司波(達也)咲耶のオラリオ『さすおに』物語—— 作:仁611
アイズに拉致された俺と気絶した神ロキは、神へファイストスがこの時間居るだろう店舗の方に向かい、周囲から受けるアイズと言うビックネームの人物とロキを誘拐してる犯罪者の気分だったが、どうにか気配を極力消して歩く事で上級冒険者以外には気付く者は居ない様子で少しはダメージを減らせただろう。
店舗に着くと椿が偶然武具の納品に来ていた様で、見つかった状況が故に「駆け落ちか?」などと揶揄われはしたが、どうにか神へファイストスへと椿の口利きで話を通した。
「これはどう言う事なの?」
「ウチに聞かんとって!アイズたんにいきなり拉致されたんやで?」
俺が椿に説明した事の顛末を、この場にいる2柱にも全て説明することになった。その結果は説明する必要が無いが、椿とロキは腹を抱えて笑い、へファイストスは額に手を当て溜息を吐く姿にアイズは頬を膨らませて『私不機嫌です』と訴えてる。
結局だが、へファイストスの機転の利いた提案を呑んで貰う事でアイズとの模擬戦は許可される事になった。他派閥と言う括りがあるが、俺を擁護する程度はする事が決まり、友好関係と口上の上で俺を擁護する事になった。当時神ロキは俺がへファイストスファミリアの中でも特殊な存在だと薄々気付いているが、へファイストスファミリアと仲違いするデメリットよりメリットを優先した。
模擬戦場所は、へファイストスファミリアホームにある修練場を使う事と、ロキファミリア最古参の3名のみなら観戦を許し回復薬は全てロキファミリア負担と決まった瞬間、神ロキの指示の元アイズは回復薬と幹部3名へと声を掛けに一時【黄昏の館】へと帰って行った。
神ロキのみこの場に残ると、へファイストスへと俺の何がそんなに護らないといけないのかを聞いてきた。
「んで〜サクヤはんのどこがそんな秘密なん?」
「そこ聞くのを諦めたんじゃ無かったのね——まあ咲耶はかなり特殊なのは認めるわ。けれど彼の秘密は簡単に教えて良いものでは無いのよね」
「ちょっとだけええやん?ちょこっとだけ…」
「駄目に決まってるじゃない!どうしてもと言うなら、彼に直接聞きなさい」
神へファイストスが俺に振るのには訳がある、この1週間で俺の思考力や頭の回転の速さを知り、ロキファミリアの団長フィン・ディムナの前で交渉させても安心ねと言わしめた程だ。当然であるが、神へファイストスがそう言う結論に至ったのは、神ヘルメスが武器の購入時にあの神ヘルメスを脅し——交渉で言い負かせた事から株が急上昇し始めた。
それ以外にも神ヘスティアのヤル気を出させ追放——独り立ちを決意させたり、ヴェルフ・クロッゾの周囲から受けるやっかみを「自分のポリシーを曲げた鍛冶を、強要された上で先輩方はその申し出を簡単に受け入れますか?」と言いやっかみを半減させた事が大きいだろうな。
「サクヤはん〜どうなん?ウチにも教えてぇや」
「それでは神ロキがこの事を口外せず、尚且つ口外した場合天界送還と全ての財を譲渡することを誓えますか?」
「!?自分むっちゃ怖い子やなぁ〜そないせえへんと教えられん内容やって事やんな?」
「ええ、そこは否定しませんし縁を大切にする事でロキファミリアに将来的に徳になるかも知れませんね」
神ロキが唸りながらこの問題が起こす損得勘定を始め、神の言動や些細な
「…分かったで!約束したる、その代わりフィンだけは教えたらあかん?勿論フィンが口外したらさっきの条件は守ったる」
「……良いでしょう——それで手を打ちますが可能な限り個神として神ロキに協力してもらいます。当然拒否権はありますが、ロキファミリアの不利益にならない限り受けて下さい」
「そう言う事ならウチは構わんで」
それから少し情報を限定したが、俺の特殊な出生と違う理論を基に生まれた魔法の事を話した。そこで神ロキは副団長のリヴェリアと魔法について話し合ったらどうだと提案して来たが、理論が違う魔法を話すには俺の秘密をある程度開示しなくてはならない…。
