おっぱいはせいぎ   作:黒マメファナ

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お前(の周囲の女性環境がある種)精神状態おかしいよ


第6話:そこかしこに癒しがいるせいで

 燐子さんは近くにある花咲川女子学園の生徒会長さんだ。引っ込み思案な自分を変えるために前の会長からバトンを受け取った彼女は、だけどその仕事の多さに目を回しながら頑張っている。そのせいでゲームにログインできないという愚痴をあこちゃんが俺に教えてくれたことで、学校の外に持ち出せるものはなるべく手伝いたいと提案したのが、オフ会というカタチ以外で顔を合わせることが多くなった原因だったと記憶している。

 

「あ、ありがとうございます……助かりました」

「いえ、これくらいなら」

 

 こんな風に燐子さんは毎回毎回頭を下げてくれるけど、実際生徒会の仕事で持ち出せるものなんて一割にも満たないだろう。それを少し手伝ったところで気休めか、自己満足の範囲でしかないことなんてわかってる。それを利用して、俺がおっぱいを眺めたいだけってのも、もちろん自覚してる。それに関してはバレなきゃなんでもいい。おっぱいは俺にとっての行動理念だからな!

 ──と、そこに羽沢珈琲店の扉を開けお客さんが来店する。イヴちゃんがすかさずそんな知り合いでもある彼女に反応し、まるで大型犬が如く向かっていった。

 

「アリサさん! いらっしゃいませ!」

「おわ、イ、イヴ! くっつこうとするな!」

「おひとりなんて珍しいですね! ささ、こちらの席へどうぞ」

「あー悪い、一人じゃなくて白金先輩は……って、あ……ども」

 

 瞬間で借りてきた猫状態になる金髪ロールツインテールの彼女、これまたおっぱいが大きくて、確か俺の知り合いであるビッグセブンの中で一番身長が低いんじゃなかったかな? なんかましろちゃんより低いイメージはあった。そんなビッグセブンのツンデレ枠こと、俺にはデレがない市ヶ谷有咲に手を挙げて挨拶していく。

 

「市ヶ谷さん……来てくれてありがとう、ございます……」

「いや、そんくらいはいいですけど」

「気まずいなら、俺はいなくなるよ」

「あ……えと」

 

 否定されない、悲しいなぁ。そうなんだよね、有咲、ましろに紹介されたポピパのキーボード担当なんだけど、最初は仲良くしようと思ったし割と仲良くなったんだけど、なんか一ヶ月くらい経ったら妙に風向きが怪しくなってしまって、なんとかしたいなぁと思っていることでもある。ただ、有咲そのものに拒否られたら俺は涙を流しながら退席するしかないわけで。

 

「なにしたの?」

「なんもしてねぇ」

「嘘じゃん。それであんな露骨に避けられることなくない?」

「……わかんねぇから泣いてるんだよなぁ」

 

 帰ろうかとも思ったけれど、ちょうどそこにいたひまりに慰めてもらっていた。ため息吐きながらたゆんたゆんと、じゃなくてなでなでと机に突っ伏した俺を癒してくれる。ただ言葉は攻撃してきているためひまりの顔は見れないんだけど。

 

「いやマジで心当たりないんだよなぁ」

「ん~、私がそれとなく聞いてあげよっか? そんなに普段話す子じゃないけど」

「いいの?」

「……タダじゃ、ないよ?」

 

 うーわ、うーわまたそうやってたかろうとする。この間だって紅茶とチーズケーキにおかわりまで頼んでバックレやがって! と言いたいがどうせそうやって怒るとじゃあ自分で解決すればーと捨てられることになるのでおかわりはなしだからなと釘を刺すことしかできなかった。

 

「わかってるって」

「ホントにわかってんのかよ……」

 

 なんというか、ひまりはましろちゃんのようなガチ恋距離、ではないんだけど下手すると幼馴染で俺としてはベストフレンドと呼んで過言ではないつくし並みに居心地のいい相手だと思う。ただまぁ、ほらつくしは唯一無二の要素として俺の性癖を知ってるってところがあるから? まぁ完全に比べることはできないわけだけど。

 

「つか今日はまたなんで一人なの?」

「今日はつぐんちに泊る予定なんだ~、女子会だよ~」

「つぐ……えっと羽沢さんだっけ」

「もー! ほんっと、名前覚えるの遅いんだから!」

 

 あれですね、羽沢つぐみさん。ここの看板娘、かわいいけど胸部は慎ましやか、説明以上。というわけで川が流れてるメンバーで明確に名前を把握してる女子なんて絶壁のつくしを除くと紗夜さんとあこちゃんくらいだよ。

 

「んで、お泊りだからその時間をここで潰してると」

「うん」

「つまり」

「うん」

「暇人か」

「……うん? もしかして今どっちが立場上かわかってない?」

 

