おっぱいはせいぎ   作:黒マメファナ

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最難関? なひまりだよ


ひまりルート:桃色の衝撃
第0話:プロローグ脈ナシから


 俺を大輔、とフランクに名前を呼んでくる人は家族を除けばほとんどいなくなる。基本的には宗山さんとか宗山くん。あだ名でそうさんとかそうくんくらい? 大ちゃんとか番長とか呼ばれた記憶はない。番長って言われるようなリーゼントしてないし。

 

「大輔」

「よう、どうしたのひまり」

 

 そんな俺のことを最初から大輔って呼ぶメンバーか宗山さんで止まってる人の多い中で上原ひまりだけは初期が宗山くん。そのあと呼びにくいからって大輔くんって呼ばれるようになって今ではすっかり呼び捨てが耳に馴染むという王道っぽいけど特殊な変遷を持つ人物だった。

 

「大輔こそ、どうしたのこんなところで」

「俺はましろちゃんを寝かして、どうしようかなぁって思ってるところ」

「そっか」

 

 さっきもチラリと見た浴衣姿で風呂上りですみたいな感じに髪がぺったんこになったひまりがお土産屋の前のベンチでぼーっとしてる俺に声を掛けてきた。ひまりは俺の答えにちょっとだけ悲し気な笑みを浮かべて俺の隣に座って、何故か俺に向かって頭ポンポンをしてきた。立場逆じゃね? 

 

「ほら、よく頑張りましたーてきな?」

「なんだそれ」

「だって、ちゃんとフる気になったんでしょ?」

 

 ちゃんとってなんだよと言うと、向き合う覚悟ができたって顔してたからさと笑われて、別にそうでもないと笑う。覚悟なんてできてないよ、今だってひまりの谷間凝視しちゃってたし、ましろちゃんのことも結局おっぱいとしか見れないから断ろうって思ってるくらいだしさ。

 

「大輔は、私のおっぱい好き?」

「そりゃあもう」

「ふーん」

 

 そこで即答できる程度には好きだよ。おっぱいのランク付けをしてビッグセブンなんて単語を作り出して崇める程度にはね。だけど、それは人間としてじゃなくておっぱいが好きだっただけ、いざ付き合うなんて話になるとビッグセブンがそういう対象になることはないんだから。

 

「誰かと恋したい、とかないの?」

「ないない。考えたこともないよ」

 

 付き合ってる疑惑が出るほど仲がいい子と言えば、さっき告白されたましろちゃんに幼馴染でありベストフレンドのつくし、そして隣で微笑むひまりの三人だ。だけど、ひまりはお互いにないと思ってるし、つくしは初恋同士ではあるがあくまでベストフレンド。ましろちゃんのことも、かわいい後輩ではあったけど決して、好きになってもらうほどになにかをした覚えはないんだよな。

 

「そう? 大輔って充分、女誑ししてると思うよ」

「え、例えば?」

「デートの雰囲気作りがいい」

「無意識」

 

 そうなんだと驚かれる。え、もしかして俺、無意識の領域でひまりとのデートで雰囲気づくりしてたの? そう訊ねると頷かれた。解せない。俺はただおっぱい性癖がある以上それ以外では紳士であろうとしているだけ……なのが問題なのかなるほど。

 

「雰囲気作りって具体的に、なに?」

「会話のレスポンスが上手とか、えっと服とか褒めてくれるとか、映画の時は苦手だって言ってた恋愛ものなのに感想ちゃんと言ってくれたし」

「……それだけ?」

「それだけのことができないヒト、いるもんだよ?」

 

 いるもんなのかぁ、そっかぁ。その後も出てくる出てくるひまりとのデートの行動の加点ポイントがわんさかですよ。マジで? 俺そんなモテたくてポイント稼いでたわけじゃないし。ただおっぱいに課金してただけで。

 

「大輔がそのスタンスで許されてきたのは、単にそういうフォローがちゃんとしてるからだよ」

「なるほど?」

「というか私、前に言ったし」

 

 言ったっけ? と思っていたらあれだ。ひまりに最初にバレた時のことだ。俺はバレた瞬間に土下座モードに入ってたけど、確かあの時笑い飛ばして、じゃあよし! って言ってくれたんだっけ。あれは、不快じゃないからって。エロい目じゃないから。

 

「思い出した?」

「うん、けどなんでってのは」

「あーそれ? 大輔はホントになんだろう、見れて嬉しい! で止まってるからかな」

 

