おっぱいはせいぎ   作:黒マメファナ

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そもそもひまりとデートの時点でお得が天元突破してるのでは? ボブは


第10話:なんてお得な荷物持ち

 電車から降りた俺とひまりはさっそくという感じでショッピングを楽しんでいく。いや楽しんでるのはひまりか。俺は連れ回されて感想言って荷物持つだけの便利な置物状態なんだけど、笑顔とおっぱいのファッションショー見れるだけ役得だろう。そういえばあとナンパ防止があったね、ガタイのいいお兄さんに声掛けられてたらどうしようとちょっとビビってる。

 

「あ、水着も選ぼうかな、去年とはまた違った雰囲気がいいし!」

「去年はどんなのだったの?」

「水玉ピンクのセパレートでかわいいやつ!」

「なるほど~」

 

 やっぱひまりの元気さとかキラキラ感を出すのはセパレート一択だよなぁ。逆に燐子さんとかイヴちゃんとか、お腹隠れてるのに妙にセクシーな感じ出してほしいと思わなくはない。特にイヴちゃんモデル体型……ってかモデルだし。

 

「いくつか試着しよっかな」

「ん? ちょっと待ってひまり」

「はいはい、なに?」

「それもファッションショーするの?」

「うん、だって外から見てもらった方が確実じゃん?」

 

 いや、じゃん? じゃないが。よく考えてほしいんだよそれ。俺男なんですけど、そんな下着同然の露出を男に見せる気なんですか? ホントはそれに追加してひまりのおっぱいが露わになるとどういう反応していいかわからなくなってショートするかもというのがある。

 

「見せる気……って、プールとか海行ったら見られちゃうじゃん」

「あ、そっか……ってそうじゃなくない?」

「いーの! 荷物持ちが文句言わなーい!」

「……へい」

 

 しまった、怒らせちゃったかなとチラリとひまりのおっぱい……じゃなくて顔を伺うけど、当の本人は全然気にしていないようにカラリとじゃあこっちこっちと女性経験ナシ系男子には下着ショップの次くらいに居心地の悪い空間に連れ込まれた。いや女性下着ショップは正直居心地が悪いというかもはや男子禁制の聖域として規定すべきだと思う。正直あそこでカノジョにどれがいいと思う? と聞かれるとかいう展開になる未来がどうしても思い浮かばないもん。

 

「どれがいいと思う?」

「あのさぁ」

「えっ、なに?」

「……いや、なんでもない」

 

 そんないい笑顔で露出的にはあんまり変わらないものを選ばされると思考がマジメになっちゃうでしょ。ちなみにひまりはやっぱりポップカラーの方が映えると思う。なんか落ち着いたシックなのよりはちょっとかわいげのあって遊び心というかこう運動的なイメージが付きまとうやつ。

 

「そ、そっかぁ」

「去年の水着はどうやって決めたの?」

「それはリサさん、えっと学校の先輩と」

「Roseliaの今井リサさんか」

「そうそう」

 

 話したことはないけど自分ガールズバンドオタクやらしてもらってる上にRoseliaは五分の三がゲーム友達なので。あこちゃんの姉ちゃんが今井リサさんの後輩でその姉ちゃんがひまりの幼馴染五人組バンド、Afterglowのドラムの宇田川巴さんだってことらしいので予想はつく。それになんかあこちゃんが去年海にどうとか~って言ってたし。

 

「そっかぁ、顔広いね大輔」

「……世間が狭いだけじゃね?」

「あはは、確かに!」

 

 ひまりと俺の知り合いの知り合い関係の話でいくとひまりのバイト先にいる知り合いで丸山彩ちゃんはパスパレのボーカルだし、花音さんはハロハピのドラムで同じく羽沢珈琲店の常連なので知り合いでしかも燐子さんと紗夜さんの学校のクラスメイトでもある。それとさっき言ってたあこちゃんの姉ちゃんでひまりの幼馴染が巴さんだし。最近で言うと有咲とイヴちゃんが知り合いってか仲良しだったってことかな。

 

「大輔の知り合いさ」

「うん」

「──おっぱい大きい子多いよね」

 

 そんな人間関係の話をしていると、鋭いというかまぁ当然そういう感想になるだろうなみたいな指摘をされた。いや俺も思ってる。多少は交友関係限定してる感はあるけど、それにしたってなにせ俺名称にビッグセブンなるものが存在するからね。

 

「やっぱそーゆーシュミだから?」

「それは……否定はできないけど、俺が集めたみたいな言い方は」

「わかってるって! 紗夜さんとかいるもんね」

 

 ちょっと、いやちょっとじゃないな大分内心焦っております。てぇへんだ状態です。ただ、ひまりは気にしてないというかちょっと冗談めいた口調で言われただけっぽいことを察知した。まじで、というかサラっと性癖バレてね? 

