女性の部位のどこが好きかと問われるとオレは即座に、脊髄反射で答えようおっぱいが好きだと。おっぱい好きと言っても世の中にはたくさんいるが俺は大きいのが好きだ。キリンさんよりも象さんの方が好きな理論だ。ごめん自分で言っててよくわからなくなってきた。とにかく俺がいいたいのは。
──大きなおっぱいは素晴らしいぞルークってことだ。誰だルーク。そんな暗黒面もとい巨乳面に堕とされて久しい俺ではあるが、最近は素晴らしいおっぱい、もとい
「……ひとつだけさ、文句言っていい?」
「どうぞ」
「なんで私にその話するの!」
「俺のフェチズムを知ってるのが親友のお前だけだから」
「親友! えへへ……じゃなくって!」
何を怒ることがあるマイベストフレンド。確かにキミは女性だけど気にする必要はない。だって俺、お前に欲情しようがないし。そもそもまな板に欲情するような性癖拗らせた男でもないしな!
「ヘンタイ! ヒトの胸見ながらそんなことまっすぐ言わないでよ!」
「俺は山があるほうが好きだな、人生もおっぱいも」
「わた、私だって……こう、瑠唯さんみたいに……」
「そこで八潮嬢と自分を比べるの……悲しくね?」
うるさいなぁとまた怒られてしまう。そんな自分のスタイルにコンプレックスのある幼馴染であり親友でもある二葉つくしだけれど、現実は見た方がいいと思う。だってちょいちょい小学生に間違われるし下手するとこうやって一緒に出掛けると俺が変な目で見られかねないし。俺ロリコンじゃないんだけど、ロリ巨乳は好きだよ。
「いやでも、こう見えて俺はお前に感謝してるんだよ」
「そっ、そう……?」
「だって、最近はいっつも考えるんだよ。ウチの知り合いと瑠唯さん、どっちのがでかいのか……ってな」
知り合い、ゲーム仲間の知り合いに好みドンピシャのおっぱいさんがいらっしゃるんですけど、八潮嬢の八潮っぱい様を初めて見た時、どうして五体投地しなかったのかと疑問に思うレベルだもん。あとはましろちゃんなぁ、あの幼さでサイズ通りの服着るとヘソチラしかねないのマジでヤバいんだよな。
「……なんでそんなこと知ってるの?」
「え、だって俺結構ましろちゃんとデートしてるし」
「デッ! え、それって付き合ってて……?」
「はぁ? バカ野郎イエスおっぱいノータッチの原則を忘れたのか!」
知らないよそんなの! とすかさず返されてしまう。言ってなかったっけ。まぁいいでしょう。とりあえずこう、普段頭の中でセクハラ発言乱発の変態クソ野郎な俺なんだけどさ。ほらそれを外に出したら犯罪なわけじゃん? だからこそ普段の行動はあくまで紳士に。優しく接することが基本なのだよ。実際ましろちゃんも一緒に見に行くヒトがいないって悩んでたから荷物持ちとして手を挙げたにすぎないしな。
「なにそれ、男のヒトって……その、胸が好きなら……触りたいんじゃないの?」
「触れるならな。俺にそんな能力はない!」
「言い切るね!」
そりゃね、こちとら高校二年生になっても未だカノジョナシのサブカルボーイの童貞ッスよ。触りたいと触れるは別なんだよバーロー! 自己評価として顔は悪くない、服のセンスも悪くないって服を自作すらしてるゲーム友達からも褒められた。というか対女性のコミュニケーションを完璧に頭にたたき込んだ結果! 結果だよ!
