おっぱいはせいぎ   作:黒マメファナ

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――だからお前はアホなのだ!
って言ってくれる師匠いたらよかったのにね。


第26話:結局いつもの俺がやめられない

 え~? ましろちゃんの勘違いに気づいて事実を突きつけた~? シリアス展開始まった~? シリアスなにそれ俺大輔、ニブいなぁ、俺はおっぱい派だよ! 

 ──ふぅ、揺り戻し完了。ああ、ましろちゃん? さっき泣きながら外出てっちゃったよ。撃退完了。ただしフラグもブチ折りなんならたぶんビッグセブン崩壊しました。悲しいなぁ。

 

「付き合ってたんじゃないの、かぁ」

 

 勘違いのきっかけなんだったんだろ。んーわからん。俺いっつもましろちゃんと出掛けてた時は基本おっぱい! しか脳にデータ入力されてなかったからなぁ。考えても思い出せないってのが本当のことなんだろうけど。というか夕飯の席部屋割ってマ? 俺ボッチじゃん。

 

「なんなら時間ズラしてもらえばよかったな」

 

 みんなわいわいしてるところにボッチメシって寂しすぎん? 賑やかな教室の近くのトイレかよ。いや時間ズラしたとしてもボッチなのは変わりようはないから……いつもと一緒だと思えばいいか。いつもボッチだから関係なし! 悲しいね! 

 

「はぁ~……」

 

 ましろちゃんが俺の視線に気にしない素振りをしていたのも、距離が近くて触れたがっていたのも、全部全部、ましろちゃんにとって俺は特別なヒトだと思ってたから、か。そりゃそうだ、そうでなきゃ俺なんてあの子が耐えられるような性格してないんだし。切り替えて外へ繰り出すとそこでバッタリとおっぱいコンビに出逢った。

 

「あ、宗山さん!」

「香澄ちゃんに有咲も」

「お前もうそのカッコかよ」

「あはは、もうお風呂入っちゃったから」

「えー、宗山さんお部屋に露天風呂あるんですよね! いいないいな!」

 

 有咲と香澄ちゃんのコンビ、ポピパからはこの二人だからなのかそれとも別のアヤシイ関係なのかは知り得ないけど今回ずっとここ二人でいる気がする。そんなことを考えているとさらに後ろからひょっこり小柄で星型シュシュが特徴的なメガネっ子が顔を出した。

 

「ど、どうも」

「ロックさん、初めましてですね。宗山大輔って言います、あの」

「はい?」

「──ファンです」

「ふぇ!?」

 

 その子はRASのギタリスト朝日六花(ロック)さん。見た目は大人しめの女の子だがそのギターテクニックは超一流、クセのある多弦ギター、ストバグを操って背面やら寝てみたりやなんやらとパフォーマンスでも魅せてくれるクレイジーギタリスト。正直惚れた。これがラブなのかもしれないくらいには惚れた。

 

「え、ええ! そ、そそそその……あ、ありがとうございます」

「おい、うちらのロック困らせんなよ」

「ごめん」

「いえ、いえっ……嬉しいんやけど、恥ずかしくて」

「わー、宗山さん熱烈だ~」

 

 茶化されて俺もロックさんも焦ってしまう。ギター持ってない時はかわいらしいって印象の方が強いのはわかってたことだけど、なんというか顔を真っ赤にしてしまわれると申し訳なさが勝っちゃうな。おっぱいなくてよかった。ビッグセブンの有咲はもちろん、香澄ちゃんも準ビッグセブンクラスだからな。

 

「そういえば有咲」

「どうした?」

「誤解、なんとかなりそうだと思う」

「曖昧だなー」

 

 有咲に苦笑いされてしまうが、そもそも香澄ちゃんも有咲も確認してはないけどましろちゃんにカレシだって紹介されてる方なんだろう。全部勘違いだったんだって言いまわるのは大変だしきちんとした形で伝わるわけないからそこまで必死に否定はしないけどさ。でも有咲には事情を説明すべきだとしてロックちゃんや香澄ちゃんがいるとはいえことのあらましと今さっきのことを話した。

 

「そっか、ましろちゃん嬉しそうだったんだけどな~」

「嬉しそう……か、そうかも」

「紹介された時めっちゃニコニコしてたな」

 

 香澄ちゃんがそうそうとちょっとだけ寂しそうな顔で笑った。そう、そうだよな。きっと好きなヒトに想いが伝わるってのは嬉しいことで、幸せなことで。恋をするってそういう素晴らしいことが待ってると思いたくなるのが普通だ。それを俺は目の前にぶら下げて挙句奪い取った。

 

「──だからって、嫌いになってもらうのが正解なんでしょうか」

「ロックさん?」

「ああいえ、えっと……恋愛とか、したことないからあんまりわからないんですけど、好きなものってそう簡単に嫌いになることはないと思うんです」

 