 ナチュラルな脅迫はNGでお願いします。奢るって言ってるんだからその上下関係解消されてもいいはずなんですがねぇ! 結局、奢らされて羽沢さんが声を掛けたタイミングで放り出されてしまった。やっぱりあいつ全然優しくない! 一瞬でも優しい、嬉しいってなった自分を殴りたくなった。

 

「あ、あの……さ」

「有咲?」

 

 一人に戻った状態でもう帰ろうかと凹んでいると、どうやら確認が終わったらしい有咲に話しかけられた。気まずくなって以来の会話にちょっとテンションを上げながらどうしたのと問いかけると、何かを言おうか言うまいか悩みながらも、再度口からきちんと言葉を発した。

 

「上原さんと、付き合ってる?」

「へ? いや、付き合ってないけど」

「だ、だよな……悪い、でもカノジョっているよな?」

「え? い、いないんだけど……」

 

 なんでいる前提で問いかけられたの俺? いつだって俺の隣はフリーだしなんなら今なら相席までフリーなんだけど。こんな悲しいカノジョ持ちとかおる? おるわけなくないか? そう思うんだけど、どうやらその解答が有咲にとっては予想外のことだったらしく、じゃ、じゃあと質問を重ねていく。

 

「倉田さん、とか」

「ただの友達だよ」

「……どういうことだ?」

 

 いやこっちがどういうことだってばよ。俺は生まれてこのかたそういった特別な関係になった女性はおりませんが。そして現時点ほしいかと言われれば眺めてる方が好きなのでいりませぬし俺の性癖についてこれる女性がいるわけもないと諦めてるので。

 

「白金先輩と?」

「訊いてみ、爆速で否定するから」

 

 それね、前に松原さんって子に問われたことがあってその時にマジで爆速否定したんだよ。いやそんな超高速で否定しなくても、と悲しい気分になりつつも確かに事実として付き合ってないから俺からも口添えはしたけどね。

 

「なんか……もしかして複雑なのか?」

「人間関係がってこと?」

 

 有咲ちゃんに頷かれるけど、そんな複雑な人間関係してるっけ? えっと幼馴染がつくしで、つくしの友達ってことで知り合ったモニカ関連、そのモニカの中で一緒に出掛けるくらい仲のいいましろちゃんから紹介されたのがポピパ。んでゲーム仲間が燐子さん、あこちゃん紗夜さんの三人で、そのうちあこちゃんのお姉さんの幼馴染ということでひまりと知り合った。くらいじゃね? あとは近くの喫茶店のここで知り合いになったイヴちゃんくらいなんだけど。

 

「あーもう、わっかんねぇ! 悪い、変なこと聞いて」

「なんか変な噂でも流れてる……?」

「具体的には?」

「何股、とか」

「自覚はあったのか」

「なんか紗夜さんに怒られた記憶がうっすら」

 

 あの慎ましやかでけれど厳しい激流の川のようなおっぱいと精神を持つ紗夜さんから、女性関係がルーズすぎませんかと怒られたんだよ。その当時も、正直今ですら俺はあんまり納得はしてないけど、みんなから誰かと付き合ってるの? と問われまくった以上そういうことなんだろうと思い始めてる。

 

「いや、なんつーか……お前、気を付けた方がいいかもな」

「気を付けた方がって、どういうこと」

「自己評価、低すぎてもいいことなんてなんもねーってこと」

 

 有咲の言葉には確かな重みがある気がして、俺は気を付けるとゆっくり頷いた。自己評価が低い、か。でも自己評価ってどうやって上げたらいいのかなんてわかったもんじゃないし、そもそも俺は評価されるほどの人間かどうかって問題に直面しちゃうんだよなぁ。

 

「ま、知らない関係じゃねーし、私も手伝えるなら……手伝うけど」

「ん、まぁなんかあったらお願いする」

「おう」

 

 ああ、ツンデレしてくれると有咲だなぁと思う。もう敢えてやってくれるんじゃないかなみたいな安堵感だ。なにせくるくると指で縦ロールいじりながら肘を反対の手で支えるもんだから服が……浮いてた服が腕に押されて、双丘がその真の力の一旦を解放する。もうその時点で俺は吹き飛ばされかねない威力だ。なによりかわいいんだよなぁ有咲は。

 

「それじゃあ、お疲れ様です燐子さん」

「……はい、ありがとうございました」

「暇ならまた駆けつけますんで」

「いつも……ごめん、なさい」

「いや、手伝わないとむしろ俺が紗夜さんに怒られちゃいますから」

「……そう、ですよね……ふふ」

 

 最後にそんな会話をしながら俺は燐子さんをおうちまで無事送り届けてミッションを完遂した。さてさて、明日は早起きしなきゃならないからな。なにせ明日はパスパレのイベントの日だから! ビッグセブン最後の一人は、そのグループの俺の推しだからな! 

 

 




というわけで次回、最後のおっぱいが登場します。
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