おっぱいはせいぎ   作:黒マメファナ

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好きなものは好きと言える気持ち抱き締めてねぇだろお前は


第28話:俺が俺らしくあること

 ましろちゃんとのシリアスな話し合い、の前にスーパー風呂タイムがあるため一旦中止、取りやめて後で部屋に来てゆっくり話をすることになった。部屋に入れるのなんか緊張しそうだけど、俺はそんなことより休憩室のマッサージチェアにコリを解してもらっていた。

 

「あ、ソウヤマさん!」

「なんだか楽しそうっスね……」

「……桃源郷」

「トーゲンキョー? 」

「どういうことでしょうか?」

 

 もうね、疲れるようなことが多くて多くて、癒しがほしいんだよ。だからマッサージチェアに座ってるんだけど。女の子だらけの旅館にも癒しはあって然るべきでしょ。今の癒しはこのマッサージチェアと麻弥イヴの湯上り浴衣っぱいです。ありがとうございます。元祖癒し枠は流石だぜ。

 

「どうも、前半だったんですね」

「はい、前半はジブンたちパスパレとRoselia、RASでした」

「温泉、とっても気持ちよかったです♪」

 

 よかったね、俺もすごく体力回復状態です。ああビッグセブンの波状攻撃スゲー。しかも俺なんて座ってるせいでいつもより視点低いから迫るおっぱいしてる~これはいいですね。麻弥さんは確かに気持ちよかったっスけど……となにやら苦い顔、どうしたの? 

 

「いえ、チュチュさんが湊さんに突っかかってサウナ、っとこれは騒がしいで済んだのですが、パレオさんが……のぼせてしまって」

「パレオちゃんって……あれ?」

「あれっス」

 

 俺がコレに座るちょっと前にロックちゃんとレイヤさんに運ばれて何故か若干幸せそうに目を回してる黒髪ロングのぺったん……じゃなくて少女がパレオちゃん? 地毛があってウィッグって話マジだったんだ。へぇ、知らなかった。よくよく見るとレイヤさんが黒白ツートンのウィッグを手に持ってた。

 

「何があったの?」

「さ、さぁ……?」

 

 パレオちゃん、実はRASを知る前から姿を目撃はしていた。なにせあの子重度のパスパレヲタらしい。しかも箱推し。だから考えられることといえば推しアイドルと同じお風呂に入ったことだろう。特にイヴちゃんとかガチで裸の付き合いです! とか言ってハグしそう。そんなことされたらヲタは死ぬ。俺は想像しただけで鼻血が出そうだ。いかんいかん。

 

「宗山さん何か飲みます?」

「あーじゃあコーヒーで、テキトーに」

「了解です!」

 

 そう言って二人が仲睦まじく自販機に向かっていくとすれ違いで燐子さんとあこちゃんが休憩室の前を通ってきた。燐子さんはきっと挨拶そこそこでスルーするんだろうなぁと思っていたらあこちゃんが突撃してきた。

 

「あーそうさんおじさんみたい!」

「あ、あこちゃん……」

「……グッジョブあこちゃん」

「なにが?」

「知らなくていいよ」

 

 何がとは言わない、言わないけど真正面からの湯上り浴衣燐子っぱいまで拝めるなんて、今日はやっぱりいい日ってことにしとこ。そんな風に手のひらがドリルのように回転する。というか紗夜さんいなくてよかった。きっと妹に絡まれてるんだろう。いないと燐子さんとのコミュニケーションは円滑じゃないけど、そこはどうでもいい。おっぱい二つさえあればいい。浴衣おっぱい見れるだけラッキーだ。

 

「あこもやりたーい!」

「隣にあるよ」

「りんりんも!」

「え……う、うん」

 

 促されるまま燐子さんが三つあるうちの一番奥、そして俺と燐子さんの間にあこちゃんが座った。聞くところによるとマッサージチェアは痛くて苦手らしい。ああ、肩凝るって話だもんね。持つものには持つものなりの苦労がある。いい格言だね。

 

「……宗山、さん」

「はい?」

「あう……っ、えっと、っん……ひかわ、さんから……ぁん、少しだけ……っ、話は、ぁ、聴いた……んですけど、っぅん」

 

 あー紗夜さん、一応燐子さんも心配はしてましたよみたいなことは言われたけど、たぶんこのヒト俺のことが苦手なのにこうして声を掛けてくれるだけありがたいな。人間関係に恵まれてる、とは別の意味では痛感してたけど、こういう時にも感じるなんてなぁ。感動しそうだ、惜しむらくは燐子さんがマッサージチェアの震動に対してのリアクションがまんま嬌声なことだろうか。下半身に悪い。

 

「あの、このリモコンで弱くできますよ……?」

「あ、だめ──っあ、は、これ……はぁ……ふぅ……」

「り、りんりん、あこが助けてあげるから!」

「イキました?」

「だ、大丈夫……です、弱くなりました……はぁ……」

 

 顔を赤らめて息を荒げてる燐子さん。このヒト実は好感度の話を文字通り度外視したらビッグセブンいち危険な存在じゃなかろうか。ちょっとピンク色の雰囲気になってしまった俺の脳内は新たな麻弥さんのコーヒーが癒してくれた。

 

「おお……これはいいっスね……キクぅ」

「麻弥さん、感想がオッサンですよ」

「はっ……す、すみません。職業柄、腰とか肩は酷使してしまうので……フヘヘ」

 