本当はそこも予想はしていたし、ロキファミリアとしては摩訶不思議の魔法を理論として確立した俺の知識が、喉から手が出る程欲しいのは簡単に予想出来た。神ロキの背後から見える神へファイストスはそうやって罠を仕掛ける俺の手口を薄々感じ、額に手を当て聞こえない溜息を吐き捨てた。
「魔法の理論は間違いなく大きな『力』ですよね?何を神ロキは差し出してくれるんですか?」
「うがぁ〜へファたん〜なんなんこの子?知略や策略に長け過ぎやからな!明らかに分かっとってリヴェリアの事を出しとるやん」
「まあ、ヘルメスを平気で脅す子だから仕方無いわね」
「はぁ?ヘルメスの阿呆を脅したん!あれでもアイツは猪口才な奴やで…その上搦め手が得意な
「所々悪口が混ざってるわね——彼、貴女にも引けを取らない思考力と頭の回転なのよ…貴女のとこの団長でも渡り合えると思うわ」
「ぐわ〜しゃあなしや!リヴェリアの知識全てとリヴェリアへの貸し1つでどうや?」
「……平気で副団長の人権無視ですね——それでもはっきり言って安いですが、リヴェリアさんが了承した上神ロキにも貸し一つなら手を打ちますよ?」
「グギギギッ——ウチはさて置きリヴェリアは絶対に食い付くで!ウチはさて置き…」
「リヴェリアさんは副団長ですし、
「分かった!そこまで言うんなら、フィンのも一緒に付けてウチを含めた3人分の貸しや!?これで文句無いやろ」
「ではリヴェリアさんの知識と、団長さん副団長さんに神ロキへの貸し一つと、今後50年は団員数半分以上の購入をへファイストスファミリアで専売としてもらいます」
俺の言葉をトドメに、神ロキは机に額を打ち付けてうなっているがへファイストスはクスクスとその様子を眺めていた。単に3名の貸しですら安いと言っている事に他ならないからへファイストスも笑っているのだ。
そうこうしていると、アイズがロキファミリアの団長フィン・ディムナと副団長リヴェリア・リヨス・アールヴを連れて戻って来た。どうやらもう一人の最古参ガレス・ランドロックは、椿の所へ武器の整備依頼を店内でしてるらしいが、結局最古参全員が俺と言う存在に興味があるらしく、アイズの摩訶不思議言語であっても模擬戦を観戦する事になった。
移動を開始する際に、神ロキに「このままではガレスさんの耳に秘密が漏れて天界送還ですね」そう耳打ちすると、大量の冷や汗を流しながら団員総額7割以上を向こう50年専売契約を交わす事が即座に決まったのだ。因みに現在のロキファミリア団員が利用している割合は3割5分〜4割なのだが、アイズ・ティオナの一級装備と、魔法職レフィーヤとリヴェリアの武具費用を考えたらかなりきつい数字なのは目に見えている。
後に整備をアイズ・ティオナ以外全員へファイストスファミリアで行い、次回の武具購入で間に合わない為とある事がきっかけで準幹部候補以上に
「それでロキ——どう言う事だい?僕の貸しをロキが勝手に作ったって言うのは——魔法の理論的解明が出来るのは確かにファミリアとしては是が非でも欲しい知識だよ。でもロキが勝手に貸しを作るのはどうなんだい?」
「まあロキが全面的に悪いの」
「ああ。私は彼の知識を是非欲しいから吝かじゃ無いが、フィンは明らかにとばっちりだな」
「私も強くなれる?」
「アイズが勉強するなら可能だろうな——アイズが望むなら私から彼に頼むぞ?」
「……」
「何故目を逸らした」
ロキファミリアのメンバーが話をしている中、へファイストスファミリアの修練場に光の屈折をさせる魔法を展開して、建物や地面に物理障壁を展開させると、一際リヴェリアさんの視線がグサグサ背中に刺さるが一先ず無視してアイズにルールを聞いてみた。
「アイズさん?「アイズで良い」アイズさ「アイズ」アイズは剣術の技量で勝負したいのか、魔法含めた戦闘能力で勝負したいのかどっちなんだ?」
「……どっちも」
「魔法含んだら勝負にならないが良いのか?」
「……良い!」
