おっぱいはせいぎ   作:黒マメファナ

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プール編開幕!


第3話:違和感なくカップルできてるのか

 朝から炎天下のなか、オープン前に並ぶといいことがある。それは鬱陶しい場所取りやら着替えのロッカーが空いてないだとか、色んなことを考えなくていいところだと思う。まぁ俺とひまりの場合は昼食ったら撤退するんだけど。

 

「お待たせ~」

「いや待ってな……い」

「ん? どうしたの?」

 

 でっか……いやそれよりも、ピンク色の水玉がかわいらしいセパレートの水着姿のひまりは、まぁ確かに放っておいたら正しく誘蛾灯一直線って感じの破壊力だった。ハート型のサングラスを頭に乗せてラッシュガードを着て、膨らませた浮き輪を手にした美少女がそこにいた。

 

「いや、シンプルに似合ってるなと」

「ホント? ありがと、ってかさ、スライダー乗ろうよ!」

「いきなり? 浮き輪持ってんのに……?」

「いきなりだからいいんじゃん」

「……いや、なんか同じこと考えてるやついっぱいいるっぽいよ」

 

 指を差すと既に長蛇の列、荷物を置いてダッシュしても水に入るのは何十分後なんだろうかというような列にひまりはじゃあいいやとケロっとして流れるプールを指差した。あっちってこと? それより日焼け止めは塗らないと知らんからな。

 

「でも背中届かないし」

「……俺が塗るよ」

「え~、大輔に触られるのかぁ」

「嫌ならいいけど」

「冗談、冗談」

 

 そう言ってとりあえずその辺の空いてる日陰に座ってひまりがラッシュガードを脱ぐ。なんかもう、脱ぐっていう動作だけでエロい感じするよな。実際道行く男どもがチラチラとこっち見てくる。まぁでっかいし見たくなる気持ちはすっげーよくわかるんだけどな。

 

「紐とかうっかり解かないでね、大変なことになるから」

「わかってるよ」

「ひゃん! いきなり冷たいじゃんバカ!」

 

 ぎゃーぎゃー言い合いながら、でもきっちり塗りこんでいく。腰辺りもと言われた時は流石に頭の中で般若心経を唱えるハメになったけど。あれ調べるとお釈迦様に対して挨拶、というか作法的な側面のあるお経らしいから心を鎮めるために呼ぶなって怒られそうだなって後で思った。

 

「ほら大輔、私が変なとこ流されないように操作しといてよ~」

「……はいはい」

 

 そしてやっぱりひまりはひまりである。すぐヒトのこと振り回してくる。まぁいいんだけどさ。浮き輪にお尻をすっぽり嵌めて優雅な時間をお過ごしなんだけど、いや水浸かれよ。俺なんかさっきからお前をヒトにぶつからないようにって泳がされまくってるんだけど。

 ──でもまぁ周囲を伺うとそんな感じでいちゃいちゃしてるカップルも結構いるな。

 

「わ……」

「どうしたのひまり」

「……今ちゅーしてた」

「ここで?」

「うん」

 

 どうやらひまりも別のカップルがいちゃいちゃしている現場を目撃したようだ。というかカップル多いね、やっぱこんな朝早くからと市民プールじゃないテーマパークみたいなところに来るのは男女ばっかりか。あ、今の子おっぱい大きいな。そう思って流し見していたら上からジロリとひまりに睨まれる。

 

「……大輔?」

「なに?」

「今女の子のおっぱい見てたでしょ」

「見てたね」

「それは浮気だよ大輔」

「付き合ってないのに?」

 

 付き合ってなくても浮気らしい。意味がわからないんだけど。でも見るなら私のを見ろというなんか妙に男前なことを言われてしまい思わず頷きそうになる。いやひまりのは常に見せられてるような状況だから。

 

「常にとか言わないで」

「じゃあ常に見ないから余所見する」

「屁理屈、マイナス点」

「鬼教官!」

 

 そう言うとひまりはおどけて、上官の言うことは絶対だよとか言い出してきた。パワハラしていいと思うなよ鬼! 悪魔! ひまり! でも大輔と呼ばれて上を見た時の至近距離に迫った水滴纏うおっぱいは一生の宝だと思う。

 

「にしてもちょっと出るだけでクソあちー、飲みもん買ってくる」

「あ、うん」

「すぐ戻ってくるから」

「私もコーラね」

「はいよ」

 

 どうやら奢られて申し訳ないって思うのはやめたらしい。まぁこっちも毎回それされると楽しくなくなるから。でも、なんというか俺はよく平静を保っていられるな、と自分に関心していた。なんでって、いつもよりもまったく隠れてないおっぱいを間近で見続けてるんだからな。本来なら鼻血流して医務室送りになっても仕方ないくらいだ。