 アイドルになってからはやっぱり柔軟とかトレーニングあるから大分減った、とはいえドラマーだもんな。同じ格好で座ってるとやっぱり身体固まるしね。にしてもこう座ってるヒトを眺めてるだけでも眼福だ。おお、ハートが震えてる。これが波紋か。

 

「あ、話ぶった切ってごめんなさい、燐子さん」

「……えっと、これから……どうする、んですか?」

「んーどうする、ですか」

 

 更に時間が経ち、あこちゃんがロックちゃんのところに行って仲良く話をし始めたため俺がおっぱい二人に挟まれて会話を続ける。何かあったんですか? という問いかけにどうしようか悩んでからこれは黙ってても意味ないだろ、と思ってそもそもなんで温泉旅行という話があったのかというところから打ち明ける。

 

「な、なるほど……」

「でも……わたしは、怖い、と思います……」

「怖いって、なにがですか?」

 

 燐子さんは俺の立場になって、何もそんな素振りはしてなかった、それどころか明確に何かきっかけがあったわけじゃない、実際にはあったとしても気づいてないのに唐突に自分のカノジョだとみんなに言いふらす相手が二人きりで迫ってくるというシチュエーションは怖いと語った。まぁあくまで俺の主観での話だから、ホントはもっと別の要因があって、客観的に見たら俺は悪魔のような所業をしてきたことにはなるんだろうけど。

 

「確かに……特にジブンや白金さんのような怖がりには、堪らなくホラーなシチュエーションっスよね」

「肯定……できることじゃない、って氷川さんの言葉も……そうなんですけど、わたしは……宗山さんの、気持ちも……わかる、から……」

「燐子さん」

 

 それは慈母の如き言葉だった。最近ちょい厳しい言葉ばっかりだったからこう、フラットな目線ではないとしても、別にそれが何か解決に繋がらないとしても、なんか心がすっきりする感じがした。ホントのところ一人じゃ、ましろちゃんに向き合う勇気なんて出なかったのかもしれないけど。背中を押してもらったような気がした。

 

「……よかったです」

「なにがですか?」

 

 名残惜しくも燐子さんとマッサージチェアにお別れを告げ、麻弥さんと部屋までの道を歩いているとポツリと麻弥さんが呟く。ましろちゃんともしお付き合いしているうえで今の関係は何だかイヤだったとか。

 

「ジブンは、同じ趣味、同好の士なんて言葉がいいなぁなんて思います。だけど、それでもジブンが宗山さんといるせいで宗山さんが軽薄なヒトって思われるのは、イヤなんです」

「俺は……いや俺はたぶん軽薄な男ですよ」

「そんな」

 

 ましろちゃんは付き合ってるつもりだったのに、麻弥さんやオフ会のみんな、瑠唯さんやつくし、ひまりといった女の子に囲まれて鼻の下伸ばしてるんだ。それは軽薄だよね。それに今だって、ましろちゃんにヒドいことを言ったのに、有咲や香澄ちゃん、ロックちゃんにひまり、リサさんや紗夜さん、あこちゃんと燐子さんに麻弥さんとイヴちゃん。ちょっとあの子を突き放してお風呂から出てくるまでにこんだけのヒトとおしゃべりをした。しかも、それがすごく楽しかったんだから。すっかりいつもの調子を取り戻した俺が、批判されないなんてことがあっていいわけがない。シリアス展開ならそういう感じの顔してろってね。

 

「でも、ジブンは」

「はい?」

「そんな軽薄な宗山さんと……仲良くなりたいって思ったんですから」

 

 そうやって恥ずかしそうに笑う麻弥さんは俺のシリアスな感じやその他諸々を吹き飛ばすほどの威力だった。はぁ、そうだった。こうなると思い出すんだけどこの子俺の推しやん、無理やだ尊い、推しが生きてるだけで尊い、推しが武道館行ったら死んでもいい。

 ──そんな推しメンに仲良くなりたい宣言というご褒美をもらって、俺はモニカの風呂上りを待つことにした。部屋で待ってればいいだろって? うるせぇ! 瑠唯さんの風呂上りっぱいが見たいんじゃ俺は! 

 




おっぱいヒロイン図鑑(裏):好感度順
№03オ、オタ仲間……フヘヘ:大和麻弥
 恋愛感情は先に自己評価が低いため後回しにしがちなアイドル。ある意味似たもの同士。趣味が合う、というのはそれまで理解のなかった彼女にとっては恋人よりも大事なものでもあるため、オタクに恋は難しいし相手からの好意も感じられないため今の距離に甘えている。

№09笑顔が素敵な常連さん:若宮イヴ
 そいつあなたのおっぱい目当てですよ、とは口が裂けてもいえないほどピュアスマイルをしてくるため覚醒にバインド耐性を持ってないからバインドされる彼自身も他のビッグセブンとは一歩引いた関係を維持している。そのため、好感度もそれなりに低め、そもそも彼女がみんな大好きというアイドル向けの性格してるから。

№10男のヒト、苦手です:白金燐子
 まさかの最下位、そもそもあこちゃんか紗夜さん、その他おしゃべりできる誰かがいないとまず顔も合わせづらい。なんなら恥ずかしい勘違いしてたこともあって余計に目も合わせづらい上におっぱいへの視線にまで気づいてるとあればヒロイン入りはほぼ無理。こうなったら捨てネコのように拾ってご主人様になるか紗夜さん経由で好感度上げしてFサイズビッチさんに押し倒されるかしか方法がない。積極的なりんりんは幻想ですよ。それが現実である。


ここでおっぱいおっぱい言わないただのつまらん男にならないのが大輔のキモいところである。
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