おっぱいはせいぎ   作:黒マメファナ

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そう、シリアスにな!頼むぜぼくたちの大輔!


ましろルート:白の猛攻
第0話:プロローグはシリアスに


 俺はおっぱい大好き高校生、宗山(そうやま)大輔(だいすけ)。幼馴染でベストフレンドの二葉つくしと遊園地へ遊びに行って、別に全然黒ずくめではない女性陣が自分の兄妹を探しにいったつくしを追いかけているのを目撃した。

 尾行を見るのに夢中になっていた俺は、背後から近づいてくるもう一人の仲間に気付かなかった。まぁその後は身体が縮んで見た目は子ども、頭脳はおっぱい花畑のエロガキになることはなかったんだけど。

 

「……こっち、前話したモニカの子たち」

「く、倉田ましろです」

「ども! 桐ケ谷透子っス! やーさっきはストーカーかと思っちゃって、まぁまぁ気にしないで!」

「それ俺のセリフでは?」

「広町七深です」

「──八潮瑠唯」

 

 デカイおっぱいがドン! 四人! となった俺の衝撃はすごかった。そりゃもう目がおっぱいのカタチになったものだ。その中でうちのベストフレンドと来たら。そんなこと言ったらさすがに怒られるんだけど。

 ──そっから、一番距離が変わったのは、何回も言ったけどましろちゃんだった。最初は話しかけるたびにビクビクしてて、つくしを介して話すことがほとんどだった。だけど、会う回数が多かったこともあって一週間、二週間経つ頃には普通に話せるようになっていた。

 

「ましろちゃん、よく聞いてほしい」

「う、うん……」

 

 それから、もう三ヶ月半が経った。色んなことがあって、そのほとんどが勘違いで埋め尽くされていたこと。そのせいでましろちゃんを悲しませたこと、俺はおっぱいとかビッグセブンがどうのじゃなくて倉田ましろちゃんにその償いをしなくちゃならない。

 

「俺は……ましろちゃんのこと、恋愛的な目で見たことはない」

「……だ、よね」

「どころか、俺は出逢った時からましろちゃんのおっぱいしか見てなかった」

「おっぱ……い」

 

 それはもう劇的に顔が真っ赤に染まっていく。そりゃそうだ、急に恋愛的な目で見たことないって言われたとはいえ、一応まだましろちゃんは俺のことを好きでいてくれてる。変わらないでいてくれてるところに急におっぱいだ。そりゃ恥ずかしいし、なんなら怒られてもしょうがないと思う。

 

「えと、ね? 男のヒトだから、おっ……胸に、目線がいくのは仕方ないのかなって思ってたんだ」

「やっぱり気づいてた」

「ちょっとだけ……他の女の子の胸もよく見てるなぁとは」

 

 油断しすぎなんだよな俺って男は。でも今日、いや今は真剣な話だから。なんとしてでもシリアス展開はシリアスのまま展開していきたい。でもおっぱいは見たい。やばい煩悩が外に追い出しきれてない。

 

「ちょっと待ってましろちゃん」

「え、うん」

 

 息を大きく吸って、吐く。座禅を組まん勢いで心を鎮めていく。ここでおっぱいへの煩悩を退散させる方法はただ一つ。吐き出すことである。ああましろちゃんの湯上り浴衣おっぱい最高だなぁ! しかもこの広いとはいえ座布団に座って対面、しかもサイズが大きかったのかややはだけてる! 待ってインナーの姿が見えないんだけど……あ、なんか肩にピンクのヒモが見える気がする。このシチュエーションたまらん! 脳内カメラマンが全裸で鼻血垂らしてありがとうございます連呼しながら激写してる! ありがとうございます! 

 

「……よし、落ち着いた」

「だ、大丈夫?」

 

 大丈夫。もう大丈夫。幾分か堪能したら満足したので続きが話せます。えっとですね、とりあえず、ましろちゃんは俺のことを勘違いしてる恐れがあるのでそれをなんとかしないと。具体的に言うと幻滅するならしてくれ。自分の名誉のためにわざわざましろちゃんを傷つけるなんてクズの所業じゃなくて、俺が自分を曝け出して自爆すればいい。そのためにセクハラするんだけど、やっぱりクズじゃないか。

 

「これはつくしに言えば正直に肯定してくれると思うんだけど、俺にとってましろちゃんってどんな子なの? って問われるとおっぱいって返すほどおっぱいしか見てなかった」

「……そう、だったんだ」

「でもそれはましろちゃんだけじゃなくて、たぶんましろちゃんがここに来てるメンバーで思いつく限りのおっぱい大きいヒトみんなに思ってる」

「大輔さんは、先輩は大きい方が好きなの?」

「大好き」

 

