えられるが、

 常識的には、頼んだ自身も同等以上の仕事をする羽目になるので、意味がない。

 馬場の外に弱みを見出すにしても、弱点らしい弱点が見つからない。

 家族のために走っているだとか、心温まるエピソードには事欠かないのだが。

 

 心理戦、すなわち馬場にてレースを作り、勝てる素地を作り出す戦法。

 逃げか追込の、極端な形をもってこれを行う。

 結果、先行差しはペースを乱され、仕掛ける場所を見失う。

 論外だろう。

 真っ当に戦える者が、あと一歩及ばない時に手にするモノなのだ。

 

 

 

 

 思考を巡らせ、結論に至る。

 本戦で雌雄を決する真っ向勝負が、困難ながらも現実的だ。

 

 どうすれば勝負になるか。

 

 叶わぬ大業物一振りへ手を伸ばすより、砥いだ無銘を幾つも持つほうが良い。

 どこぞの剣豪将軍も最期は畳に負けたのだ。

 

 トレーナーの指針通りに私の基礎を鍛え、俺は俺で盗める技を盗む。

 二面性を悟られなければ、盗んだ事を曝け出す恐れもない。

 

 

 

 

 考えるうちに、仄昏い意識が頭を(もた)げる。

 殺意だ。

 理不尽に敗北を背負わされる事に対しての悪意。

 きっとこれは、持ち得る中で最も醜悪な武器なのだろう。

 輪廻をすっ飛ばして2回目の一切皆苦へ堕とされた、

 そう認識した俺だけの、穢れた刃。

 

 物は試しとばかりに、路傍の猫へ殺気を飛ばす。

 泡を食ったように茂みへ消えていった。

 

 先日の無茶なレースの末に言い渡された休日は、思いの外有意義に終わる。

 煩わしい夕陽に背を焼かれながら、何処までも歪な感情を新たにする。

 

 

 

 

 勝てばよかろうなのだ。




アーモンドアイ(栗毛)

適正
芝 ダ 
C C
短 マ 中 長
C C G G
逃 先 差 追
C G C C

初期ステータス
☆1
速 ス パ 根 賢
G G G G G
38 38 38 54 54
☆5
速 ス パ  根  賢
G G G  E   F
54 54 54 238 138

成長率
速 ス パ 根 賢
0 0 0 30 0

固有スキル

☆1~3 無し

☆4   魂は東の君やまもらむ
     レース中盤に最後尾の時、この世全てへの悪意を放ち、
     他のウマ娘が動揺する。

☆5   あすはかばねの上に照かと
     レース中盤に最後尾の時、この世全てへの殺意を放ち、
     他のウマ娘が動揺し、掛かる。

初期スキル
末脚

覚醒スキル
逃げ焦り
先行焦り
差し焦り
トリック(後)

育成目標

ジュニア
1 9回出走し、未勝利におわる。
2 1回勝利する。
クラシック
3 10回出走する。
4 重賞で1回勝利する。
シニア
5 10回出走する。
6 重賞で1回勝利する。

デバフ役として活躍しそう(小並感)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。