紗夜さんと別れすっかり日も暮れた頃、いつものファミレスとは違うちょっとおしゃれな感じのレストランに俺は白金燐子さんとやってきてきた。今日の燐子さん、いつもながらゴシックな露出少なめ服装で、ちょっと暑くないのかなと心配になるけど、割と薄手っぽいのが一瞬ライトに照らされておっぱいラインを確認したから安心だった。やっぱデカすぎんだろ。
──にしてもダブルブッキングでも昼夜で完全に分けてれば案外イケるもんだな。今度からそうしようかな。
「八潮さんに……おすすめされたお店、なんですが」
「瑠唯さんが」
はい、と微笑む黒髪清楚系のおっぱいお嬢様。八潮っぱいさんがねぇ、確かに似合う。なんならもっと高層ビルとかの上の方のレストランいても違和感ない風体をしていらっしゃる。でもあのヒト濃い味のものは苦手なんだけど唯一明確に好きな食べ物が白玉ぜんざいなんだよなぁ、案外かわいくて庶民的だ。と思ったらメニューに白玉ぜんざいを発見してなるほどねぇと納得しました。レストランに白玉ぜんざいて。
「それで……今日、宗山さんを……お誘いした理由なのですが」
「あ、何かありましたか?」
そうだったそうだった。紗夜さん同様に燐子さんも話があるってことで放課後屋上的なノリでシャレオツレストランにいるんだった。いや屋上なら告白かな? ってなるけどレストランだともはや一足飛んでプロポーズでは? そんなバカみたいなツッコミをしたくなるけどいやそもそも告白じゃねぇから。
「わ、わたし……実は、宗山さんの……その目線、というか、えっと」
「あ、もういいですなんにも言わなくていいので許してくださいごめんなさい通報しないで」
デジャヴなんだよなぁ! 視線に気づいてる同盟怖すぎんか? そんな風に謝ると、燐子さんはえっ、とあせあせ左右に視線がゆらゆら風に吹かれてしまっていた。そんなゲスの極み俺に対して何を遠慮することあるんだろう。
「通報……えっ、な、なんの話ですか……?」
「ん?」
「わ、わたしは……別に、そんな……咎める、つもりじゃ……だから、えっと……」
ああ、なんか涙目になっておろおろし始めてしまった。こういう時どうすればいいんだあこちゃん、助けて闇の女王。実は燐子さんとこうやってちゃんと向かい合って二人きりでしゃべる機会って皆無なんだよね! だからこそ俺もやや緊張気味にけれど落ち着いて言葉を燐子さんの言葉を反芻し、質問していく。
「燐子さんは、俺の視線に気づいている……んですよね?」
「は、はい……」
背中に冷たい汗が流れるような感覚がした。なーにが嫌悪しているわけではなさそうで、キリッだ。こうやって口に出されてる時点でアウトだアウト。よかったね紗夜さん少なくとも燐子さんとしても俺とラブコメする気はないみたいですよ。
「で、それで? それとなくグループから抜けた方がいいです?」
「いえあの……イヤ、じゃないです……から」
え? なんだって? イヤじゃない? パードゥン? 疑問符が四連鎖のアイスストームだよ紗夜さん! 脳内紗夜さんに話しかけるとめちゃくちゃうざがられた。嫌じゃない、まぁ確かにひまりには断言されたことだけど、え、女の子っておっぱい見られたら嫌なもんじゃないの?
「む、むしろ……今日は、応援、したくて」
「おう、えん?」
「はい……っ!」
燐子さんが、がんばれがんばれってしてくれるの? それはもうおっぱい関係なくえっちだからやめた方がよくない? 一応俺おっぱいにだけ真摯なキャラ貫いてるんだけど流石にそれはえっちな気分になるよ?
──じゃなくて、そうじゃない。はい思考回路をピンク色からフラットに戻せ。えっと、応援ってどういうこと? 俺が思ってる内容だと応援って単語は少なくとも出てこない。何かが食い違ってる?