 まさかの問いかけがきて思わず反射で答えてしまった。違うだろ大輔! このままだと大好きさんになっちゃうじゃないか! ただそれで納得はしたらしい。ひまりとか、有咲とか、麻弥さん推しな理由も羽沢珈琲店に通う理由も、俺の行動原理すべてがおっぱいに通じるからな。

 

「じゃあ……なんで、触ろうとは思わないの?」

「イエスおっぱいノータッチの精神で挑んでいたので。おっぱいは眺めるだけで心の安寧を保てますから」

「なんか、お坊さんみたいな言い方だね」

 

 なにかの宗教と言われたらそれはそうとしか言わない。おっぱい教、教祖宗山大輔みたいな。それはキモいな。でも、ここで驚くことにましろちゃんはクスクス笑いながらそっかぁと息を吐いた。そして、教えてくれてありがとうと優しい顔をしてくれた。

 

「わたしはね、先輩が優しいヒトだなぁと思って、そうしたらいつの間にか好きになってた」

「優しいって」

 

 女性から男性に言われる信用ならない言葉その一、優しいねである。そう褒めるしかないからそう褒める的な、主にアウトオブ眼中にある場合にその利点が真っ先に出てくる。そもそも狙ってる女の子に優しくない男はおそらく少女マンガの世界にしか存在しない。ん? つまり少女マンガの男になればまた別の良さを見てもらえる? ふっ、おもしれー女。

 

「おっぱいが好きなのに、わたしがイヤだなぁって思わないように頑張って、触らないように! って気をつけてくれてるところも、優しいところだよね?」

「いや、それは俺のためであって」

「わたしのためじゃなくても、優しさは優しさだよ」

 

 その優しさヤリ捨てかセフレかの違いみたいなくらいにどっちもどっち感するんだけどね。例えが輪をかけて最低だな、二度と使わないこの例え。とにかく、ましろちゃんが言いたいのは自分が最初に好きだなぁと感じた部分は、変わってないということだった。

 

「触れるなら触りたいでしょ?」

「それはもち、ろんセクハラだから黙秘します」

「そっか」

 

 またくすくすと笑われる。表情が大分柔らかくなった。なんだか変わらない雰囲気になってきたところで、ましろちゃんがんーと腕を組むせいでおっぱいが強調される。考え事はいいんだけど仕草で俺を殺そうとしてこないで。

 

「触る?」

「……え?」

「そ、そもそも……わたしホントは……今日で先輩にハジメテを、って思ってたし」

「は、え待って、待って待ってむりむりむりむり!」

 

 近づいてきた! ぎゃー、いや、いやいやいやいやちょっと待って、お願いだからちょっと待ってほしい! 思考もとっちらかり始めたせいで現状を描写できない! 頼むから落ち着け、そりゃましろちゃんにとっては三ヶ月でカレピとそろそろ進展したいなぁ的なノリだったとかマジで言ってそうな透子ちゃんにえーまだヤってないのおっくれてるーとか煽られたのかもしれへんけど! けどな? 落ち着いてほしいんよ、それはあくまで勘違いだっただけで、俺もましろちゃんもまだ付き()うてへんのよ? ゼロやん? ほなのに、なんで俺は京都弁になってますの? 

 

「そんなに……拒否らなくても、いいのに」

「貞操観念はしいっかりもってな!?」

「なんではんなりしてるの?」

「……わかんない」

 

 はんなり解除、いやぁ危なかった。ましろちゃんが急にこっち来て抱き着こうとしてくるんだもん。ヤバかった、マジでヤバかった。もうちょっとでピー音塗れの展開が巻き起こるところだった。俺の鋼のメンタルがここにきて役に立った。

 

「でも、覚えておいてほしいな」

「な、なにを?」

「わたしが、先輩を好きで、先輩になら……おっぱい触られても平気だよってこと」

「ちょ!」

「ホラ、今日の下着も先輩に褒めてほしくて、選んだんだから」

 

 お、お、おっぱ、おっぱ、ピンク! ピンクのかわいらしいブラジャーが丸見えですよましろさん!?

 そんな波乱の展開と、何かを吹っ切ったましろちゃんが俺のおっぱい脳内を自分一色で埋め尽くすために立ち上がったことで、これからの俺の生活は一変する。

 

「……なんで布団二人分敷いてあんの?」

「そもそもここわたしと先輩の二人部屋予定だし」

「聞いてない」

「言ってないもん」

「そうですね!」

「明日はデートしようね、先輩!」

 

 嫌われてない、変わってない。たったそれだけのことで真実を知ったましろちゃんは、より積極的になった様子だった。これ、待って俺が攻略されるクチなの? とにかくここから始まる物語は、ただひとつだけが確定している。

 ──倉田ましろルートは、俺がひたすら逆セクハラされるようです。助けて。

 

 




お前はなにをしている?
冒頭からふざけっぱなしじゃないか。
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