若宮イヴちゃんは俺にとってアイドルというより先に羽沢珈琲店のおっぱいの大きな妖精というイメージが先行する。一応ビッグセブンの中では目測によると最弱、第七位にありながらそのスラリとした長い脚、元モデルという経歴がうかがえるバランスのいいスタイル、なにより北欧系の妖しくもかわいらしいフェイスが魅力の女の子だ。
「いらっしゃいませ、ソウヤマさん! いつもありがとうございます!」
「えっと、今日は一人なんでテキトーな席に」
「ハイ! ではこちらへどうぞ」
ああかわいい。元気だしかわいいしおっぱいおっきいしいい匂いしそう。変態になってしまう。これが若宮担当オタクがヤバくなる原因なのか。そんな風に気持ち悪い顔面を晒しながら歩いていると、後ろから声が掛けられた。
「はぁ、来ないと思ったら」
「……ち、千聖ちゃん」
「ども、今日もデートっすか?」
トゲトゲしいのはおっぱいの小さな千聖さん。それをやんわりと咎めようとしてくれてるのがおっぱいの大きな花音さん。おっぱいの大きさで性格の柔らかさが変わるのかもしれない。嘘だな瑠唯さんはトゲの方が多いわ。羽沢珈琲店常連にはおなじみのてぇてぇ百合カップルだ。いやてぇてくもねぇわ。だって片っぽ俺を警戒してくるもん。そんな百合の間に入る不届きものにさせられた俺はなるべく顔を合わせようとせず会話をしていく。
「行きましょうか、花音」
「……もう、千聖ちゃん」
「でも」
「気にしすぎだってば」
なんでこんなに好みのおっぱいでない千聖さんに嫌われてるかというと、俺が一時期花音さんに声をかけまくったからだ。羽沢珈琲店の常連さんになったのは燐子さんとあこちゃんにお誘いを受けてそこでイヴちゃんに出逢ったからなんだけど。当時は燐子さん、麻弥さん、イヴちゃんに並ぶおっぱい四天王の一人だったのが花音さんなんだ。現状は飽和しすぎてスタメンからベンチ入りになってしまったものの、そんな花音さんとイヴちゃんに会いに行くために通って隙あらばおしゃべりをしていたら、小さな番犬に蛇蝎の如く嫌われてしまったのだった。
「花音に一瞬でも下心を持って近づいた輩をそう易々と許すわけないでしょう」
とまぁ簡潔に表すと千聖さんの言葉そのまんまです。その後すぐにひまりと会って、学年が上がって怒濤のように理想値オーバーを頻発されたことと千聖さんのこの態度で優先順位を下げてる。でも久しぶりに見ると柔らかそう……いかんいかん、さらに松原花音さんの恐ろしいところは甘い声とふわふわおっとり態度のせいでダイブトゥおっぱいしてバッチリカイガンしたくなるところなんだよな。イエスおっぱいノータッチの原則を心に誓った原因でもある。
「最近はイヴちゃん目当てだし」
「千聖さんはヤキモチ妬きですね」
「……気に食わない言い方ね」
知りませーん。千聖さんがどんだけ女囲ってレズ世界を作り出してるかは存じ上げませんが俺はイヴちゃんのおっぱいと接客見て癒されに来てるんです~。俺のスーパー癒しタイムを邪魔しないでくださ~い。
「ソウヤマさんはチサトさんとケンカしているのですか?」
「……ケンカってか仲良くなれないってだけ」
まぁ俺のこのおっぱいは正義ってスタンスが気に入らないヒトの方が多いでしょ、下世話だし最低だしで女の敵もいいところだ。それだったらたぶん女好きのチャラいし浮気性だけど顔と性格のいいイケメンの方が数億倍マシでしょ。そもそも顔と性格がいいんだから浮気できるほど女寄ってくるんだし。
「いけません」
仲良くなれない、知り合いと知り合いの剣呑な関係を知ったイヴちゃんは俺の席にアイスコーヒーを置きながらちょっと怒ったような顔をした。いけませんって言われてもと困った顔をするとブシの世は情けです! と言われた。なんか混ざってね?