 

「あの、ひまり……さっきの」

「ん~? 気にしてないよ、電車でも言ったけど、大輔の視線は平気だから」

「平気って」

「おっきいの、好きなの?」

 

 そんなこと言いながらなんとひまりが寄せて上げてくるせいで自然とその胸に視線が吸い寄せられていってしまった。すごい、これが視線誘導(ミスディレクション)ってやつか。これを応用すると手品ができるってことはひまりはもしかして手品師かバスケ選手のどちらかの才能があるんじゃないだろうか。そしてそれはまさしく雄弁な沈黙と言えるだろう。

 

「そっか」

「い、いやでも……ひまりのを見てヌきたいとかじゃなくて」

「はいはい、動揺しない方がカッコいいよ~?」

 

 からかわれて、でも俺はうまく言葉が出なくて。ミスにミスを重ねて、ヌきたいとかそういう野暮な言葉をみすみす口から送りだしてしまう。二回アウト一つ自責点四で爆発炎上ノックアウト状態だ。

 

「なんか、大輔ってめんどくさ、って感じだね」

「めんどくさい……?」

「そんなんじゃ疲れちゃうでしょ! それよりも眼福! とか言っちゃったほうがよくない? 私はそっちのが断然いいと思うよ!」

 

 最後に、これも大輔限定だけどね! と笑顔で付け加えられ、俺は言葉が出なかった。そんな風にカレシでもないのにセクハラ発言を許してくれるなんて、甘すぎるだろうと言いたい気持ちでいっぱいになるのに、そんな否定すらも言葉にできない。

 

「なんで」

「なんていうんだろ、こう、私とデートしててワンチャンあるかも! とか、ここまで許してくれたんだから押せばヤれるかも! みたいな雰囲気出さないヘタレだから」

「ヘタレって」

「ほら、距離取った」

 

 ほぼ無意識だったけど、一歩踏み込まれた分俺は一歩下がっていた。それを信頼の証とするにはあまりに拙く細い糸だと思うんだけど、どうやら神様仏様ひまり様は、その細い糸のような信頼を俺の頭上に垂らしてくれるらしい。きっとここで俺が本性を出せばあっという間に切れる細い糸を。

 

「俺はそんなできた人間じゃないよ」

「できた人間はヘタレじゃないよ」

「……そういう揚げ足取り」

「いいから、水着選んでよ。じゃなきゃもうおっぱい見る度変態って叫んでやるんだから」

「そういう言い方もずるくない?」

「ずるくてもいいもーん」

 

 そうやってわがままめいた口調で、ひまりは俺に幾つかの水着を選ばせてきた。もう最後の方はヤケになって似合う、かわいい! と半ば褒め殺す形で試着して揺れるおっぱいを眼福だと脳内保存激写状態だった。開き直って、まぁそりゃそれでも誰かに向けるみたいなおっぱいトークシリーズは発揮できないけど、開き直るとなんだか少し肩の荷が軽くなった気がした。まぁその分ひまりの荷物が重くなるんだけど。

 

「とーちゃーく!」

 

 精神的にも物理的にも振り回されて、すっかり夜になった頃、俺は上原家の前にいた。そこでいくつか荷物を手渡しているとひまりはすごく、なんだかすごく意地の悪い、ニヤっとした笑顔で俺を見上げてきた。

 

「ここまで私に付き合ってくれた大輔にはご褒美を授けよう!」

「……な、なにを」

「はい、画像送信したよ!」

 

 が、画像送信!? と素っ頓狂な声を上げそうになってスマホのメッセージ通知を見ると、確かに上原ひまりさんから画像が送信されました、と履歴がついていた。え、このシチュで画像と言ったら……ご褒美の画像、も、もしかしておっぱい関連? さっきの試着を自撮りしてた、とか? そう思って恐る恐る、ひまりに開いていいか確認してタップした。すると。

 ──そこには八月のカレンダーと、ひまりの予定らしきものが詰まっていた。

 

「……え、これって?」

「この中で大輔の都合がつけば、プールデートしてしんぜよう」

「はい?」

「そしたら水着見放題だよ~? それじゃ、またね!」

 

 呆ける俺にひまりはイタズラが成功した子どものような笑顔で手を振って、家の中に入っていってしまった。水着見放題ってそんな……そんなご褒美を俺がもらってもいいものなのか? 思わぬおっぱいからのおっぱい供給に、俺はただその場に立ち尽くすことしかできなかった。

 

 

 

 




ひまりの好感度割と高めだけどこれで脈ナシなのであとはお察しかと思います。次は誰かなぁ、というか引っ張らずにましろ(withモニカ)だと思います。
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