 

「ねね、じゃあナイトプール俺と一緒に行こうよ」

「ずりー、俺も俺も!」

 

 ──って、ジュース買って戻ってくるだけでこれかい。ひまりが見た目も言動も明らかにウェイ系です、みたいな男性三人に囲まれていた。どうやら自分たちは近くに住んでるからナイトプール行ってそのままうち泊まらない? てきな流れらしい。よくひまりが他の人は私のおっぱいを見ると下心出してくるからって言ってて俺と何が違うんだと思ってたけどこれは違うわ。

 

「あの、私、連れと来ててちょっとジュース買いに行ってるだけだし……ホテルも取ってるし」

「え、じゃあ部屋番教えてよ、迎えに行くからさ」

 

 なるほど、そこらの男はひまりのおっぱいを見ると下半身に直結するらしい。下半身に直結ってなんだか語感がエロいな。じゃなくて、というかお前ら、実はひまりの話聞いてないだろ。それとも連れも女だと判断して5Pですか。多人数プレイは見てて好みじゃないんだよな。

 

「あ、大輔」

「ひまり、知り合い?」

「そんなわけないでしょ」

「あちゃ、連れって男か」

 

 お、くるか? こういう場合カレシがやってきたら男はどうなるのか、寝取り展開的なものになるのか。身構えてると誘ってごめんねとあっさりいなくなった。まったくとひまりも呆れ気味なだけで……あんまりピンチじゃなかった? 

 

「大体のナンパってそうだよ。それ以上強引になったら犯罪でしょ」

「それもそっか」

 

 一応ああいう手合いもほとんどは善良な一般市民だしな。というかやっぱり俺が男除けになってるかどうかは疑問になるな。結局ちょっと離れるとひまりは男に囲まれるわけだし。ショックを受けてると何言ってるの? とコーラを煽りながら言われた。

 

「大輔がいたからあんなにあっさり引いたんじゃん」

「そうなの?」

「ああいうのは独り身でプール来てる若い子はみんなナンパ待ちに見える特殊な目を持ってるだけだから」

「なにそのあこちゃん的な」

 

 特殊な目ってなんかの能力者かよ。カップル、家族連れのレジャー施設に女だけで来てると全てヤレそうに視える魔眼持ちって嫌だなその魔眼。だからあんなにすぐ離れていったのは俺のお陰だと言われる。ナイトプールもこんな感じなのか、大変だな。

 

「……傍から見たら、俺とひまりもカップルに見えるんだな、やっぱり」

「こういうところに男女で来てたらなんでもカップルだよ」

「実際は違っても?」

「そりゃそうでしょ」

 

 そう考えると、実はカップルじゃない男女はどれくらいいたのだろうと考える。道行く仲の良さそうな二人組だけど、実は……ってあれは思いっきりいちゃついてた。なんなら男側しれっと腰触ってるし。

 

「まーた、おっぱい見てるの?」

「いや、カップルに俺らとおんなじようなのいるかなって」

「見てわかったらカップルじゃなくない?」

 

 確かに。なるほどと感心しているとひまりがこっちに寄ってきて防水加工シートに入れたスマホを取り出して自撮りをし始める。それ、俺も入ってない? そう訊ねると顔は入ってないよと言われた。いや身体は入ってるんじゃん。

 

「これインスタにあげとこ」

「え……まじ?」

「大輔もピースしてよ」

「やだよ」

 

 なんだよ、今までは写真撮る時は俺が影でも入ってるとどいてと言ってたクセに。どうやらプールだとどうしても誰と来たのかという話題になるからもう予めネタばらしをしてしまおうという作戦らしい。でもピースはしないからな。

 

「ん! ありがと大輔!」

 

 後でこっそり確認したら、加工され、顔が映ってない俺とくっついてキメ顔するひまりの写真と共にコメントとしてプールデート! 照れやでポーズ取ってくれないケド、とハート乱舞の絵文字が添えられていた。なるほど、バズるためなら匂わせ炎上も辞さない構えか、あんまり褒められた手法じゃないと思うけど。実際アフグロファンからカレシへのコメントも大量に寄せられていた。残念、男除けでカレシじゃないです。

 

「さ、お昼までスライダー乗ろうよ! ほらほら早く!」

「はいはい、引っ張らないでよひまり」

 

 なんだかご機嫌になったひまりに振り回されて、そこからお腹ペコペコになるまでひまりと炎天下のプールを楽しんだ。それにしてもやっぱひまりは動く度に弾むし揺れるしで、なんというか、ヤバいですねって感じだったな。

 




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