おっぱいはせいぎ   作:黒マメファナ

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揺れるものを見るとついそっちを見るのが男、わかります


第3話:男はそのサガに抗えない

 行きつけの喫茶店の名前は羽沢珈琲店という。コーヒーの美味しさもさることながら、店員さんが可愛らしいのが特徴だ。特に、看板娘の方ではなくバイトの北欧系美少女が素晴らしい美乳さんなのだ。身長が高くスラリとしているせいで見た目はそうでもないのがちょいマイナスなんだけど。コーヒーを頼むとフェアリースマイルで持ってきてくれるんだよ、しかもだよ。

 

「いつもありがとうございます!」

 

 ──なんて言われちゃえば、デレっとしてしまうのが悲しい男のサガってもんよ。そんなイヴちゃん、若宮イヴちゃんはアイドルでもある。ちなみに同グループで一番おっぱいの大きな大和麻弥さん推しなんですごめんなさい。

 

「あー、ボッチですか〜?」

 

 まぁ推しとかは置いといて、そんな癒しタイムを邪魔するものは一体……とチラっと目線をあげるとそこは宇宙が広がっていた。前のめりでたゆんと揺れる双丘がぶら下がって、変な声が出そうなのを必死に抑えた。前のめりはやめて、前のめりになっちゃう! 

 

「暇を持て余したから癒しタイムなんだよ」

「つまりボッチじゃん?」

「そういうひまりこそどうなんですかね?」

「私は暇だから誰かいるかなって思ってさ!」

 

 つまりボッチじゃんと突っ込むと上原ひまりはえへっと誤魔化すように笑ってきた。うーん百億万点! 森羅万象全てにおいて無敵の笑顔です。あと今日もありがたやありがたや。サイズでこそ燐子さんや瑠唯さんには劣るけれど彼女の最大の特徴は元気っ子ってところだ。何がって動きが激しいから揺れる揺れる。アクティブなおっぱいは目に毒だけど浄化される程の破壊力だと言っても過言じゃない。

 

「じゃあ相席もーらいっ!」

「暇つぶししろって?」

「もちろん! あ、私チーズケーキ食べたい!」

「……あ?」

 

 いいじゃ〜んと甘え上手なところを見せてくるひまりに思わずサイフの紐が緩くなりかける。強烈なんだよな、しかもちょっと覗き込んでくる感じだから、特に今日は胸元緩いんだけど! やばい、谷間見えてるから! 

 

「……目線」

「うわ、ごめん」

「あーあ、燐子さんとかましろちゃんに言っちゃおうかな〜」

「わかりました、脅しはやめて」

 

 ホント男の子なんだからと呆れられる。男は揺れるものに弱い習性があるんだよひまり。いやそんな開き直った言い方しないけど。チーズケーキとアイスティーという余計な出費をして、満足げな笑顔が見られたからオッケー、なのかな? ああいやひまりの場合はちょっとムカっとするな。

 

「……そういえばさ」

「ん?」

「結局さ、誰と付き合ってるの?」

 

 ──思わずコーヒー吹き出すところだった。ちょ、何言っちゃってんの? 付き合ってるって、誰とも付き合ってないからな! そもそもナイスなおっぱいはイエスおっぱいノータッチの原則がとか言ってる俺が付き合えるわけ。

 

「へぇ、誰かと付き合ってて待ち合わせなのかなーって」

「だったらひまりを向かいに置いて目線下に置いた俺って一体なんなんだよ」

「だから訊いてみた」

 

 残念なことに本当に暇人なんですわ。こうやってひまりが話しかけてくれなかったらぼーっとスマホ眺めてイヴちゃんに癒される時間を過ごす予定だったからな。その点暇人仲間アンド間近で常に癒しオーラ全開のひまりがいてくれるのはありがたいというか心のオアシス充填される。

 

「……バイトが忙しいの?」

「まぁ」

 

 そんな休む暇がない! ってほどじゃないんだけどな。だけどいつもパタパタしてるのは確かなんだよ。何せオープンしたてのスタジオだからね。予約制とはいえ土日はもう一人か二人スタッフ増やせやって思うんだ。

 

「そっかー、お友達価格とかないの?」

「社割はあるよ」

「え、じゃあ空いてる!?」

 

 今の説明聴いてました? 聴いてませんね知ってた。じゃないとそのセリフは出ないはずだからね。そういうとなーんだと前のめりから元に戻る。ごちそうさまです。それとなく脳内メモリに焼き付けましたとも。

 

「もうすぐ夏休みじゃん?」

「だね。だからどこのスタジオも全然空きがないって言うんでしょ?」

「え、大正解! なんで!?」

「ひまりはとことんまで俺の話聴いてないな?」

 

