おっぱいはせいぎ   作:黒マメファナ

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胸囲の格差社会


第2話:貧乳が悪というわけではない

 ゲームにおっぱいは関係ない。そう思うかもしれないけれどそんなことはない。まずアバターをかわいくすれば妄想や装備によってはおっぱいが大きくなる、素晴らしい! ナチュラルに女の子アバターにしがちだけどネカマまではしない。だって作り上げた女の子を妄想の中で動かすことはありでも演じるのはキツいからね!

 ──と、そんなリビドーを放出している場合ではない。インしたらまず通話アプリを開いてチャットを送信する。どうやらいつも一緒にプレイするフレンドさん方は既にボイスチャットを始めているようで挨拶をしてからマイク付きヘッドホンで会話を始める。

 

「あ、きたきた!」

「お、おつかれ……様です」

「お疲れさまー」

 

 元気な感じの明るい声と淑やかな感じの静かな声が聞こえる。女子、そう二人ともネカマじゃなくてリアル女子なんだ。住みも近く……ってかオフ会もした仲でもある。後一人いて、後の一人はコソっと独りでプレイしてることが多い印象がある。なんか本人的には自分がゲームにハマっているという現実が受け入れられないらしい。なんだそれ。

 

「今日は何時くらいまで予定?」

「……ドロップ、するまで」

「ん?」

「レアドロ、するまで……です」

 

 それってデスマでは? ドロ確率どんくらいよと訊ねると無言が返ってきた。俺らが検証班になるの? マジで? そう言うと攻略サイトに情報を送っている魔法使い、りんりんはいいですねと微笑み交じりの声で返事をされてしまった。

 

「あこたちも手伝うよ!」

「……ありがとう」

 

 おいこら、そこでしれっと俺を巻き込むなロリガール。おっとりうふふなりんりん、もとい白金燐子さんは三人なら日が昇るまでには終わりますよきっと、とか言い出した。そのタイミングでメッセージが飛んでくる。

 

『sayo:ちゃんと寝なさい』

 

 紗夜さんちっすちっす。ログインされているんならボイチャ入ればいいのにと思っていたらあこちゃんがまんま同じことを言った。今日は仲間がほしい燐子さんも加わってごねたので折れてボイチャが四人に増えた。

 

「……どうも」

「紗夜さんども」

「フン」

「氷川、さん……来てくれて、嬉しいです」

「別に、私がいれば寝る時間が早くなるのなら、それに越したことはないでしょう?」

 

 あれー俺に対する風当たり強くなーい? そんな文句の一つや二つや三つは出したくなるところだけど、紗夜さんが俺に対してトゲトゲしいのはオフ会からずっとそうどころかオフ会前のボイチャの時点で黒一点なこともあってこんな感じだから馴れちゃった。人間馴れって怖いね、罵倒しても気持ちよくはならなかったけど泣かずには済んでるんだからね。

 

「白金さん。この男にセクハラはされましたか? されたならすぐ相談してください。すぐさま警察に突き出すので」

「え、ええっと……大丈夫、ですよ?」

 

 してませーん。しませーん。燐子さんとは確かに積極的に距離詰めてってるしこの間はオススメのゲームでもしませんかって別ゲーまで誘われているんで! ただし燐子さんからは男のヒトなんだけど怖くないですって言われました、意識はされてないですね! ないていいかな! 

 

「白金さんは騙されています。この男は最低のゲス野郎ですよ!」

「そうなの?」

「違う? のかな?」

 

 そこで言い淀んでしまうのは仕方ない。紗夜さんは俺のおっぱい愛に気づいているフシがあるがあこちゃんと燐子さんは気づいてないから。紗夜さんから見たら身体(おっぱい)目当てのゲスが正体隠して友人に近づいているという、地獄だね、俺も傍から見たら紗夜さん側だよ。燐子さんの神聖なるおっぱいを汚らわしい目で見んじゃねーよゲス野郎が! 