アイズはどうやら、俺の言葉が馬鹿にしてると取ったのかかなり不機嫌そうにこちらを睨む、深雪の目が笑って無い笑顔で見つめられるよりアイズのどこか幼女が睨んでる様な雰囲気に内心癒されていた。
最初に魔法込みの戦闘をする事を伝えると、フィンさんが審判をしてくれる様なので互いに20
俺が放ったのは、魔法が使える者ほど影響する船酔いと同じ現象を起こす想子の波に加え、それより速く彼女の脚と地面の相対位置を固定する結構単純な魔法だ…。アイズが昏倒しなかったのは人間を凌駕するランクアップにより、人体のグレードアップが大きく関係している様でこちらもかなり驚いた。
ロキファミリアの面々はアイズが手も足もでない状況に驚き、アイズの船酔い状態が落ち着く間に多くの質問が飛んで来た。魔法発動の速度がこの世界ではあり得ないし、現象そのものがこの世界の魔法では理解出来ないでいるのだ。
リヴェリアさんはもっと沢山聞きたい様だが、深く掘り下げるのは今後行う事で諦めて貰い、フィンさんの最速発動速度を聞かれてゼロコンマ以下だと答えて驚愕する全員に、使える魔法の種類を聞かれて使うだけならとんでもない量になると答えた。
ガレスさんですら、この魔法理論がもたらす恩恵がどれほど膨大な価値があるか理解するのだ、神ロキやフィンさんにリヴェリアと言う頭の回転が速い人間にはこれの価値は直ぐに分かった。
アイズ自身もは天然な上に戦闘狂だが、戦闘狂故に魔法の発動が余りに速すぎる事で自身が完全に動き出す前なら俺には絶対に勝てないと分かった。当然実際の対人戦では、やり方次第で俺の魔法を防ぐ方法などいくらでもあるが、初見と知識の差が彼女との戦闘にこれほど差が存在する。
彼女が漸く戦闘が可能となり、フィンさんの掛け声で互いに戦闘態勢へと入るのだが、アイズも先程の様な興奮が見られず冷静に俺を強敵と言う認識で構えていた。
——「始め」
フィンさんの開始の合図とともに、彼女が全力で俺に剣を振るって来るのだが、レベル2相手に普通全力は出さないだろと内心思いながら彼女の筋肉や骨格の可動域を予想して刀をレイピアに触れる。
アイズの全力が難なく逸らされ、その事から俺の剣術が自身の力量より上だと判断した瞬間、力よりスピードを上げる方法で俺を追い詰める気で来ている…。
人の体幹と可動域である程度相手の切っ尖がどこに来るか予想出来、スピードは相手の筋肉収縮の強弱で刃を見ずとも分かってしまう。アイズは俺に掠りもしない己の不甲斐無さにショックを受けている様だが、彼女のひたむきさが深雪と被りついつい指導をしてしまう。
「アイズ——己の未熟さを嘆くな、俺は君の体幹や可動域に筋肉収縮しか見ていない…。音や温度に息遣いも戦闘時は相手の行動が読めるんだ、俺を見ながら学べ!アイズにはそれが可能な才がある」
「!?……分かった」
それから30分間、少しづつ動きでは無く息遣いや筋肉収縮などでもフェイントを入れて来たりする様になり、レベル差と言う体力の限界が俺にやって来るまで模擬戦を行った。
魔法無しで彼女と全力戦闘だと、こちらの無駄をなくしたとしても体力は何倍も持っている。最後に見本として彼女の斬撃を吸収して倍加した斬撃を持って、彼女のレイピアを弾き飛ばして模擬戦は終了するのだった。
全員が凄い剣術に魅了され、神であり一般人と変わらないロキとへファイストスですら俺が行う動きの滑らかさに感嘆して沈黙した。短い静寂を破ったのは模擬戦相手のアイズで、自分に足りないものが目の前にある嬉しさからか、ロキファミリアのメンバーが見たこともない笑顔で「ありがとう」と感謝を述べた。
まあその後神ロキによって嫉妬と言う名の口撃を受けたが、最古参の3名からは我が子の様に思うアイズの成長を促してくれた俺に、本心からの最大の感謝を受けた。その直後、フィンさんとガレスさんには是非自分達とも模擬戦をと言われ、直ぐには遠慮するが機会は必ず設けると伝えて納得してもらった。
今回の件で神ロキは冗談半分で口撃して来たが、去り際に「ほんまにありがとうな」そう言った言葉にはアイズ達