 好きなものは簡単に嫌いならない。俺で言うならおっぱい……じゃなくて音楽か。いやもうここまでくるとおっぱいもなんだけど、口に出せるのが音楽だけだからね。それにみんな共通点に音楽があるし。

 

「それを勝手に嫌いに捻じ曲げてほしいって思うのは……いかんことやって思います」

「ロックすごい! 私もね、ロックの言いたいことわかるな」

「ったく、趣味とか持ってれば誰だって当てはまるっつーの」

「香澄さん……有咲さんも」

 

 ヒトでもモノでも。想いが通じないことは仕方がないことだけど、それを嫌いになってもらおうとするのは賢い選択ではない、とロックさんは締めくくった。わかる、ロックさんの言いたいこと、俺だってよくわかるけど。対象が俺だよ? 四六時中おっぱいのことばっかり考えて、デート中もほぼおっぱいガン見してるようなヤツだよ? 好きなままでいいって言うやつおる?

 

「俺のこと、好きなままでいいって、思わなくない?」

「はぁ? 倉田さんに言われたんじゃねーのかよ」

「……な、なに?」

「さっき自分で言ってたよね~ロック?」

「はい、バッチリ言ってました」

「え、なんか言った?」

「倉田さん、お前が自分のどこが好きか訊いた時になんて言ったんだっけ?」

 

()()、とましろちゃんはあの時嬉しそうに微笑みながら口にした。それが紛れもなく俺が初めて耳にしたましろちゃんからの好意の言葉だった。俺はそれを全部なんて見せたことないって突っぱねたけど。俺のそういう悪いところに気づいていて、おっぱいばっかりガン見してることに気づいていて、それでもって言ってくれたとしたら? 

 

「……いや、ないでしょ」

 

 いやいやよく考えてみてほしい。口には出さないけどさ、おっぱいだよおっぱい! 普段クソみたいに脳死でおっぱいって言いたい人間だし、お風呂とか寝る時につい独り言でおっぱいって呟くような俺がだよ? そんなダメなところも好きなの、キャハっとか言われてそうなんだって納得するわけ! いくらビッグセブンでも言っていいお世辞と悪いお世辞があると思う。

 

「ホントに、宗山さんは自分のこと嫌いだな」

「嫌いだね」

「そうなの? 私は宗山さんのこと好きだよ?」

「……フォローありがと香澄ちゃん」

 

 どうしてもな、俺は俺に対して好意的なヒトが苦手になってしまうんだよな。例外はつくしくらいなもんで。自分に自信がない、とかそういうんじゃなくてもはや自分が嫌いなんだよな。この世で一番嫌いな人間が俺で、だからこそ俺のことを好きだなんて言葉は向けられるべきじゃない、みたいな。

 

「ご飯の時、ボッチにはならねーだろ、少なくとも上原さんとか紗夜先輩とか気にかけてくれるだろうし」

「かな……そういや部屋割ってどうなってるの?」

 

 二十六ってめんどくさい数字だよね、どういう部屋割になってるんだろう。俺が知ってるのはモニカが五人部屋らしいことから最大五人部屋かな? くらいなんだけど。そう言うとバンド全員いるのはバンド単位らしい。

 

「つまり」

「さっき宗山さんが言ってたモニカさん、私たちRAS、Roseliaさん、ハロハピさんは五人ですね」

「あとはパスパレが三人部屋で私たちもひまりちゃんと三人だよ」

 

 なるほどね。バンド単位とあまりって感じか。そう雑にまとめると怒られてしまったけど、三人だから逆に一緒に食べる? と誘ってくれたのはありがたかった。ただまぁ、俺としてはまだちょっと話を聞いてほしいヒトがいるから、そっちと一緒に食べれるかチャレンジしてからにするよと言った。

 

「つまりフラれたら慰めてあげればいいってこと?」

「香澄、言い方」

「そうそう」

「おいノるなよ」

 

 冗談だけどさ。いや俺って一般的にこう見たら女癖の悪いクズなわけじゃん? なんかもう最初からクズ発言した方がいいのかもしれないと思い始めてきた。なーにがおっぱいに真摯だバカ野郎って感じでいいのかもしれない。だって結局、俺の本性なんてみんな気づくんだし。だからって流石に開幕相手にセクハラとかはしないけどさ。結局中途半端な男だからな俺は。

 

 

 




脳死領域が減ってきて執筆に時間が掛かり始めている。
おっぱいヒロイン図鑑
EX№10お転婆キラキラ流星群:戸山香澄
 あんまり関わりない。けど準ビッグセブンクラスの中でもトップクラスのおっぱいだと一目置いている。ただ距離感がフツーにバグっているためちょっと苦手、残りのポピパのうち二人(りみとたえ)とは一度会ったきりのため番外の番外。
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