 

「あなたは、私に何を言ったか覚えていないんですか?」

「……え、ゴメンナサイ覚えてないです」

 

 すみません宗教上の理由で貧乳さんは記憶から消滅するようにできているんです。いやそれでも失礼なことを言った覚えはない。ないはず。だって紗夜さんは確かに俺に対してアタリはキツいし俺としてもあんまり仲良くなりたくない部類の人間だったけど、それ以上に大事なゲーム友達なんで。

 

「……ゲーム友達、ですか」

「紗夜さん?」

「なんでもないです」

「……氷川、さん」

「リアルの話は忘れます。ここはゲームの世界ですから」

 

 それっきり、紗夜さんは本当にゲームの話だけをしていった。なんとか日付が変わって一時間ほどでミッション完了し、なんか解散した後、紗夜さんから個人チャットで明日時間ありますか? と送られてきた。ごめんなさい明日は燐子さんとあこちゃんとでコンセプトカフェに行くのでと断っておいて、返事を見ずにベッドに寝転んだ。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 いくら紗夜さんが超絶美人と言っても俺の性癖基準でいくとむすっとされるとマイナス10点、腕を組んで胸が協調されないマイナス200点くらいかな。ちなみに100点満点の評価だけど。そんな俺基準マイナスぶっちぎりの氷川紗夜さんですが。

 

「……なんですか」

「いや、なーんでいるのかなぁと」

「いけませんか。私だってゲームユーザーですよ」

「そうですけど」

「……二人とも、その……ケンカは……」

 

 と、そこで仲裁に立ったのは美人で表情はまだ若干緊張気味だけどきっと走るとすごいことになるだろうなぁ、いや走ったらカタチが崩れたりブラのホックが壊れたり色々問題が起きそうだからそのままで拝ませてほしい。そんな究極のプラス1000点のおっぱいを持つ白金燐子さんだった。今日もゴシックな服装を盛り上げるナイスおっぱいです本当にありがとうございました。

 

「いやいや、ケンカってわけじゃないから大丈夫ですよ」

「そ、そう……ですか?」

「はい、ね、紗夜さん?」

「空気を悪化させるつもりはありません」

「……なら、よかった、です」

 

 うーん守りたいこの笑顔。友達と友達が仲良くなってくれて嬉しいみたいな顔である。まぁほら、俺としては申し訳ないけど貧乳さんはNGなのでアレですが、燐子さんという神が宿るほどのおっぱいが拝めるならなんでもします。鉄砲玉として命を散らす覚悟もありますよ! 

 

「遅れてごめんなさい! って紗夜さん! やっぱり来てくれたんですね! あんなに興味ありませんって言ってたのに~!」

「う、宇田川さん」

「あ、あこちゃん……それは」

「あこちゃん、紗夜さんはそもそもゲーム好きだって思われるの恥ずかしいんだから」

「あっ、そうですよね!」

「そっ、そんな……はぁ、もうそれでいいです」

 

 それよりも早く行きますよと照れ交じりながらも率先するところあたり、やっぱり紗夜さんはゲーム好きなんだなぁと思う。ちょっとだけ燐子さんが残念なような、そうでもないような表情をしていた気がするけど、どうかしたのだろうか? 

 

「燐子さん、どうしました?」

「えっ? い、いえ……あの」

「はい」

「……氷川さんの、こと、どう思いますか?」

 

 どうって貧乳さん、というのは口に出すわけにはいかないので損しがちでマジメなヒトという第二印象を伝えていく。もっと楽しいって気持ちに素直になれれば、紗夜さんはもっと素敵なヒトになれる気がするよ。なんていうか、笑っていれば美人みたいな感じ。

 

「……なるほど」

「ところで燐子さんは生徒会大丈夫ですか? また外に持ちだせるもんあったら手伝いますけど」

「い、いえ……わたしは」

「──そうしてあげてください」

 

 チラっとコッチを伺いながら紗夜さんからも言われてしまう。今年から生徒会長になった白金さんだけど、雑務が多いのに全部丁寧に独りで終わらせようとするらしい。ダメですよ、みんな忙しいと思うってのはわかりますけど、燐子さんだって十分忙しい部類なんですから。そう言うとちょっと戸惑ってから、じゃあと恥ずかしそうに頼まれてしまった。いやいや、燐子さんと会う口実になるんでコッチはバッチコーイって感じですよ。

 

「よかったね、りんりん!」

「う、うん……でも」

「どうかしましたか?」

「いえ……」

「ねね、夏休みになったらあことも遊んでね!」

「もちろん」

「やり!」

 

 女子三人に男子一人というなんともまぁよくよく考えると居心地が悪いように思う組み合わせだけど、俺はこの関係、意外に居心地がよくて困っている。

 ──ところで気づいたんだけど燐子さんの神々しいおっぱいで目が限界だと思ったら紗夜さんのなだらかな川を見ると安らいで無限機関になるんだこれ。そう考えると少しだけ貧乳さんも目に収める価値を見出したとても有意義な一日だった。

 

 

 

 

 

 




でもやっぱり大きい方がすきです()
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