「お二人はお二人のことを勘違いしているだけですっ! 二人ともイイヒトです!」
「え、えーっとイヴちゃん落ち着こうか」
それと俺がイイヒトかどうかは判断が分かれるところだと思う。知り合いに訊いたらほぼノーって言われる人間よ俺。ただ、イヴちゃんは俺と千聖さんという常連同士でありまた知り合い同士でもある二人が険悪ムードをかましたことが本気でイヤだったらしく、仲直りを強要された。
「イヴちゃんこの場合そういう修復の仕方はできないと思う……っていないし」
「その意見には賛成せざるを得ないわね。話し合いでなんとかなるのならとっくに一緒にお茶を飲む関係だわ、私たち」
「いやそれはないですね」
俺、千聖さんにミリもミクロンも興味ないんで。そりゃ花音さんの付属品だったのでこんにちはと爽やかに声を掛けてきた相手ではあるけど。それは花音さんいるからだし。これが紗夜さんみたいにまだちょい牙の中に優しさがあるとか、それこそ俺の変態性余すところなく知ってるつくしとかじゃない限り対面で貧乳さんと語り合うことはないよ。ロリっ子あこちゃんは別、別枠。あれにサイズとか関係ないから。
「……行くわよ花音」
「あっ、ふえぇ……えっと、えっと、それじゃあね」
「はい、また」
結局千聖さんが耐えかねて、耐えかねてというか花音さんを守るために立ち上がり羽沢珈琲店から去っていった。後味悪いなぁホント。かと言って親友をそういう目で見て、後輩であり同じアイドル仲間をそういう目で見て、なんならもうひとりのアイドル仲間までそういう目で見ている。許せる相手じゃないってのは、たぶん立場が逆でもそうだからそれに対してなんだあいつとか、俺が貶すことなんてできっこない。
「そうですか、残念です」
「ごめんイヴちゃん」
「いえ……宗山さんは、とっても優しくてイイヒトなのに、どうして」
自分にとってはイイヒトだったとしてもみんながみんなにとってそうとは限らない、って言ってもきっとイヴちゃんには通じないんだろうな。とことんまで他者の悪意なんかには疎そうな子だもんなぁ。ピュアホワイトなのはいいことなんだろうけど、こう時折困ったことになるのが現実なんだなぁと嫌な気持ちになってしまう。
「ところでイヴちゃん休憩中とはいえ俺と一緒でよかった?」
「あ、えっと……ヒマリさんに悪いでしょうか」
「ひまり?」
「ツグミさんが、あんまり近づくとヒマリさんガヤキモチを妬いてしまうかも、と。お二人はやっぱりそういう関係だったんですね」
羽沢さーん? どうしてそんな話をイヴちゃんにしちゃったんですか? マジメにやってきたからですか? あのぺったんこ、幼馴染相手なんだから付き合ってるの? とか訊いとけよ。ちゃんと否定してくれるからな!
「いや、ひまりは友達、というか恋人とかいないし」
「え、ええ? でもデートとかもされているって」
「ひまり……」
なんでそういうことばっかりはしゃべるクセに肝心なこと言わないのあいつ。匂わせ、匂わせなんですか! いや俺と匂わせてもロクなことにはならんだろ。ただ言う必要がないだけだな。おかげでこんな勘違い生まれてんだよなぁ。
「俺に付き合ってるヒトはいないよ。もし疑問ならひまりに訊ねてみて」
「は、はい!」
俺が主張してるだけだったらホラ、まだ隠してるとかそういうワケのわからん勘違いが生まれるかもしれないけど、ひまりからも俺からもあっさり否定すればきっとこの誤解もなんとかなるだろう。いやそれにしてもどんだけ誤解受けてんだ俺。やっぱ女性陣との距離見直すか? いやでもそれだとおっぱいが……ああちくしょうなんてジレンマだ。
「あ、大輔!」
「ようひまり」
「今日はイヴちゃんと? 相変わらず女癖が悪いねぇ」
「失礼な言い方するな」
そんなことを言っているとひまりがやってきて俺に絡んでくるのを、イヴちゃんは少しだけ微笑ましいような、そんなキラキラしたいつものピュアホワイトな笑みを向けてくれて、俺もまたよかったと安堵の笑顔をすることができた。いつものイヴちゃんのスマイルは格別だからな。だから、うんだからひまり、俺の女癖が悪いとかいう吹聴をするな! 待って、お願いしますから情報を捻じ曲げるのだけはやめてぇ!
おっぱいヒロイン図鑑
№04ビッグセブンのシルバーフェアリー:若宮イヴ
ブシドー! なビッグセブンの末妹(サイズ的な意味合いで)。行きつけの羽沢珈琲店で働いているほか、アイドルイベントでアイドルとしても活動している会いにいけるおっぱい。
ただし彼女にとって彼は常連さん。それ以上もそれ以下もない。
EX№01ふえぇ系常連仲間:松原花音
元おっぱい四天王で結構なおっぱいパワーを持つ迷子癖ありのおっとり子さん。ひまりとバイト先が同じという関係でちょっと仲良くなったらなんか忠犬が噛みついてくる困った状況に陥ってる。忠犬がいないと多少話す間柄。
EX№02シャイニング腹黒忠犬:白鷺千聖
ないよぉ、おっぱいない(けど毒武器というか毒は吐く)よぉ! 花音ガチ勢、てぇてくない百合(てぇてぇを見せてくれないから)。パスパレのイベントに来てることも知られているが全力で避けている。推しは推しとして見てるし推してないしおっぱいはない(二回目)
結論:若宮脈ナシ。エキストラに脈を持たせるのはない。以上