──変態隠しすぎて俺、どうやって踏み込めばいいのかわかんなくなっちまったよ。
「……ええ~」
「ドン引くなよ親友!」
「今すっごくやめたくなったんだけど! その称号返上していいかな!」
「やだ! なく!」
「それはやめて!」
男ですら俺の性癖? というか熱いおっぱいへの愛を語ったら友達いなくなることなんてわかり切ってんだよ、そのリビドーを解放するためにはある程度慣れてリアクションがツッコミに回ってるつくししかいねぇんだよぉ。
「透子ちゃんなら、案外面白がりそうだけど」
「あの子は言いふらすからNGで」
「ああーうん、すっごく納得した」
その点つくしは口こそそんなに堅くないけど自分が言ってて恥ずかしいことだから言えないっていう完璧な布陣なんだよ。ただし桐ヶ谷嬢は別、あの子はゲラゲラ笑いながらモニカに言いふらすから。俺の癒しのおっぱい倉田ましろと神のおっぱいを持つ八潮瑠唯とのかかわりは残しておかないと死んでしまう。
「すっごい贅沢なこと言ってるよね」
「触れない分、数で満足するんだよ」
「下ネタ禁止」
「そういう意味じゃねぇよ!」
いやそういう意味で満足したことがないかと問われると俺は今すぐここから走り出して一生家から出たくなくなるけど。
──それはさておき、マジな話するとさ……それまで妄想の中でしかなかった理想のサイズのおっぱいを持った美少女が最近俺の周囲で現象として頻発していて、叫ばずにいられなかったんだよ。
「そんなに?」
「えっとな、行きつけの喫茶店のバイトの子でしょ、そこの常連さん、あとゲーム友達とかそれこそ瑠唯ちゃんましろちゃんとか」
「そっか? 確かに急に増えたね?」
「あとこの間なんかましろちゃんと一緒にバッタリあった知り合いのツインテの子とか、たまにイベントに行くアイドルバンドのドラマーの子とか」
「う、うん……ホント、飽和してるね」
「そうなんだよ!」
しかも贅沢言わなければもっと美乳美少女いっぱいいるんだよ! 頭がどうにかなりそうなんだよ! いやそもそもつくしだってそのロリっぽさがなければ美少女って括りには入るしな。
「そ、そう? ありがと……」
「まぁロリで貧乳じゃどうしても犯罪臭するけどな」
「ふん」
「いってぇ! おま、スネ蹴んなよ!」
そこで頬を膨らませて拗ねられてしまわれたので、お嬢様を宥めながらその日は解散となった。ところでさっきの支払い幾ら出せばいい? と問いかけると大丈夫だよとあっけらかんとした表情で言われてしまった。
「今のところ、パパの経営してる店だから割引してもらったんだ」
「あ……そう」
「今月のお小遣いもらったし、さっきの欲望駄々洩れの前に色々話も聞いてもらったし」
ほとんど流して相槌ばっかだった気がするんだけど、あれでいいのか。でもまぁ、つくしは頑張り屋だってのはみんな知ってるんだから、愚痴とか溜め込まずにな。溜め込むとロクでもないのは俺がその身を以て現在進行形で経験してることだしな。
「一緒にしないで?」
「デスヨネー」
「私の悩みは健全なの!」
「そうだな、俺より数百倍は健全だ」
つくしはいいね、青春の悩みだ。高校生になって、背伸びしようと頑張って……背は伸びないし胸は成長しないけど。頑張ってるんだから。俺の青春の悩みがあまりにもアレすぎて申し訳なくなってくるよ。
「私しか頼れないって言うなら、しょうがない、でしょ?」
「……あはは、頼りにしてるよ」
「やった」
こうやって頼られてること、必要とされていることに笑顔を向ける彼女を見ると一緒にいられるのは似たもの同士だからなんだろうなぁと思う。頼られたいし、誰かを頼るところを見せたくない。だから俺もつくしもこうして仲良く、それこそ付き合ってるのかと邪推されるくらいに仲は良いけど、お互いに恋愛感情にはならない。そもそもつくしも俺も恋愛的なものにアレルギーがあるからな。そこも似たもの同士ってことなんだろう。
「じゃ、また」
「おう、早く夜道が平気になれるようにな」
「うるさいなぁ」
そう軽口を交わして、俺はまたなと手を振った。しっかりものの委員長を見送っていく。反転し、俺は自宅に戻り烏の行水で済ませて、素早くパソコンを起動し、ゲームを始めることにした。
タイトル詐欺? いや次からはちゃんと出てくるから! ちっさいのじゃなくておっきいのでるから!