「あの……わたしが、言っちゃって、いいのか……わからない、けれど」
「はい」
「……氷川、さんも、嫌っては、ないと……思いますから」
「紗夜さん?」
ここで紗夜さんが出てくるとは……うぅんなんだ。なんなんだろう。視線、紗夜さん、燐子さんのリアクションはいっつも、そうだ燐子さん、いっつも俺がおっぱいに視線を向けて、紗夜さんに睨まれてって流れでいっつもこのヒト、にこにこ笑ってたような。
「お二人は、ちゃんと……両想い、だと思います、から」
「あー言いたいことってそういう」
「あ……はい、もしかしたら、こっそりお付き合いしてるのかな……とも思っていて、余計なお世話、だったらどうしよう……と思ってなかなか、言い出せなくて」
つまりこのおっぱいビッグセブンのトップに君臨される彼女はなんと俺と紗夜さんが両片思いもしくはお付き合いをしていて隠している状態だ、と思っていたらしい。視線、とは紗夜さんを見ていたことであって、よく目線で会話してるのが燐子さんにはロマンスに見えたらしい。ごめん、フツーに燐子さんのおっぱい見て怒られてただけです。
「ち、違うんですか……?」
「うん、紗夜さんにも俺にもその気持ちはない、ってのは確認済みですよ」
「そ、そんな……ご、ごごごごめんなさい」
そんな守備表示にしたら一度だけ戦闘で破壊されない感じの焦り方で謝られても。どうやら俺は周囲に常に誤解されて生きてる人種らしいからそろそろ慣れてきたよ。それにしてもこの二人は特に面白い誤解でなんと、紗夜さんは燐子さんと付き合う話を、燐子さんは紗夜さんと付き合う話を聞かされたのだ。目線と言葉が剣のような紗夜さんとおっぱい装甲が盾のような燐子さん、バージョン違いで差異がある的な。
「二人は、いっつもお互いに言いたいこと、いっぱい言えてて……なんだか、羨ましくって。それで、勝手に……」
「言いたいこと、言えてて……ですか」
違うよ燐子さん。俺が言いたいことを本当に言えるのはつくしだけだ。お昼にバレたばっかりの紗夜さんにだって俺の本当の言葉、本当の気持ち悪さを伝えることはできっこない。だって俺にとってはおっぱいが全てて、それ以外なんて本当にどーだっていいんだよ。
「ご、ごめんなさい……だから、プールのことで、もしかしたら……って」
「あーっと、紗夜さんはただ単純に嫌がってただけですよ」
「……そうなんですね」
「燐子さん的にも、流石に俺が近くにいるのに水着はハズいでしょ?」
「……まぁ」
でしょうね。恥ずかしがらないほうがおかしいんだよあこちゃんにひまり。いやひまりは結局俺のこと男扱いっていうか体のいいボディガード的な感じなんだろうけど。燐子さんもナンパとかには気を付けてくださいね。
「ナンパ、ですか」
「プールは露出の解放感のまま欲望丸出しで、特に燐子さんみたいな美人でおとなしそうな子は狙われやすいんですから」
「……びじん、で……は、はい」
まぁたぶん派手な見た目は派手な見た目でワンチャンビッチじゃねみたいな勢いで声掛けるんだろうけど、その点紗夜さんはナンパされても目潰しで逃げれそうだから安心してる。もしくはあこちゃん付きでロリコンがいなけりゃ退治できるでしょ。親子って言われた時の反応が気になるところではある。
「おいしかったです、教えてくださってありがとうございました」
「いえ……あの、誤解してた、こと……」
「はい、もちろん秘密にしておきますよ」
「よ、よかった……それから、また……」
「はい?」
「……二学期も、夏休みも、たくさん……遊んでくださいね」
そう笑う燐子さんは、いつものおっとりな感じはあったけれど清楚というか、なんだか小さな子どものように感じた。ゲーム仲間ですからもちろん、夏休み暇さえあればインして狩りでもなんでも付き合います。そんな意味を込めて俺は元気よく返事をして、自分の家への道を歩いて帰った。
おっぱいヒロイン図鑑
№02ビッグセブンのおっとり清楚:白金燐子
大輔が初めて出逢った神のおっぱいを持つ(のちのビッグセブン)ひとりにしてひとりめ。彼女にとって彼はゲーム友達であり、またバンド仲間でもある紗夜との関係を微笑ましく思い、また両片思いだと考え、慣れないながらもひそかに応援していた。勘違いでした。自分というのは考えておらず、そもそも男性と一対一はまだ苦手。
結論:現状脈ナシ。悲しきかな紗夜さんより好感度自体は低めなのである。憐れ。