 基本的に下心でおっぱい見てる時は揉みたいとか挟みたいとか、口にするのも憚られる欲望を目線で駄々洩れにしてると口にした。いや憚れよ。それに俺だってエロい妄想ぐらいはするよ、男だもん。

 

「そりゃあね、私だってすることあるし」

「……なんてリアクションしたらいいのかわかんないんだけど」

「あはは、ごめんごめん」

 

 からかって遊んでるだろお前。そういう視線を送るとその通りと笑ってくる。やっぱお前クソ、ホントお前だけはマジで許さない。いっつもそうだよな、ひまりは俺の純情を弄んでくる悪魔みたいな奴だ。小悪魔だ。

 

「ほら、今度手ブラの写メあげるから許して?」

「許した……なんて言うとでも思ったか!」

「許してるねぇ」

 

 その手に釣られる俺ではない! で、いつくれる? できれば部屋に飾って毎日感謝の土下座一万回してくるから。そのうち陽が暮れる前に終わると思う。あれ、おかしいね何の話だっけ? 問いかけると大輔が寝るとこないって話だよと言われた。ああそうだった、どうしようね。

 

「さっきこころんと日菜先輩が屋上で天体観測するって言ってたから頼めば部屋もらえるんじゃない?」

「ワンチャン訊いてみるか」

「じゃあ私が遊びに行ってあげるね」

「寝かせて?」

「今夜は寝かさないよ~」

 

 なんの冗談ですかねと笑ったけどこころさんに頼んで部屋を開けてもらったらホントにずっと部屋にいやがった。絶対許せない。なにより眠いとか言って人の布団で寝だすのがタチ悪いんだよな。クソ、手ブラ写メさえなければ許さなかったのに! 

 

「まぁまぁ、二日も私が面倒見てあげるんだから、感謝してよ?」

「ありがとう」

「ふっふっふ、もっと褒めろ褒めろ~」

「神様おっぱい様ひまり様~」

「おっぱいは余計だから」

 

 ですよね知ってた。ただ結局ひまりに頼りっぱなしな自分がちょっと嫌だなと思って俺は帰りのバスでゆっくりと言葉を選びながら隣に座るひまりにこれからのことを相談していく。具体的に変わるとはどういうことなのかと。

 

「別に、私はそういうのどーでもいいと思うけどね」

「どうでもいいか?」

「だって大輔、どうせおっぱい好きなの変えられないじゃん」

「確かに」

「即答するんだ」

 

 それは自分でもそう思っちゃうのよ。変わんねぇんだろうなってさ。ただ、その中でじゃあおっぱいありきの人間関係がいいのかっていうとよくはないんだけどさ。

 ──でもよくよく考えると、そう思うには手遅れがすぎるんだよな。

 

「まぁ、確かに?」

「でしょ」

「じゃあ、どうするの?」

「ビッグセブンから増やさない」

 

 現状控えまでは存在するから、あとは二軍を作るかどうかって話なんだよな。そういうのをやめようってことで。今ある人間関係を大切にしたい。そりゃましろちゃん始め俺の知らない三人の好きな人ってのは丁重にお断りするとしても、つくしやひまり、オフ会やその他の日常を大切にしたいよねってことだ。

 

「そっか」

「だからナイトプールとやらも付き合うよ」

「あ、それ朝とナイトプールにしていい?」

「朝も?」

「ほら、どうせ大輔のことだからナイトプールじゃあんまり水着見れないじゃん、詐欺だ! って騒ぎかねないし」

 

 そんなこと……いやありそう。めっちゃありそう。そもそも試着した自慢の水着見たくて結構アレめなデートの誘いに乗ったわけだし。朝のプールも楽しみたい。でもどうやって? そう訊ねるとじゃじゃーんと何かのメッセージを見せてきた。

 

「なに……えっと、透子ちゃん? え、二泊三日!?」

「そ、めっちゃ安くなるんでどうですかって。ベッド別で」

「そんなんアリ?」

「え、もう同じ部屋で一泊した仲じゃーん!」

 

 というわけで新幹線と電車とバスを駆使して地方にあるプールと隣接の高級ホテルに二泊三日豪華ディナーとモーニング一食付きの贅沢旅行が始まることになった。まぁ、相手はひまりだし、多少は大丈夫でしょう。なんならおっぱい見放題だぜひゃっはーな気分でいいんだよな。そうすると楽しみだって思えるから不思議だ、ひまりマジック。

 




きっかけはやっぱ劇的にならないとね!
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