 そういうとそーだった〜と何がツボに入ったのかわからないけどケラケラと明るく笑い出した。そんな風にひまりと、ひまりの神おっぱいに癒されているとイヴちゃんがチーズケーキを持ってきながらついでにおかわりいかがですかーとやってきた。

 

「あ、じゃあもらおうかな」

「私も」

「ハイッ! それにしても、お二人はとっても仲良しです!」

「そうかな?」

「メオトですね!」

「イヴちゃん意味わかって言ってる?」

 

 とっても仲良しということですよねと言われて、ひまりが顔を真っ赤にしながらイヴちゃんに耳打ちしていく。しばらくして真の意味を理解したイヴちゃんが銀髪を揺らしながら、そうだったんですね! とちょっとだけ困ったように、苦笑いをした。

 

「……まぁ、そんなことだろうと思ったけど!」

「そんなに怒ることか? 悪気があるわけじゃないのに」

「怒ってないけど」

 

 そう言ってる語調が若干怒り気味な感じするんだけど。ところで実は愚痴りたいこととかあったんじゃなかったの? ひまりに問うとストローから口を離して、なんだったっけとか言い出した。ないならいいけど。

 

「ううん、忘れちゃった」

「そんなテキトーな」

 

 そのくらい小さなことだったとひまりは決して小さくないおっぱいを揺らして、そんなおっぱいが一瞬気にならないくらいの笑顔を咲かせた。なんか、そうスッキリしたような顔されても……まぁ本人がいいならいいか。俺としてはこの短い間だけで過剰供給気味だったし。欲張らない、拝めるだけで十分よ。

 

「さーて、食べたらかーえろ!」

「本当に何しにきたんだよ」

「言ったじゃん、暇つぶしだよ〜♪」

 

 結局そのままひまりはチーズケーキを美味しそうに頬張っ手から颯爽と、本当に一銭たりとも払うことなくいい笑顔で帰っていった。いやちょっと待てや、おかわりのお代くらい払ってけよ、と思ったけど引き留める間もなかった。

 

「ありがとうございましたっ! また来てくださいね!」

 

 ──まぁ、まぁ許してやろう! イヴちゃんの笑顔とエプロンを持ち上げるおっぱいに免じてなぁ! あとやっぱり俺の方がごちそうさまって感じだよ! なんだかんだで出費は嵩んだもののとても癒されたこともあってホクホク顔で帰ってくることができた。

 けど寝る前にメッセージにひまりからあんまり女の子の胸とか見てたら燐子さんとかましろちゃんに嫌われるからね! と余計なお世話が届けられていた。そんなの言われるまでもないけど、指摘されたからにはちょっと気をつけよう。それ以外にも前述の二人やつくしに返事をしながら中学の時との差に思わず笑いが出てしまう。

 

「うーん、ないものねだりをしたくなってしまうな」

 

 なんだか最近はおっぱいの供給よりも一緒に需要を感じる男友達の方が欲しい。ただこの現状を一度クラスの大きい方が好き派は意気投合どころか敵認定されてしまった。解せぬ、俺は自慢したいんじゃなくて鼻息を荒くする仲間が欲しいだけなんだけどなぁ。実はそれが本当の癒しを求めにきた理由だったりする。こんなくだらない愚痴というかためいきを処理するためにイヴちゃんに癒しを求めたなんて本人どころか周囲にもいえないんだけど。

 

「ん?」

 

 そんなことを考えていると、さっきおやすみと送ったはずのましろちゃんから追加の連絡が来ていた。中身を確認するとバイト終わったら会えませんかということだった。確かに明日は夕方には帰る予定だったけど、どうしたんだろう? と思ってとりあえずどうしたの? ということだけ訊ねた。

 

『透子ちゃんがここのイタリアンが美味しいよ』

『ってオススメしてくれたから』

『あとあと、カラオケも行きたいなぁって!』

『どうですか?』

『あ! でも迷惑だったら』

『別の日に』

 

 リンクと一緒に怒涛の勢いでフキダシが下へと流れていく。特に予定もないしなんなら夜中にいつものゲームメンツでレイドやる予定だったし俺はそれまでの暇つぶしも兼ねるしと考えていいよ、とだけ返した。そうすると感謝の言葉とおやすみなさいという言葉が流れてくる。ところで顔文字だろうが絵文字だろうがスタンプだろうが男子にハートマークついたやつ送ると勘違いするやついるから気をつけたほうがいいと思う。そういうのはカレシにしような、そんなくだらないことは送らないようにしてスタンプを返して俺は眠りについた。

 




次回は倉田さんだよ!
なにやら既に不穏な空気が……
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