遊びまくって昼ごはんを食べて、んでホテルに戻ってきた。なんか短いと思ってたんだけど思ったよりも身体が重い感じがする。そんなことを考えているとひまりがじゃーんとまたもや露出の多い格好で登場なされた。
「……なんで水着?」
「反応薄いよ! どうせナイトプールじゃあんまり柄とか見えなかった~って大輔が嘆くのはわかってるからここで着替えてみせたんだよ」
「なるほど」
そんな風に笑うひまりの水着は王道のビキニとは違ってオフショルなんだけど、前が、なんて言ったらいいんだろう開いてる? 紐と紐の隙間から谷間が見えるセクシーな感じになっている。下もショーツタイプなんだけど横のラインがチラ見できるのがセクシーポイントだ。要するに攻めの姿勢が見える。
「……え、どうしたのひまり」
「その反応は傷つく」
「ごめん、でも思ったより攻めててびっくりしちゃった」
ひまりはナイトプールだからね、と意味不明なことを言い出して思わず首を捻る。そこから理不尽なことに怒られ、とにかく見えにくいから思い切ってセクシーにいけるんじゃね? という感じらしいことはわかった。
「そっかぁ、セクシーかぁ」
「自分で選んだんじゃん」
「大輔と一緒に選んだやつだし」
そういえば……そんなことあったな。あれ、でもあの時選んだのとは違うやつじゃん。俺は運動的というか遊び心がみたいなこと言った気がするんだけど。そういうとひまりはナイトプールだもんとまた言ってきた。
「その後聞いたもーん」
「何を」
「大輔はどういうのが好き? ってさ」
「オフショルが結構好きです」
「ほら!」
ほら、じゃなくて。でも水着じゃなくてもオフショル好きなんだよね、肩だしがセクシーだなってなるしおっぱいなくても体型カバーでかわいい感じに纏まるし、おっぱいのでかい子が着るとそれは凶器と化す。つまり花音さんは凶器的。
「というか俺の好みで決めたの?」
「え、うん」
「なんで?」
「なんでって、大輔とプールに行くために買ったんだし」
そんなこと言われるとガラにもなくドキっとしてしまう。もしかして俺、からかわれてる? そう思うけどひまりはそっかぁ、と嬉しそうにその上に服を着始めた。それで下着を忘れるとかいう子どもみたいなミスやらかさないでよと言うとわかってるよとむっとするところもまたちょっと意識してしまう自分がいた。
「つか……やば、眠い。ちょっと寝ていい?」
「いいよ、まだ時間あるし」
遊びまくったせいか、瞼が重くなってきた。意識が徐々に眠りと覚醒を繰り返し、遠くなっていくところでなにやら音がした気がするけど、俺はそれが気になるよりも睡眠欲を優先することにした。長く水に浸かっていたせいか身体の浮遊感が少しだけ心地よくて。
「おーい、おーい大輔~」
「……んぁ、ひまり……」
「そろそろ行くよ」
ひまりに揺すられ目が覚めるとすでに陽は傾き始めていたようで、やっと起きたとあきれ顔された。どうやら結構な時間寝てたらしい。少し不満げなひまりに、欠伸をしながらもごめんと謝罪する。
「なんで」
「なんでって、すっかり熟睡して放っておいたから?」
「……なに、カレシを放置したカノジョみたいな」
似たようなもんだろと息を吐く。この状況だともはやカノジョじゃないからとか関係なくない? だって暇してるのに隣でぐーすか寝てたんだから。だからそんなイヤそうな顔をしないで、地味に傷ついてるから。
「イヤそうな顔じゃない」
「……そう?」
「うん、ほら行こうよ」
「おう」
そう言ってひまりは笑顔で俺を引っ張ってくるけど、でも昼のような元気がなくて、ちょっと心配だ。はぁ、めっちゃやらかした。俺が逆の立場だったらイヤっていうか、なんというか寂しい気持ちになる。話し相手もいない状態で、せっかくレジャーに来てるのにスマホばっかり触るのは、やっぱり退屈だし。
「じゃあ、さ」
「ん?」
「そこまで言うなら、私を楽しませてくれるんだよね? 仮カレシくん?」
「仮カレシって」
なにその語呂の悪い単語、ひまりの造語だろ。そういうといいの、と俺の腕を抱き込んでくる。下が水着なこともあって、ワイヤーみたいな硬さがなくて柔らかな感触がダイレクトに伝わってきた。
「なっ……にして」
「ほら、こんなんで動揺しないの」
「……お前、遊んでるだろ」
「退屈させた分、なんでしょ?」
こいつ、わざとしょんぼりしたフリしてたのかってほど切り替えが早いな。いや切り替えが早いのは割といつものことだけど。
──そんなひまりに連れられてナイトプールという昼間よりもますますリア充の空間となった場所へと向かう。
「なんか、こんな感じなのか……」
「私も来たのは初めてだけど」
そう言いながら、ぴったりくっついてくるひまり。なんというか、距離近くない? 俺はそんなものに耐性なんてないんだけど! そう言うとひまりは冗談めいた顔でましろちゃんとかで慣れてるでしょ? とまたさりげなく腕におっぱいを押し付けてくる。
「ちょ、ひまり……」
「いいからいいから」
「よくないよ?」
俺がめっちゃおっぱいに反応してるのにも関わらずひまりは全然気にした様子がないどころかますます寄ってくる。なんなんこの子。
とりあえずどう楽しむのかと訪ねると雰囲気を楽しむと言われて首を傾げた。フインキ。
「こういうの借りて、のんびりするんだよ」
「なるほど……ライトのついたフロートか」
貝殻型がいいとのことなのでそれを借りて二人で並んで座る。これ、なんか小さくない? そう思うけど肩がくっつくレベルなら大丈夫だよとまたスマホを取り出してカメラを向けてきた。
「自撮り好きだね」
「そりゃあね、こういうのは映えを狙うのが当然」
「ん……ちょっと待って」
「なに?」
俺はその起動されたカメラロールの中に、穏やかな顔で寝ている自分を見つける。それ、さっき昼寝したやつ? なに撮ってんの? 問い詰めようとするとさらに横にひまりの自撮りが出てきた。俺の寝顔と一緒に写ってるし。
「え、えーっとこれはぁ」
「……SNSに顔上げてないよな」
「顔はね」
「加工して顔隠しては?」
「……えっと」
お前さぁというと、いいじゃんと頬を膨らませてきた。はいはいあざといあざとい。ちなみにひまりの投稿を見て、さらに目を白黒してしまう。
──なんか、なんかカレシ扱いじゃない? これはどういうことなん?
「……そのまんまだよ」
「まんまって?」
「カレシだから」
「は?」
意味がわからないと目を白黒させていると、ひまりは今度は肩に頭を乗せてまた自撮りをした。そしてその画面をホーム画面に戻すと、なんとそこには俺との自撮り、顔が隠れてない自撮りになっていた。
──どういうこと? そう問いかけた俺の顔を見るひまりは暗がりの中でわずかな微笑みを浮かべていた。